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マネジメントシステム改善のポイント

【審査で高くご評価いただいた事項 : SBSゼンツウ 様 [ISO9001/14001] 】

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【審査で高くご評価いただいた事項 : SBSゼンツウ 様 [ISO9001/14001] 】

会議体の運営方法を変革し全社を巻き込み
良質なコミュニケーションから
事故のさらなる削減を実現


取材先:

SBSゼンツウ株式会社




取締役 専務執行役員 管理本部長 
鈴木吉泰 様


         管理本部 管理部門 業務管理部長
                                                                    佐藤久嗣 様




                 営業本部 基幹運輸部門 運輸運営企画部 部長代理
                                                                     諏訪裕紀 様





管理本部 管理部門 業務管理部 次長 
尾崎広和 様




SBSゼンツウ株式会社様(本社:埼玉県戸田市本町4丁目9番10号 URL: 
https://www.sbs-zentsu.co.jp/)は、運送事業者として、高度化するお客様ニーズに「創造物流」で対応し、提案力と実行力で食のサプライチェーンを支援など幅広い形態の運送サービスを提供しています。

とりわけ特徴的な点は、お客さまにとって最適な物流の仕組みをご提案し、作り上げて(創造)、実行するオーダーメイド型サービスの提供です。そのほかにも、「個人宅への配達にも対応できる、きめの細かい配送ネットワーク」「冷凍・チルド・ドライの3温度帯の商品を一括で処理できる物流インフラ(物流センターおよび車両)および作業ノウハウ」「長年の経験によって培われた食品物流の品質管理力と特殊な流通加工に対応できる高い技術力」といった点で、差別化を図ったサービスを提供しています。

そのSBSゼンツウ様には2019年4月にISO9001とISO14001認証の更新審査を受けていただきました。今回、その審査において「高くご評価させていただいた事項」に関して、実際の取り組みを詳しくうかがいました。


1.良質なコミュニケーションで事故件数が半減

Q.今年4月の更新審査で「高く評価できる事項」としていくつもコメントをさせていただきました。今回、その中の4項目の取り組みについて詳しくおうかがいします。

1.交通事故減少につながった取り組み内容
2.MS委員会における議論の進め方の改善内容
3.力量向上の取り組み内容
4.商品事故を0に減らした取り組み内容

まず大宮支店に関する「1.交通事故減少につながった取り組み内容」についてご紹介ください。




大宮支店では、管理者が乗務員としっかりコミュニケーションを取ることを重視してきました。その結果交通事故が、2017年度の8件から2018年度は4件に減少しています。(注:すべて人身事故ではなく軽微な事故)
今回、成果につながったのは、新しい支店長が着任後、事故の分析・検証をしたところ構内事故が多いことが分かり、それらの対策に積極的に取り組んだからです。


もちろん事故を一気に減らすウルトラCなどはありません。やはり日々の取り組みの積み重ねが重要となるので、「乗務員一人ひとりとのコミュニケーションをどのようにとるか」といった点に主眼を置きながら対応を重ねてきました。その際、どんな対応がいいのかを考えるにあたって、以下の問題意識を持ちました。

・軽微な構内事故が増加しており2017年は4件(事故全体の50%を占める)
・事故件数について全体でも月次に定量化している管理目標を変更した
・乗務員とコミュニケーションがもっと効果的に取れないか検討した


実際の取り組みとしては、毎月1回、乗務員ミーティングを開催し、支店長が積極的に参画して意見交換する形を採り入れました。従来のミーティングでは指示あるいは報告の一辺倒でしたが、乗務員の目線に合わせて、できるだけ双方向のやりとりを行うように変えています。同時に、コミュニケーションを活発化させるために、新たに以下の取り組みを採り入れています。

・年間安全運転宣言(支店内に掲示)
・危険個所の共有化(支店内に掲示)
・日々の安全運転宣言・周知書(支店内で事故報告)


まず「年間安全運転宣言」では、各乗務員に安全運転に向けて「このようにしていきたい」「こんな取り組みをしていきたい」などと各々が考えてきた内容を具体的に発表してもらい、その宣言書を支店内の目立つ場所に掲示しました。

次の「危険箇所の共有化」は、実際に危険を感じた経験を、「〇〇に注意しよう」などと具体的に示すことで、情報の共有を行い、見える化につなげています。

さらに「日々の安全運転宣言・周知書」は、社内の主要な物流拠点間の輸送を担当する基幹運輸部門における新しい取り組みです。たとえば、運行時や作業時のヒヤリハット情報を集めたドラレコ動画を乗務員に視聴してもらいます。あるいは、車両動態管理・交通状況の情報提供のデジタルツール「IGOQ」を活用しました。

ここでの情報に基づいて、管理者は乗務員と特に点呼時のコミュニケーションに於いて、「どこそこに注意しよう」などと話すことになります。視覚的に確認することで、ヒヤリハットへの注意や気づきが効果的になっています。
ご紹介した一連の取り組みは、当たり前と言えるものですが、きっちり継続的にやり続けることで事故減らしにつながっているのです。


Q. 「目標計画書・報告書」の方法も改善したそうですね。

以前の目標管理の仕組みでは、構内事故も交通事故という括りに入れていました。これを細分化して新たに項目を設け、また、月次で定量化して目標件数を設定していたのを、実状にあわせて決めました。このように細かな管理をすることで、よい結果につながっているようです。

●大宮支店における取り組み①

写真左上がドラレコで実際の事故やヒヤリハットの動画です。右上は車両の動態管理(無線としても活用)を行うツール「IGOQ」です。車両の位置情報、予測を含めた交通状況も示され、「今日はこの道に気をつけましょう」などと表示されます。右下が「無事故安全対策目標」で、支店内に貼りだしたのが左下の写真です。

●参考:無線としても活用できる「IGOQ」

●大宮支店における取り組み②

写真左上が発生した事故の情報を共有するフォーマットです。右側が管理者が乗務員に対して行う月次の乗務員ミーティングの教育記録です。左下は危険箇所について共有する情報です。乗務員が実際に「危ない」と感じた地点を掲示しています。「埼玉4-1」などの情報は社内でパターン化されています。

 

2.会議体の運用方法を変革して全社を巻き込む

Q.次に高島平センターの「2.MS委員会における議論の進め方の改善内容」についてお願いします。




今回、MS委員会の運営方法を大幅に見直ししました。この会議体は、社内でISOについてのさまざまな取り組みを展開するために、各職場から30人が参加して2カ月ごとに開催しています。

実は、ISO事務局では2015年改定を機にISO活動について問題意識を持ち、MS委員会のやり方を変えてみようと考えていました。そこで、「MSと事業活動をさらに一体化させる」「規格改定されたMSを定着させる」というテーマを挙げて、委員会の場で参加者に意見交換してもらったのです。その結果、以下の「4つの課題」が浮かび上がってきました。

・MS委員会の運営方法を変革する
・MS文書・記録類をスリム化及び最適化させる
・2018年度 MS管理目標の精度を向上させる
・MSのコミュニケーションを内外に対して強化する


これらの課題の解決に向けて何をすべきか、委員会でさらに意見交換をしましたが、その際、活動のねらいを明確にする必要性を感じて、「MS委員会としての変革目的」を以下のようにまとめています。

・全員が活発に意見を出せる工夫を行う。(マンネリからの脱却)
・「考える・仲間の力を引き出す・知恵を出す・具体的に行動し、評価すること」のサイクルを再構築し、MS管理目標を達成させる。
・興味・関心・比較・検討・満足などのあらゆる視点で気づきの機会を拡大させ、「出席型」から「参画型」に運営方法を変革させ業績改善の一助になるものとする。


これらの変革目的に沿って、先ほどの4つの課題について取り組んできました。
まず「MS委員会の運営方法を変革する」では、毎回、代表者を2人決めて、自分のサイトが抱えている問題を発表してもらいました。その内容について参加者から解決のアイデアを募って意見交換する、「改善報告会」を続けて行うようにしました。


●高島平センターの取り組み

ISO事務局発行の社内ニュース「あいえすおー」でMS委員会の新しい運営方法を社内アピールして、全社の関心を惹きつけました。

Q.各現場のノウハウが共有される場になったわけですね。

たとえば高島平ではピッキングミスが多かったので、テーマに採り上げたところ、参加者からはさまざまなアイデアが出てきました。各現場は工夫を重ねてきており、そうしたノウハウが共有され、場合によってはより良い対策の発案にもつながっていきました。また、MS委員会は管理部門も参加していますが、現場を知らないこその突拍子もないアイデアが出された例もありました。

そもそもMS委員会とは、内部監査と同じように、組織全体の改善につながる機能が求められるはずです。ただ活動自体にマンネリ感が漂っていた事実も否めません。そこで「改善報告会」を導入することで、コミュニケーションが活発化して、ここでの内容を社内全体へ広げることができたのです。

もちろん事務局の独りよがりな活動にならないよう、参加者にはアンケートを行っています。ここでも運営に関していろいろな考えを採り入れることができました。

Q.「4つの課題」の2番目以降についても教えてください。

「MS文書・記録類をスリム化及び最適化させる」では、けっこうなボリュームがあった記録類について、必要の有無を判断して、できるだけ減らすようにしています。「2018年度 MS管理目標の精度を向上させる」は、先ほど紹介した構内事故の目標管理などが当てはまります。

「MSのコミュニケーションを内外に対して強化する」は、ISOに関して一部の管理者だけではなく現場まで理解されるようコミュニケーションをしっかりやるということです。紹介したMS委員会の運営方法の見直しもここに該当します。

3.個々の作業工程をつぶさに評価・確認・改善して力量アップにつなげる

Q.高島平センターの「3.力量向上の取り組み内容」についてご紹介ください。



JMAQAのコメントにあるように、一人ひとりの作業工程ごとに○×評価を行い、その結果に応じて個別指導することで、仕事のレベルアップをねらいました。商品事故について、高島平センターでは減り続けてきていましたが、今回、さらなる商品事故率の改善が実現しました。この結果をうけて、荷主様から表彰をいただいております。



ここでの一連の取り組みのキーワードも「コミュニケーション」です。管理者が、乗務員・作業員一人ひとりに合わせた目線で丁寧に指導した結果、成果につながってきたのです。
たとえば、指示は具体的な内容で出すようにしました。「なになにをやって減らす」「どういう点に注意する」などと、現場の状況に応じた内容を伝えるようにしています。


4.コミュニケーションのチャンネルを充実させ商品事故ゼロ達成へ

Q.船橋支店の「4.商品事故を0に減らした取り組み内容」についてお願いします。




船橋支店では「商品事故の撲滅」を掲げ、実際に商品事故率を改善につなげ、ついに0件を達成しています。この結果を得るためにいろいろな取り組みについて改善してきましたが、その一つがコミュニケーションチャンネルの充実です。

たとえば個人ごとに「コミュニケーションノート」を作成して、担当業務の改善方法について管理者とノートを通してやりとりするようにしました。また、各乗務員には安全運転宣言書で取り組む内容を実際に文字で書いてもらうことで、自覚をさらに促すことにつなげています。今回、コミュニケーションのチャンネルを充実させた内容は以下の通りです。

 ・支店長は管理者の同質性を強化するために、管理者が点呼時に乗務員に伝える内容に、ズレや漏れなどが生じないように、事前に打ち合わせを行うようにしました。
 →往々としてよくある、「支店長と上司である管理者からの指示が違う」といった状況を避けるためです。
 ・点呼する管理者は、時間が許す限り、乗務員とコミュニケーションをとるようしています(仕事のことだけにしていない)。また、記録として、管理者がコミュニケーションノートに記録を残しています。
 →管理者はざっくばらんにプライベートのことも含めて話をする機会を増やすように心がけています。
 *上記の両方を行うことでコミュニケーションの量的質的改善につなげています。


 ・乗務員がどうしたら理解してもらえるかを考え、できるだけわかりやすく・シンプルを視点に、視覚教材(ヒヤリハット・配送時の注意事項などのDVDなど)を活用し、乗務員と注意事項(想定されるリスクに対して確認)の目合わせをするようにしました。
 →たとえば、商品事故を減らすための基本的な動作について示す動画などを使っています。


 ・乗務員が日々、意識して取り組む活動として、「安全宣言書」に日々コミットメントさせ、意識の醸成や使命感をさらに強く持たせるようにしています。
 →宣言させることで、使命感を持ってもらえるようにしました。


以上を実施したところ、月度管理表の2018年度の商品事故について、前年の6件から半分の年間3件を目指しましたが、結果は1年間通して大きな事故・ゼロ件を達成しています。



上表はコミュニケーションノートに関して、管理者が各乗務員へ伝えた内容を一覧的にまとめたものです。管理者同士で共有化しています。下は、各乗務員が毎日行っている「今日の安全宣言」の一覧です。右写真は、管理者と乗務員が安全のためのDVDを見ながら、「ここに注意しよう」などと具体的に確認している様子です。

5.サービスの「マネジメントは人に尽きる」

Q.御社のビジネスでは食品安全と運輸安全の2つの安全品質を同時に高めることが欠かせませんが、1500台以上の車両を保有しており、マネジメントが難しいと思います。とくに重視していることをお聞かせください。

最後は人に尽きると考えています。そのためには、雰囲気を含めていかに働きやすい職場環境を作るかが大切になってくるはずです。現場が、SBSゼンツウとしての使命をしっかり理解して、全社方針に基づいた各々の目標を設定して、それらが達成しやすい場を提供することが欠かせないのです。組織として、そういった職場環境の提供をしっかりやることが重要だと考えています。

そのために、会社側も組織体制の変更をはじめハード・ソフトの両方でいろいろな取り組みを重ねてきています。ご紹介したISO活動の改善もその一環で、いろいろ連動させてチャレンジしてきた結果、目に見える成果が得られてきたと考えています。


6.審査指摘は業務改善や力量向上につながる内容

Q.JMAQAの審査やISOに関してご意見をお聞かせください。

審査については、物流業界に長けている審査員なので、審査現場では話がしやすくなっています。また、各事業所長の目線で規格要求事項についてもわかりやすい言葉を使っていると思います。指摘も業務改善や力量向上につながる内容なので大いに参考になっています。

7.「ひとづくり」「しくみづくり」を通して付加価値の高い物流サービスを実現

ISOへの感想については、もっと活用できると考えています。大きな事故は起こしていませんが、全社でみれば交通事故ゼロ件を達成しているわけではありません。改善していく余地がまだあるとの問題意識を社内全体で共有し、現在の仕組みをどう効果的に役立てていくのか、事業活動につなげていくのか、常に意識していくことが必要でしょう。

ISO規格は、2015年版への改定を機に、ISOのしくみをいかに事業活動と連動(一体化)させ、効果的に経営成績を向上させていくことが明確に示されており、まさにSBSゼンツウの方向性と一致しています。そこで、さまざまな仕掛けづくり(キックオフ大会・管理者への説明・巡回活動・内部監査員差分研修・MS委員会・外部視察等々)を通して、社内外で動機づけを行い、ISOがより事業活動の一翼を担うしくみになるような展開を図っていきます。 

Q.最後に今後の取り組みテーマについて教えてください。

まずは、ISOと事業活動とのマッチングです。今までは年度運用期間はISOと事業活動とは一致していませんでした。2020年度から1~12月に統一させ、できるだけ同じ仕掛けで管理していきます。
次に、費用対効果の確認です。これは事務局として考えてきた課題ですが、ISOの導入効果を検証し、さらに強みに変えていく努力を行っていきたいと思います。


最後になりますが、ISO14001とISO9001の認証を取得してから、それぞれ18年、8年経ちました。「継続は力なり」という言葉の通り、日頃の活動の積み重ねがお客さまの信頼を勝ち取り、経営貢献につながっていくと考えています。
今後も、ISOを使って、企業の強さの源泉である人材、技能、組織力、経営理念、顧客とのネットワークなどさらなる活用を進めていきます。


具体的には 「ひとづくり」「しくみづくり」を通して、付加価値の高い物流サービスを生み出し、高収益につながるISOのしくみに近づけるように、継続的改善を重ねていくつもりです。





ISOのさらなる活用に向けてのお話がうかがえました。
埼玉県戸田市にある本社社屋です。


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