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SDGs取り組み事例:武蔵塗料ホールディングス株式会社

株式会社アイネス
「価値創造ストーリー」を通して自社の取り組みを再確認
社会的価値に基づくビジネスの展開へつなげる


                  取材先:武蔵塗料ホールディングス株式会社
                      人事総務本部  満尾 朋美 様

武蔵塗料様は、自動車から家電、パソコン、スマートフォン、ゲーム機器など幅広い分野で用いられている特殊塗料を得意とするグローバル塗料メーカーです。海外では中国、アジア、東南アジア、欧州、アメリカなど世界10か国に進出しています。とくにプラスチック塗料で高い技術力を誇り、スマートフォンでよく見かける、色の深みや透明感、高級感を醸しているボディは、特殊塗料を高度な技術で何層にも塗り重ねる武蔵塗料独自の技術で実現しているものもあります。
この度、武蔵塗料様では、自社ビジネスを活かしたSDGsの取り組みに向けて日本能率協会の支援サービス(講師派遣研修)をご利用いただきました。そこで、武蔵塗料ホールディングス株式会社 人事総務本部 満尾朋美 様にSDGsへの取り組みや支援サービス(講師派遣研修)への感想についてお聞きしました。

株式会社アイネス本社外観

なぜSDGsに取り組むことにしたのでしょうか。

満尾様(以下のコメント同):今日、塗料は非常に幅広い分野で使われており、人と環境にやさしいサステナブルに対応した塗料製品が広く求められています。武蔵塗料は塗料メーカーとして、かねてから企業活動における環境・サステナビリティへの対応を重視してきました。社長の福井裕美子は「企業としての永続や従業員の幸せを考えたときに、持続可能な経営を重視する必要がある」と以前から強調していました。

また、1958年の創業時から従業員に配っている「musashi color」(★写真参照)では、経営理念や社訓、創業者の言葉など49項目を含んでいますが、この中でも地域社会への貢献やエコロジーの重視をうたっています。
こうした背景があったのですが、SDGsに注目が集まるようになり、「musashi color」とSDGsには共通項が多く、目指している内容がまさに重なっていることに気づきました。

そこで、自分たちの取り組みを、あらためてSDGsというフィルターを通すことで、以前から目指してきた環境・サステナブル経営が、さらに強化され、進化すると考えました。
同時に、SDGsへの取り組み自体、従業員にとって大きな意義があると判断しています。やってきたことが今や世界共通のゴールになっており、自分たちも社会の大きな流れを成す一員である、こうした意識を強くもってもらうというねらいもありました。

講師派遣型研修の参加者アンケート

日本能率協会のSDGs導入支援サービス(講師派遣研修)をご活用いただきました。その経緯を教えてください。

SDGsの取り組みをしっかり進めるには、自分達で学ぶだけではなく、外部の専門機関によるアドバイス・研修が効果的だと考えました。候補として数社から話を聞きましたが、日本能率協会から示されたSDGsに関する考え方と支援内容が、武蔵塗料が目指すSDGs像の実現に最も役立つと考えて決めました。

導入支援サービス(講師派遣研修)の内容は、事前アンケートから始まり、ネットを使ったテレビ会議形式による集合研修、続いて推進事務局を中心にした各種ミーティングでお手伝いしています。

各拠点の責任者が参加した集合研修に続いて、導入事務局とのミーティングでは、SDGs構築支援WEBシステム「OUR SDGs」入力による課題の洗い出し方法、2030年の塗料業界に関する技術部門へのヒアリング、2030年の目標設定、そしてデザインデータ化・価値創造ストーリーの完成まで、いくつものステップで構成しています。

研修については、マネジメント層を対象にした集合研修で実施しており、社内の意識づけという点で大変効果的でした。もともとトップの意識は高い一方で、社内のそれとはギャップがありました。そこで研修では、特にマネジメント層向けに、10カ国15拠点を擁するグローバル企業として、SDGsに取り組むことの重要性を強調してもらいました。

今回、一連の活動のアウトプットとして、「価値創造ストーリー」(★図表)を完成させました。これは、ステークホルダーなどに対して持続的成長を説得するための道筋としての活用が期待できますが、作ったねらいについてお願いします。

SDGsを武蔵塗料の現実のビジネスモデルとして展開するには、社会的価値を再認識することが必要である、このように考えていました。最初に紹介したように、武蔵塗料はかねてから社会課題の解決など社会貢献を重視してきました。塗料メーカーの立場で何ができるのか、議論を含め企業として問題意識を持ってきた経緯があります。
こうした経験を踏まえ、ビジネスにおいて実現させる流れを具体的にまとめたもの、まさに「価値創造ストーリー」が有効だと考えたのです。今回のSDGsの取り組みにおいては、この「価値創造ストーリー」を作ることも大きな目標に据えています。

■今回のSDGsの取り組みのアウトプットである「価値創造ストーリー」

「重要課題」の抽出→「ビジネス基盤」の認識→「OUTPUT」の把握→ビジネスの展開による「価値創造」。
この一連の流れが1枚に詰まっています。海外拠点向けに英語、中国語、ベトナム語版も作成済です。

講師派遣型研修の参加者アンケート

拝見すると、従来からの取り組みを発展させる、新しいビジネスの可能性につなげる、こうした内容が詰まっており、まさに武蔵塗料様の新たな可能性が、この1枚に凝縮されていると思います。

今回の研修では海外拠点も参加しましたが、情報の収集

次に今回、ご利用いただきましたSDGs構築支援WEBシステム「OUR SDGs」について伺います。これは日本能率協会が独自に開発したSDGsの研修がWEB上でできる支援ツールで、さまざまな使い方もできるWEBシステムです。

今回の研修では海外拠点も参加しましたが、情報の収集・共有・浸透で「OUR SDGs」が大いに役立ちました。一連の取り組みで、社内でさまざまな情報をメールなどで集めてまとめていった場合、相当煩雑な作業になったと思います。今回は「OUR SDGs」を使ったので非常に効率的にできました。

また、「OUR SDGs」の情報入力には可能な範囲で手分けしましたが、担当者がSDGsに興味を抱きいろんな視点を持つようになったケースがありました。各々の意識をアップする効果も出てきたのです。あと課題とも言えますが、機能をすべて使いこなすことができれば、組織マネジメントの面でも強力ツールになると感じています。

先ほどのお話のように、トップと社員、あるいは部門によってギャップがあると思います。「OUR SDGs」をうまく使うことで、SDGsの取り組みのベクトルの長さや方向が組織内で徐々に揃ってくる、そんな使い方もできたわけですね。

今回の研修では海外拠点も参加しましたが、情報の収集

これからSDGsに取り組む組織の推進担当者に向けて、アドバイスをお願いします。

まず感想ですが、今回の取り組みを振り返ってみると、トップが実際に一緒に作業をしたわけではありませんが、社長の福井が以前からずっと言ってきたことが、徐々に現場に浸透して型にはまって形になっていきました。
このような取り組みになるには、経営層や責任者などマネジメント層の理解が重要であり、そのためには最初の段階で、いかに理解してもらえるかがキーになるでしょう。幸いなことに、武蔵塗料の場合は社長の意識が強かったのでとてもやりやすかったです。

もし推進担当者の立場から、マネジメント層にSDGsの導入意義を訴えかけるなら、効果的なやり方としては、自社にとって具体的に必要なことを掘り下げて示していくことだと思います。どの企業にもSDGsでうたわれていることは、共通点として見つかってくるはずなので、そこを分かりやすく「SDGsによって自分たちのビジネスにはこんな可能性があります!!」などとアピールするのが効果的だと思います。

関連しますが、先ほど挙げた温度差はどうしても生じるので、いかに少なくしていくか、ここで日本能率協会のような外部の力を利用するのもよいでしょう。
例えば私どもの営業担当は、お客様とのやりとりでSDGsをキーワードにして営業活動をしていましたが、その資料は各セクションが独自に作っている状況でした。今回、それらを一つにまとめ、順を追って価値創造ストーリーまで展開させていきましたが、推進担当者だけでは難しくて大変でした。その点で日本能率協会のアドバイスは非常にありがたかったです。

満尾 朋美 様は「SDGsに取り組む際には自社にとっての取り組みを掘り下げていくことで周囲の理解が得られる」と強調しています。

講師派遣型研修の参加者アンケート

取り組みの中で担当者として悩んだことを挙げると、「SDGsに取り組む」という話になったときに、どんなステップを踏んでいけばいいのか、という点でした。
以前から社を挙げて、エコ化の推進や環境配慮製品の開発等々には取り組んできました。その上でのSDGs対応ですが、何をもって取り組んでいることになるのか、認証制度でもないし、なかなか理解できませんでした。そこで日本能率協会から話を聞くことで、少しずつ分かっていきました。

関連して支援サービス(講師派遣研修)についての感想になりますが、SDGsに関する一連の取り組みの「道しるべ」になったと思います。
先ほども紹介した通り、社内でどのように進めていけばいいのか、たとえ「価値創造ストーリー」の完成図のようなイメージを持っていても、そこに行き着くまでのプロセスが分からない状態でした。どのように進めていけばいいのか、「道しるべ」を示してもらえたことは、非常に心強かったです。

悩みといえば、「価値創造ストーリー」を作成する際、取り組みのアウトプットについても答えがなかなか出てきませんでした。どうしても自分たちの思いが先行してしまいがちで、日本能率協会に幾度も相談しています。その中でも分かりやすかったのは、アウトプットを「経済的価値」、価値創造を「社会的価値」と言い換えた場合に、いかに経済的価値を生み出すのか。武蔵塗料では外部売上高に対する環境対応製品の割合を上げていくことに注力していますが、現実は乖離している部分もあります。そうした思いと現実の部分とが少しづれてしまったとき、どう表現したらいいかは第三者の視点での意見は大変参考になりました。

武蔵塗料の本業に於いてサステナブル製品は手掛けてきましたが、SDGsというフィルターを利用することで、取り組む意義なども含めて一層明確になり、商品開発力など実際のビジネス力のアップも期待できるはずです。日本能率協会をお手伝いさせてもらうことで明確になってきた、ということでしょうか。

まさにその通りです。ゴールであるSDGsナンバー・ターゲットに自分たちの塗料商品の普及が直結していることが分かりました。かつてCSRという言葉が出始めたときにも、環境・サステナブル対応を進めるという話もありましたが、環境にいい、地球にいいなどとやや曖昧な動機で取り組んできたことが、今回、SDGsというフィルターを通すことで明確になったと感じています。

今後の取り組みについて教えてください。

今回の集合研修で、マネジメント層には取り組む意義やねらいを共有できています。次のステップは、海外拠点を含む武蔵塗料グループ全体、その社員一人ひとりにSDGsに対する興味を今以上に喚起して、グループ全体の取り組みレベルを上げていくつもりです。
具体的には、2022年度の経営目標をSDGsに沿って設定しています。環境配慮製品の出荷額の割合を〇×%以上にする、廃棄量を〇×kg減らす、女性の活躍推進を目的に女性の社員率を上げるといった内容です。具体的に数値で打ち出しているので、従業員にも取り組む意義などがしっかり伝わっていくはずです。
この動きを強化するためにも、社内研修などソフト面を充実させて、全員がSDGsをしっかり理解し、効果的なアクションにつながるよう、サポート体制をしっかり組んでいきます。

株式会社アイネス

関連しますが、「価値創造ストーリー」を海外拠点用に各言語に翻訳して、すべての拠点に展開していく予定もあります。この動きに連動させてグローバルプロジェクトとして「SDGs推進チーム」を発足させます。定期的に各拠点参加のミーティングを開催して、グループ全体としての取り組みを推進していきます。

その際、海外拠点をどれくらい巻き込めるかが課題になるとも考えています。日本では「SDGs」を頻繁に見聞きするようになりましたが、そうではない国・地域もあります。状況に応じてカスタマイズされた勉強会を行う。2、3年かけて進めていく。私の役割は取り残される海外拠点がでないように、武蔵塗料グループ全体としての対応に注目していくことです。

「価値創造ストーリー」については一連の取り組み内容や結果についての情報発信が重要になると思いますが、どのように展開する予定ですか。

今後は、「価値創造ストーリー」に示した武蔵塗料としての取り組みについて、いかに効果的な情報発信を行えるか、ここを重視していきます。現在、具体的な予定としては、ホームページを使った発信です。「musashi color」の中にも、「武蔵塗料の価値」とは「お客様が何を武蔵塗料に期待されているのか」ということを理解することで見えてくるとうたっています。この通り、情報発信を通して、対外的なコミュニケーションをより充実させていくことに取り組んでいきます。
また、この情報発信については、社外と同時に社内向けも力を入れていきます。

SDGsの取り組みにおいて、ひとつの組織内では温度差や取り組む方向についてのベクトルは、向きや長さはいろいろあるはずです。それが、本社組織、工場、グループ会社、ホールディングスのそれぞれのベクトルが揃い、さらに今後は海外拠点に拡大していく、素晴らしい展開が期待できます。

もちろん、一筋縄ではいかないと思います。ただ、そのたくさんのベクトルが一つになって太く強固なものになるように活動していきます。
今回、社内全体でSDGsへの興味が高まってきていると感じています。2021年度はSDGsの取り組み元年で、まさにスタートラインに立ったつもりです。今後、より効果的な活動になるように組織としてチャレンジしていくつもりです。

今回の研修では海外拠点も参加しましたが、情報おおおおおおおおおおお


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