1. HOME
  2. 安曇川電子工業

「JMAQA AWARDS 2022」

Award-winning organization

【JMAQA AWARDS 2022 受賞企業様 インタビュー】
安曇川電子工業株式会社

“安曇川フィロソフィ”で職場の活性化と健全度を実現
「全員参加型」の仕組みで改善活動・5S・SDGsを活発化

取材先:安曇川電子工業株式会社
          代表取締役社長 : 岸田 定道  様
           専務/管理責任者 : 岸田 聖次  様
              品質保証部 部長 : 鈴山 安裕  様
            管理部 次長 : 石田 伸明  様
                  品質保証部 品質管理課/ISO事務局 : 本庄 由美子  様


「ISO9001に対応した仕組みは一つの基準の言語として引き継がれていくバックボーンであり、重要な考え方です。
今後も認証を維持しながら仕組みの改善を重ねていくつもりです」(岸田社長)


横にスクロールしてご覧いただけます。

【認証取得】  ISO9001:2000年

横にスクロールしてご覧いただけます。

【受賞概要】
安曇川電子工業株式会社は、プリント基板実装受託会社として、「お客様からの“こんなサービスあったらいいな”を実現する」をモットーにしています。基板実装サービスに加え、半田付け、ユニット組立・配線、製品組立まで一貫支援ができる体制を構築し、周辺業務である、治具作成、検査機作成・対応、実装メタルマスクの対応など周辺支援も提供しています。
今回、独自の「安曇川フィロソフィ」などを活用した「全員参加型」のISOシステム(小集団採算制度)を運用している点が高く評価されました。

同社の仕組みは、経営計画で「事業計画」を策定して、各部門で「方針展開/月次展開」で展開し事業計画とQMSの統合を実現。マネジメントレビューでは事業計画の実現ために機能させ、経営者プロセスのPDCAで継続的改善を推進しています。「全員参加型」については、全ての従業員が改善活動や5S活動、SDGsへ積極的に取り組んでいます。
その一環である「理念浸透プロジェクト」では、「安曇川フィロソフィ」を導入し、健全度向上の視点で「個人行動計画表」に全従業員の目標を明記し、職場に掲示し実行する仕組みを整えることで、職場の活性化や健全度の推進を実現しています。

横にスクロールしてご覧いただけます。

 


1. ISOへの取り組みにより社内に共通言語ができた
 経営と一体化した品質システムを目指す

安曇川電子工業は1968年に創業し、コンデンサを中心に事業を拡大してきました。そして1987年にはプリント基板関連事業を開始し、徐々に軸足を移していきました。ISO 9001は2000年に基板関連部門で取得しています。
「コンデンサ事業からプリント基板関連事業へと変遷していく中で、取引先も変わってきました。その際、ISO9001認証があると大企業との契約も取りやすい、選ばれやすいという傾向が当時からあったので、必要に駆られて取得した形です」と話すのは、安曇川電子工業の代表取締役社長である岸田定道氏。実際にISOを取得したことで、最初は一社だった取引先がどんどん増えたといいます。

古田氏      代表取締役社長:岸田 定道  様

ISO9001認証を取得、維持してきたねらいを聞くと、自社としてのしっかりとした品質管理体制を運用するためということです。
「安曇川電子工業は、電子部品製造業として操業を始め、現在の基板組み立て業を中心に展開してきており、創業50年を迎えました。この間、品質管理システムを運用してきましたが、お客様毎(電子部品製造、基板製造)に品質管理事項も異なっていました。そこで、管理体制の骨格を再構築し、自社としての品質管理体制をISOで構築し対応してきたのです。当時は顧客取引として必要との風潮もあり、規格の日本語訳の内容(誤解を含めて)に沿って文書化し標準化をすすめ体制作りを展開してきました」(岸田社長)

その後、引き続いて現在もISO9001認証を継続、維持しているねらいについては、社内の標準化が進んできたこと、共通言語ができたことでコミュニケーションが円滑になったことを挙げています。また、ISOに取り組んだ当初から大手と同じような対応が難しかったので自社でできる経営と一体化したISOに沿った品質システムを目指すようになったといいます。
「その結果、行き着いたのが小集団活動、『アメーバ経営』と呼ばれる事業運営です。これを進めることで、情報の共有や重点思考が浸透し、意思決定が非常に早くなったと感じています」(岸田社長)

      表面実装、ポイント半田づけ装置を使用した、
             半導体製造装置の一部に使用される基板の一部。


2. PDCAサイクルと共通する経営手法「アメーバ経営」を導入
 「安曇川フィロソフィ」と連動させて心と技を磨く

古田氏     専務/管理責任者:岸田 聖次  様

アメーバ経営の考えは、ISO9001の2000年版に通じる内容だといいます。事業環境の変化に関して、組織の形を小さなメッシュ(課⇒グループ)に展開することで一早くキャッチし、変動対応することを目指したものです。これはまさしくデミング博士が推奨したPDCAサイクルの内容そのものです。

このPDCAは、品質課題の改善活動に使用される場合が多いですが、事業活動自体、PDCAの連続です。現状と目指す目標を設定し、そのギャップを明らかにし、それを解消する項目を事業ステップで洗い出し、その対応策(=やる“こと“)を仮説としてあげます。実際に実施(検証)した上で効果を検証する、この「仮説」「検証」の繰り返しこそ、PDCAサイクルです。安曇川電子工業ではここのサイクルを回して、月次、4半期、半期、年次と振り返り、事業環境、内部環境の変化を踏まえたレビューと対応をしっかり行うことで、さらなる継続的改善につなげているのです。

安曇川電子工業におけるアメーバ経営の仕組みを詳しく紹介すると、システムとして、まず現状の問題点、外部環境、そして今年解決すべきことから年度方針を出します。次に年度方針を達成するためのマスタープラン(MP)を策定します。これは売上、外注費、材料費などの数値目標であり、KPIです。それをさらに各課、個々のアメーバに展開し、アメーバ経営会議、クォーター会議、3カ月に1回の振り返りなどを行っています。(★図表1)

重要なことはMPの目標を達成することです。そのために、課ごと、そしてアメーバごとに現場に沿った内容でMP表を作成しています。つまり、アメーバの合計が課の合計、そして各課の合計が全社の目標ということになります。MPは月次で実績と予測から修正をかけます。さらにクォーター会議で四半期ごとに各部門が進捗を発表し、最終的にアウトプットとして次のクォーターへの方針を全社で共有する仕組みになっています。

特徴的なのは、全社ミッションなど広く長期的な方針に基づき、関連した部門品質目標の施策を融合させながら、独自様式の「コックピットスコアカード」に事業計画(=マスタープラン:MP)と、ISOの特に目標展開プロセスを統合して、マネジメントレビューは事業計画のために機能させる仕組みを構築、運用している点です。そのベースとなるのが小集団組織(チーム)によるアメーバ経営です。

「アメーバ経営である小集団経営には、経営が身近になる、目標が身近になる、変化や異常が早く分かるといった大きなメリットがあります。安曇川電子工業の経営理念は『心を磨き 技を磨き 社会発展に貢献する』ですが、これを実現するための二本柱が『安曇川フィロソフィ』と『アメーバ経営』です。(★図表2)

        ■図表1 年度方針の策定
     (クリックすると拡大)
メリーチョコレートカンパニー

 

    ■図表2  「安曇川フィロソフィ」と
              「アメーバ経営」で経営理念を実現
       (クリックすると拡大)
イートアンド
    ■図表3  理念浸透のための施策
       (クリックすると拡大)
イートアンド

 

 

安曇川フィロソフィは心を磨くもので、人間的な成長や健全度を高める、ベクトルを合わせる、心をベースとした経営、視座を上げるといったことを目指します。これらを記載した『安曇川G手帳』を全社員に配り、周知しています。一方のアメーバ経営は技を磨くものです。チームで取り組むことで、共に栄え共に喜ぶ、成長できる働き方、当事者意識、経営者意識、そして時間あたりの採算性を認識できるようになり、身近な経営にしています」(岸田社長)

こうした小集団の仕組みは、まだまだ発展途上であると岸田社長はいいます。昔から思想はあったものの、ISOや事業の運営を小集団までしっかり落とし込む取り組みは10年ほどかけて進めてきています。やはり浸透させていくことが簡単ではなく、アメーバによって浸透度合いに差があることが目下の課題であるとしました。

この理念の浸透のためには、安曇川G手帳の他にも毎月「重点項目」を策定して「フィロソフィ朝礼」を実施したり、理念プロジェクトとして勉強会を開催したり、あるいは個別にフィロソフィシートを作成するなど、いろいろな仕掛けを作っています。さらに、それぞれの課でフィロソフィ活動掲示板を作って個人目標を掲示し、月ごとに振り返りをしています。(★図表3)
一方で、人材教育を一緒に進めたことで、仲間で楽しく成果を分かち合うなど、健全度を高める効果は現れているとしました。

品質保証部の鈴山氏も、アメーバ経営のメリットを実感しているといいます。鈴山氏は定年退職後に再雇用で安曇川電子工業に入社し、4年になります。前職はいわゆる大企業でしたが、そこと比べて非常に小さなところまで目が届いているという実感があるといいます。

「大きな会社は、経営体と現場の前線では実際の内容が遊離してしまいがちです。前線の状況はほとんど見えていません。しかしここは、コックピットスコアカードなどで全て把握しており、達成の難しい部隊に対しては他の部隊がフォローするのです。組織ですからいろいろなレベルの人がいる中で、落ちこぼれを作らない。みんなで成功体験をしていく。それがアメーバ経営のメリットだと強く感じています」(鈴山氏)

            品質保証部 部長:鈴山 安裕 様


3. 継続して改善していく取り組み推進のために
 マスタープランに基づいた各種イベントを仕掛ける

こうした経営を継続して実現している背景の一つに、イベント開催が挙げられます。管理部の石田氏は、「私はアメーバ経営会議とクォーター会議の他に、イベントも主催しています。例えば『人材育成強化月間』といったイベントを打つこともありますが、こうした場合には実は2カ月後に増産が待っていたりします。必要な多能工を増やすといった狙いがあるわけです」といいます。

イベントのテーマは、このように現場から吸い上げた課題を元にしています。業績が落ちている場合には、改善をたくさん実施するような強化月間を設定したりします。そしてそれらのテーマは、基本的にはマスタープランの結果に基づいています。こうした強化月間が続いていることが、継続の一つの理由ではないかと石田氏はいいます。(★図表4)

      管理部 次長:石田 伸明 様

「工程の不良や品質クレームに対する改善活動に注力しています。お客様からのクレームはインパクトが大きいですから。ただ、それが一人歩きすることも良くありません。品質管理を重視するあまり、生産性が落ちてしまうこともあります。そしてそのロスは、先ほどのアメーバの指標に出てきてしまいます。経営と品質が一体になるという理解が重要です」と鈴山氏も指摘します。

「品質というのは事業と“One of Them”でないと達成できないのです。不良を出さないというゴールは変わりませんが、外部環境と内部環境の変化によってアプローチも変わってきます。特に中小企業では、その時々に求められることに対し、少しずつ変化させていく必要があります。それはISOも同じなのです」(鈴山氏)

こうした全員参加の取り組みには、「5S活動」もあります。5S活動は、例えば「身だしなみの基準」「赤札品整理基準」「白線の汚れ・破れ基準」といった基本的なルールに加え、各課でも基準となるルールを設定しています。ここで改善された事例を標準化していくこともあるといいます(★図表5)。また、改善活動を促進するための月例イベントも開催しています。


   ■図表4 イベント活動版 テーマは「改善」
          (クリックすると拡大)
メリーチョコレートカンパニー

 

    ■図表5  5Sの基準
        (クリックすると拡大)
イートアンド
   ■図表6  独自の「TEFCASサイクル」
        (クリックすると拡大)
イートアンド

 

 

「毎年12月には各課別、アメーバ別での改善活動を発表し、優秀な取り組みには景品が出ます。これにより、誰がどのような良いアイデアを出したかがわかります。また、「3月は品質改善」など、共通のテーマを設けることもあります。全体的にだれてきている、あるいは生産ばかり考えて生産主義になりつつあるときに、意識を変えるカンフル剤にもなると考えて工夫しています」(岸田社長)

ISOを組み込んでいる点では、「TEFCAS」というプロセス管理サイクルを導入しています(★図表6)。これは、PDCAを回すことが難しい階層もあるためで、PDCAを簡略化したものだといいます。具体的には次のようなサイクルになります。

Trials(試行):まずはやってみること。やる前にあれこれ考えずに行動に移すこと。
Event(イベント):やってみると何かが起こる。それがイベントである。
Feedback(フィードバック):やったことで結果が生まれる。そして、何らかの学びが得られる。
Check(チェック):何が原因でうまくいかなかったのか? どこをどうすればうまく行くのか? それを調べる。
Adjust(調整):よりよい成果を得るためには、どこを変えればよいのか?
Success(成功):修正を重ねて実行した結果、ついに狙った成果を得ることができる。

「TEFCASによって、自分たちに身近なPDCAの回し方、成果の出し方ができるような様式で運用しています。これを年ごとに回し、最後には表彰式も行います」(岸田社長)


JMAQA AWARDS 2022受賞の感想をうかがうと、「今回の受賞は、私たちがこれまで取り組んできた活動が認められたものとして、社内に共有しています。関係者はやりがいを感じておりますし、2千数百社のうちの5社に選んでいただいたことは、貴重な体験だと感じています。これからもさらに、今まで構築してきたところをさらに深め、高めていきたいと考えています」と岸田社長は言います。



4. 今後はSDGsにもしっかり取り組んでいく
 太陽光発電などで再生化エネルギー対応に注力

SDGsに関しては、これから取り組みを強化していく必要があると岸田社長はいいます。現在は太陽光発電の採用などの再生化エネルギー、あるいはエネルギーを減らす活動に取り組んでいます。しかし、電力が最も事業に影響を及ぼすものなので、いかに抑えることができるか、対策をいろいろとしているところだとしています。

「新工場を建てる計画もあるのですが、その際には太陽光発電を考えたり、空調の電力を抑えたりするような工夫も必要だと思っています。その際、できることは全てやろうと考えています。例えば、最も熱を吸収しない屋根の色をペンキ屋さんに聞いたら、白だといいますので、白は汚れやすいのでメンテナンスは大変そうですが、白にしようと考えています。それからリサイクル。梱包材をリサイクルできるダンボールにするなどの取り組みも進めています。また、自社だけでなく家庭のダンボールなどを収集することも考えています」(岸田社長)

最後にISO9001に関する意見をうかがうと、「ISOは一つの考え方と理解しています。規格を翻訳した日本語訳は意味が伝わりにくく悩むところですが、原文の英語を読むとすごくわかりやすいんですね。私、前の会社で外資の人たちと仕事をしていたときに、ISOってすごく難しいですねと話すと、『ISOは全然難しくないですよ。あなた方がまさにこの数十年で築き上げた品質管理規定そのものです。何を違うことをしようとしているのですか』と、逆に怒られてしまったことがありました。
私たちもいろいろな仕組みを持っていますが、より動きやすい、軽いものを目指しています。せっかく仕組みを作っても、使われなければ意味がありません。それに、いくら文書を作ってもモニターで監視されているわけではないので、良心に訴えるようなことをするなら、それを使いやすい仕組みに変えないといけません。ISOも普及して20年、30年経ったときに、そういった見方、考え方で内部監査を行う必要があると考えています」(鈴山氏)

「ISO9001の仕組みがうまく機能せずに逆に弊害になっているケースがあると聞きます。企業のロスを招いているようでは本来のISOシステムではないはずです。私たちも今ある仕組みの中で本当に動くもの、動かさないといけないものを見極めて、動きにくいところをいかに変えていくかを考えています。ISO9001に対応した仕組みは一つの基準の言語として引き継がれていくバックボーンであり、重要な考え方です。今後も認証を維持しながら仕組みの改善を重ねていくつもりです」と岸田社長は締めくくりました。

■インタビューメンバーを囲んで

 すべての取材記事の紹介はこちらへ


関連する日本能率協会のソリューション

CONTACT

各種お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ

03-3434-1446

メールでのお問い合わせ

JMAQAinfo@jma.or.jp

よくあるご質問

お問い合わせ

無料お見積もり