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「JMAQA AWARDS 2022」

Award-winning organization

【JMAQA AWARDS 2022 受賞企業様 インタビュー】
タイコ エレクトロニクス ジャパン合同会社

「内部監査」の目的・役割を再確認、実施方法を見直し
監査パフォーマンスとしてEMS自体の有効性向上へ

取材先:タイコ エレクトロニクス ジャパン合同会社
 EHS/Facility 部 部長 鈴木 浩彰 様


タイコ エレクトロニクス ジャパン合同会社 掛川工場
自動車メーカーなどに最先端の電子部品を提供している掛川工場。環境対応としては、屋上には4,536枚のソーラーパネルを設置、
最大出力1,079kWは戸建て住宅約250軒分、 工場使用電力量の10~15%に相当します。


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【認証取得】  ISO14001:1996年

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【受賞概要】
タイコ エレクトロニクス ジャパン合同会社は、接続技術分野の世界的なメーカーのTE Connectivityの日本法人です。コネクタやスイッチ、センサー等々で構成される各種プログラミングシステム・インターフェースユニット機器は、自動車(電気自動車)から電力(航空・鉄道等)、産業機器、通信ネットワーク、家電製品、メディカル&ヘルスケア等々、今日の暮らしに欠かせない社会基盤ツールとして活用されています。

今回の「JMAQA AWARDS 2022」受賞では、「内部監査の有効性向上に向けた創意・工夫の取り組み」が高く評価されました。同社では内部監査に関して、その目的と役割について再確認を行い、実施方法について見直しを図りました。例えば監査チームは、ベテランと中堅、新人の編成にして、多様な視点を持たせるとともに、ベテランのノウハウを学ばせる場と位置付けています。
内部監査の実施にあたっても、良いポイントを含めたコメントを必ず出すと取り決めて、実際のコメントにはEMSのパフォーマンスや有効性向上につながる内容が多数含まれており、今後の改善活動への展開が大いに期待されます。

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1. 企業努力を数字で表すことが求められる時代
 達成に向けてISO14001の仕組みを活用

タイコ エレクトロニクス ジャパン合同会社(以下、タイコ エレクトロニクス)は1996年にISO14001(環境マネジメントシステム)の認証(登録範囲「電子・電気機械器具(コネクタおよび同部品)の製造」)を業界に先駆けて取得、当時、コネクタ製造工場として世界初でした。その後、メイン工場として2013年に新たに稼働した掛川工場を対象として26年にわたって認証を維持しています。
EHS/Facility 部 鈴木浩彰部長は、「1990年代に認証取得した当初の理由は、グローバル企業の生産工場であり発行したばかりのISO14001の取得は当たり前というスタンスでした。ところが、ここ5~6年はステークホルダーを含んだ周囲の意識に変化が現れており、ISO14001の活用の意味合いが変化している」といいます。

今や、環境への取り組みについては、グローバルの視点ではSDGsの取り組みやカーボンニュートラル活動など、世界の潮流に合わせた環境保全活動が求められています。同時に、顧客、株主、近隣住民などのステークホルダーから環境の取り組みに関する質問や要求も多くなっているといいます。
「ただ当たり前にISO14001の認証を維持するだけの時代は終わり、企業の活動によって具体的な環境の取り組みを数字で表すことが求められています。ここでISO14001を最大限活用する時代になっています」(鈴木氏)。

具体的には、自動車メーカーからサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルへの取り組みに関するレターが届いたり、グローバルを含むステークホルダーから温室効果ガス排出量、エネルギー消費量、水使用量の低減を期待されていたりします。
タイコ エレクトロニクスのグループ全体ではこうした要請を受けて、2020年までの10年間で温室効果ガス排出量を35%、エネルギー消費量を37%、水使用量を29%、それぞれ削減を実現し、次の10年間はさらなる削減に取り組んでいます。

古田氏

関連しますが、特に環境汚染による行政機関からの罰則や操業停止処分などは、企業の存続危機のリスクがあります。タイコ エレクトロニクスでは対応基準も日本の関連法規制や業界基準だけでなく、グローバルの視点を採り入れています。例えば、APAC(アジア太平洋)地域では、工場の環境法令は中国が基本になっています。日本の掛川工場も、中国の工場の環境監査局(EPB)の法令を遵守できるように力を入れています。

こうした対応でもISO14001が役立っています。中国の大気汚染防止法ではめっき工程で使用するスクラバーからの排出ガス計測が義務付けられています。これを怠って10万ドルの罰金が科せられた例もあります。「ISO14001は環境法令の遵守にも対応した内容です。実際に遵守していく上で、ISO14001の仕組みがなければ管理しきれなかったでしょう」と鈴木氏はいいます。

前述のように、グローバルからの環境活動の要求事項が多い中で、例えば温室効果ガス排出量を10年間で35%の削減を達成するには、毎年マイナス4%の目標を立てなければならず、ファシリティ部門やEHS(環境、健康・衛生、安全活動)だけではどうにもなりません。工場の全組織で取り組むには、ISO14001が非常に適しているといいます。
「例えば、ISO14001による工場従業員への環境教育や緊急事態対応トレーニングなどは、環境汚染予防策としても有効です。ISOは世界の潮流に乗るためになくてはならないものであり、企業のイメージアップのためだけで運用するのではなく、経営存続に関わる非常に重要なマネジメントの仕組みなのです」(鈴木氏)。


2. 内部監査にあった3つの大きな課題
 改善のために4つの対応策を推し進める

今回、タイコ エレクトロニクスの「内部監査の有効性向上に向けた創意・工夫の取り組み」が高く評価されて「JMAQA AWARDS 2022」の受賞となりましたが、鈴木氏は「大変光栄に思います。事務局は当たり前のことと思い、創意工夫して参りました。この受賞により、自分達の取り組みが少しでも他社様のご参考になれば幸いです」と感想を述べました。

社内での反応をうかがうと、「事務局が受賞したのではなく、工場全体の各部門がそれぞれ目的を立てて実施していることを、審査員に認めてもらったと理解しています。ですから、社内の反応というよりも、社内のみんなと一緒に取り組んでいるからこそ『JMAQA AWARDS 2022』を受賞できたことは大きな意味があるのです」(鈴木氏)。

受賞の理由となった内部監査に関しては、どのような課題に取り組んできたのか、鈴木氏は次の3つを挙げています。

  ① 内部監査員と被監査部門の双方がISO14001の環境マニュアルを理解できていなかったこと
  ② 内部監査員がいつも同じメンバーであったこと
  ③ 複雑な工場組織体制によって、ISO14001のシステムが従業員レベルまで届いていなかったこと

まず、①ISO14001マニュアルの理解では、読むことは誰でも苦手なものです。そのため、何のために多くの時間を使って内部監査を行うのか、その理由が分からないままの監査が行われていました。結果として、チェックリストの読み合わせだけで終わってしまい、是正改善策や良かった点なども挙がりませんでした。このような状態では、環境への効果的な取り組みなどできるわけがありません。
次に、②内部監査員がいつも同じメンバーについては、職制による内部監査チームの構成になっていると、いつも同じ監査員が適当に対応するので、同じ結果しか出てきません。記録・帳票・手順書の確認だけに固執して、取り組みの内容には入り込まず、文書類のアップデートのみ指摘して終わらせていたといいます。
そして、③ISO14001のシステムが従業員レベルまで届かない点については、例えばある技術開発部門では、職制レベルの従業員が工場在籍ではなく別の事務所にいました。このため、職制から内部監査の対応担当者がアサインできていないという課題がありました。

こうした課題を解決し、内部監査自体を改善するために、次の4つのテーマに取り組むことが必要だと考えたといいます。

  (1) ISO14001に携わる方が、工場全体でISOシステムを構築し運用することを理解して欲しい
  (2) ISO14001は難しいものではなく、普段仕事をしていることがISOシステムの取り組みであることを理解して欲しい
  (3) ISO14001は他部署の業務や取り組みなど活動情報を理解・把握できる絶好の機会であることを理解して欲しい
  (4) 内部監査員と被監査部門のISOの知識・理解度を向上させて、リソース(内部監査員育成)にもつなげること


3. 有効な内部監査への改善に向けて
 「ベテラン・進行係・新人」のチームで監査力アップを実現

4つのテーマの取り組みを実行するにあたっては、まず、難しかったISO14001用語を分かりやすくなるように言い換えています。例えば「著しい環境側面」を「重要な環境影響の課題」にするといった具合です(★図表1)。マニュアルの理解度が大きく変わりましたし、この理解度向上のため、年3回のワークショップを開いています(★図表2)。こうした取り組みに関して、アンケート作成ツール・Microsoft Formsによる有効性評価アンケート調査を実施して、常に改善に努めています。

■図表1 難しい専門用語を分かり易く変えています。
例:「著しい環境側面」 =>「重要な環境影響の課題」

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メリーチョコレートカンパニー

 

■図表2 環境マニュアル理解度向上のため、ISO14001の要求事項を解説するトレーニング(研修)を実施。その内容について参加者にアンケート行い、 トレーニング自体を継続的に改善している。
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イートアンド

 

 

次に、内部監査をチーム制に変更しています。「ベテラン、進行係、新人監査員」の3人で構成し、ベテランは被監査部門にISO14001を教えながら内部監査を行い、進行係はチェックリストを読み上げるだけでなく、監査したい箇所を深掘りして質問するように進めていきます。新人は、これらのやり方を見ながら内部監査について学習していくわけです」(鈴木氏)。

その他にも、外部審査員の指摘により、内部監査で良いポイントを監査報告書に記載できるように、指摘事項の項目に「評価できるコメント:EMSの要求事項や環境影響の課題の取り組みについて評価できるコメントを記述する。」を書式に追加しています。
内部監査の対象を複雑な工場組織単位だったのを、よりシンプルな単位にしたことも効果的でした。以前は37部署もの単位で行っていましたが、見直しして17グループに分けて実施しています。対象を絞り込むことで、個々の監査の時間が長くとれるようになり、より深堀できるようになっています。

こうした内部監査の一連の取り組みで気にかけてきたこととして、「監査では必ず何でも話し合いながら進めるように、雰囲気も重視しています。話を引き出していろいろ考えてもらうことが重要だからです。例えば、生産性向上に向けての課題があってエネルギー使用が関わってきている、こうした課題がグローバルの要求事項とどうつながってくるのか、理解の場として、内部監査が役立っているのです。自分たちのやっている日常業務が環境影響であり、タイコ エレクトロニクスとしての重大な環境影響に行き着く、こんな理解が広まれば、パフォーマンスにつながっていくことが期待できるはずです」(鈴木氏)


4. 内部監査の改善によって組織の意識が変わり
 全員参画によってさまざまな成果を生む

実際に内部監査の改善を重ねることで、いろいろな成果が現れています。
まず経営の視点では、以前はISO14001の導入は顧客へ回答するためと位置づけていましたが、グローバル本社からの要求事項が数字であるため、結果を出す必要がありました。しかし、環境の課題があっても部門を横断した対応が難しく、なかなか上手く進みませんでした。
それが、ISO14001の理解が進み、グローバル本社が求める環境の取り組みテーマと、その目標達成のために従業員各々が何をするべきか、把握できるようになりました。例えば、不良品が増えると環境にも大きな影響があること、廃棄物分別を適当にやると廃棄物の削減目標に影響が出ること、水の使用量削減のために基本ルールを守るのが重要なこと等々です。また、ISO14001による環境保全管理組織を使って、特定部会による環境課題に関して、全体の取り組みとして展開することが可能になりました。

一方、成果について現場の視点から紹介すると、まさに前述の3つの課題がありましたが、取り組みによって環境マニュアルの理解度が向上し、ISO14001のシステムを維持・管理する意味を各自が理解しました。また、チーム編成で内部監査を行い要求事項を深掘りすることにより、改善はもちろんのこと、良い点や観察事項を指摘できるレベルになっています。


5. 強力なトップダウンという社風が改善を後押し
 組織を挙げての対応を今後も展開、発展させる

タイコ エレクトロニクスでは、内部監査以外でもISO14001のシステムでいくつもの改善を重ねてきています。例えば3R部会の取り組みとして、産業廃棄物の分別マニュアルを作成し、従業員への教育を実施しています。これにより、産業廃棄物の適正な分別が実現し、従業員の理解度も向上しました。

また、特別管理産業廃棄物使用量の削減への取り組みとして、重要な環境影響の課題である、めっき工程からの廃アルカリを、年間720万円のコストをかけて年間200トン業者処理していました。その廃アルカリ液を自社排水処理施設で処理することに成功し、処理費用と廃アルカリ量の排出量がゼロになりました。(★図表3)

■図表3 「めっき排水処理」の工程を改善し廃アルカリ量排出量ゼロを達成

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メリーチョコレートカンパニー
■図表4 省エネルギー部会メンバーによる「エネルギー宝探し」イベント
現場パトロールで省エネの機会が20テーマくらい見つかります。どれくらいセービングできるか見込表を作り、実際に活動を進めてパフォーマンスを確認して問題点を洗い出していきます。

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イートアンド

 

 

省エネルギーの機会の探求への取り組みでは、省エネルギー部会が「エネルギー宝さがし」(★図表4)というイベントを実施、省エネの機会を職場単位で探求しています。各部署から集まってチームを作り、現場パトロールを行いながら、省エネの機会を探っていくものです。クロスファンクションで行うことで、各製造現場が省エネの機会やポイントを学ぶ機会にもなっています。「現場で、こうしたらどうなる、ああしたらどうなるなどと、アイデアを元に改善策を議論するので、改善活動にもなっており、一石二鳥とも言えます」(鈴木氏)

その結果、コンプレッサーの新規導入やインバーター機能による大幅な省エネに成功しています。継続して照明のLED化、エアコンの省エネ対策、断熱効果アップによる熱量のセービングなど、幅広い省エネ機会の発見にもつながっています。
「省エネのトップクラスの設備が入っており、さらに4%マイナスを毎年行うのは大変です。ですから、いかに取り組みのネタを探せるかがポイントになってきます。いわばタネを紡ぐ、それをISO14001としてシステムの中に入れて、活動することで効果的に機能しています」(鈴木氏)

こうした数々の取り組みを実現した背景には、職制から伝えていくというタイコ エレクトロニクスの組織文化があったと鈴木氏はいいます。「つまり、トップの指示は非常に効果があるのです。監督者が工場長の名のもとで、ISO14001のトレーニング、内部監査、審査、これら全てに参加しろという、言わば鶴の一声に効果があるのです。社内研修においても、工場長や本部長が率先して参加しています。そうすると出ないわけにはいかないですよね」。

今後の取り組みとして、鈴木氏は水の使用量と廃棄物の見える化、目標設定化を挙げました。これらの課題のテーマ自体は、各部署の取り組みから実績があがっています。ただし、これらの実績による工場全体への効果、改善がどれだけ出てきているのかは把握できていません。工場全体の具体的な削減目標が設定されていないので、あやふやな結果になってしまっている状態です。この実績を細分化して、「見える化」していきたいとしました。

最後にメッセージをうかがうと、「ISO14001の登録証が、ただの掛け軸のようにならないよう、いろいろ工夫しながら、今後の世界の潮流にどうやったら乗せていけるのか、しっかり考えていきます。企業組織全体で取り組んでいくことが求められる今の時代、ISO14001を活用して、より高いパフォーマンスを達成していくことにチャレンジしていきます」(鈴木氏)と答えてくれました。

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