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「JMAQA AWARDS 2023」

Award-winning organization

【JMAQA AWARDS 2023 受賞企業様 インタビュー】
株式会社リクルートホールディングス

ESG経営の環境・サステナ分野における
さまざまな仕掛けでEMSを活用
バリューチェーン全体のGHG排出量削減を推進

取材先:柏村 美生 様                                            
                                                         株式会社リクルートホールディングス 執行役員(PR)                    
                                                                                    株式会社リクルート 執行役員(人事、広報・渉外、サステナビリティ)                    
      




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【認証取得】  ISO14001 : 2011年取得

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【受賞概要】


株式会社リクルートホールディングス(東京都千代田区丸の内1‐9‐2)は、販促領域・人材領域で個人と企業クライアントをマッチングするプラットフォーム、企業クライアントに対するSaaSソリューション、人材派遣など幅広いサービスを手掛けるリクルートグループの持株会社。日本能率協会審査登録センター(JMAQA)による認証は、ISO14001を2011年より登録しています。(*注)

(*注)2023年1月時点で、ISO14001認証の適用範囲の対象となる企業体・部門は以下の通り。

株式会社リクルートホールディングス/株式会社リクルート/株式会社リクルートスタッフィング/株式会社スタッフサービス・ホールディングス/株式会社スタッフサービス/株式会社テクノ・サービス/株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

今回、『JMAQA AWARDS 2023』の評価対象となったのが、リクルートグループ全体に関わるESG経営における環境・サステナビリティ分野のさまざまな活動を、環境マネジメントシステム(EMS)の枠組みを活用して、高いレベルで推進している点です。例えば気候変動防止の取り組みとして、取引先と協働してバリューチェーン全体の温室効果ガス(以下、GHG)排出量算定の精緻化に取り組み、GHG排出量の削減に繋げています。また従業員の環境意識醸成や行動支援、また、事業活動や商品・サービスを通じた環境保全活動において、環境マネジメントシステムを高いレベルで活用しています。



  ■リクルートが国内で展開する事業の全体像
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2.7万人規模のISO14001を運用
「ESG経営」推進で環境マネジメントシステムを活用

株式会社リクルートホールディングス(以下、リクルート)は、ISO14001の環境マネジメントシステムを導入しています。このマネジメントシステムでは、リクルートの商品・サービスのライフサイクル全体とそれを生み出す事業活動が地球環境に与える影響を把握・評価し、関連する環境法規制の順守対応はもちろんのこと、推進体制整備や推進マニュアル制定を行い、実施目標と実施計画を立てた後に活動を展開し、定期的に活動結果を含む進捗状況をチェック、という仕組みを展開しています。

環境マネジメントシステムについては、環境方針に基づき「4つの取り組みテーマ」を設定していますが、これらの取り組みはリクルートが重視している「ESG経営」の環境分野におけるさまざまな活動と重なっています。



紙媒体のデジタル化推進による効果
「10億ページ削減」を実現、さらに「利便性アップ」にも

「ISO14001の環境マネジメントシステムという仕組みが、経営メカニズムとして社内に浸透しています」とISO14001について話すのは、株式会社リクルートホールディングス執行役員 兼 株式会社リクルート執行役員である柏村美生さん。

環境マネジメントシステムを継続して運用してきたことにより、CSR活動としてだけではなく、事業を通した現場起点での環境の取り組みが目標として設定され、PDCAが非常に有効に回せているといいます。

その効果に関連して、「4つの取り組みテーマ」における活動によってどんな成果が出たかをうかがうと、
「リクルートの進路選択に関するサービス展開の中では、継続的に紙媒体のデジタル化の取り組みを行い、通算10億ページ以上の紙を削減しています。紙使用量の削減に加え、コストダウンやユーザーの利便性向上など財務的価値にも繋がっており、事業戦略や経営計画と一体化した取り組みとなっています。実例の一つになりますが『進学事典』を冊子からアプリにしたことはとても大きな効果を生みました」(柏村さん、以下「」のコメントは同)。

 

『進学事典』は高校生のニーズに応えた情報提供サービスで、以前は分厚い紙の冊子で提供していました。これをデジタル化し、スマホアプリ『スタディサプリfor SCHOOL』(★図表1)に機能の一つとして搭載したところ、冊子換算では約10億ページ削減という環境面で大きな成果を生むことができました。また、デジタル化によって、持ち運びが容易になるとともに、情報関連のサービスにおいて重要な検索性能が飛躍的に高まり、ユーザーの利便性が大幅に向上しています。

古田氏       (クリックすると拡大)

■図表1:紙版『進学事典』(左)と学校向け進路選択サービス『スタディサプリ for SCHOOL』
生徒は、スマートフォンやタブレットを使い、適性診断検査の結果をその場で参照し、希望や適性に合った進学先を調べ、資料請求まで行うことができます。加えて、進学を希望する学校の先輩学生の声なども参照でき、進学後のイメージを膨らませながら、進路を考えることが可能です。
また、本サービスは、先生向けの学習管理サービス『スタディサプリfor TEACHERS』と連携しており、生徒の適性や進路選択に関する考え・想いを先生と生徒が共有するだけでなく、先生による生徒一人ひとりに合ったメンタリング・コーチングが可能となります。


経営層の意識改革を促し、環境コミットメントを策定
日本国内でも先進的な目標を掲げGHG削減に取り組む

環境マネジメントシステムの4つの取り組みテーマの一つである「気候変動防止」は、今回の受賞においても高く評価された活動の一つです。

リクルートでは2021年、『サステナビリティへのコミットメント』(★図表2)を発表。このコミットメントは2030年度に向けて、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)で目標を定め、取り組みを進める「ESG経営」の一環です。E(環境)については、「2030年度までにバリューチェーン全体でのカーボンニュートラル」を掲げています。この目標は日本政府が掲げる2050年と比較しても、かなり早く、挑戦的な目標です。

数年前まではカーボンニュートラルの推進はコストがかかり事業成長とトレードオフになるというのが経営層の認識でした。そこで、環境マネジメントシステムの運用の中で経営陣の意識変革を促すことで、経営戦略会議の中で「新たな競争優位になりうる」と議論されるようになり、この成果として環境のコミットメント策定に繋げることができました。

この環境コミットメントと環境マネジメントシステムの運用をよりリンクさせるため、環境マネジメントシステム内で運用する環境目標は原則環境コミットメントに関連した設定を行っています。

 ■図表2:『サステナビリティへのコミットメント』
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*GHG排出量削減の3カ年⽬標の達成状況と、リクルートホールディングスの業務執⾏取締役と主にテーマを推進する執⾏役員の報酬の⼀部を連動させる仕組みになっている。


GHG排出量「精緻化」プロジェクトに30社以上が参加
Win-Winが実現し『パートナーシップの強化』にもつながる

古田氏 ■図表3:GHG排出量精緻化の取り組み
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*パートナー企業の状況に合わせて3段階のうちいずれかの算定方法を適用 

バリューチェーン全体のGHG排出量のカーボンニュートラルのために、日本国内のパートナー企業と一緒に進めてきたのがGHG排出量精緻化の取り組みです(★図表3)。現在、パートナー企業約30社と進めているというこの取り組みについてうかがうと、

「GHG排出量『精緻化』のねらいは、Scope 3の排出量の把握にあたって、国際的にも推奨されている方法で、より実態に近いGHG排出量情報を得ることです。また、お取引先であるパートナー企業様にとっても、より正確な情報を把握することで排出量削減に向けて効果的なアプローチを採るための情報としてご活用いただくことができます。

取り組みをはじめるにあたっては、パートナー企業様にとっての取り組みの意義をご理解いただけるように、丁寧なコミュニケーションに努めています。GHG排出量算定の経験がないパートナー企業様もいらっしゃいましたが、取り組みの意義をご理解いただき、すぐに社内体制を構築していただくケースもありました。その上で、パートナー企業様によってGHG算定状況は違うので、それぞれのステージにあったサポートを提供しています。


リクルートも自分たちのGHG排出量の把握にあたって、国の指針の解釈や適用方法、排出量についての実態に近い測り方等々、試行錯誤してきた経験がありました。こうした知識・ノウハウ等をパートナー企業様にも情報共有し、ご活用いただいています。今後も、パートナー企業様にもメリットがある、Win-Winの取り組みとして継続していきたいと思います」

このような精緻化の取り組みも評価され、企業の環境情報開示を評価する国際的な非営利団体・CDP(Carbon Disclosure Project)から、2022年度の『CDP サプライヤー・エンゲージメント・リーダー』に選定されています(★図表4)

 ■図表4:『CDP サプライヤー・エンゲージメント・リーダー』に選定(クリックすると拡大)
*気候変動の課題に関してパートナー企業に効果的な働きかけを行っている企業を評価するもので、選出は世界の上位8%のみ(2022年度は653社、うち日本企業は131社)。


成果を生む環境マネジメントシステム運用のポイント
事業運営プロセスと同じマネジメントで進めること

古田氏

ここまで紹介したように、環境マネジメントシステムによる環境・サステナビリティへの活動では、直接的な効果に加え、ユーザーの利便性向上や業務効率の改善、さらにはパートナーシップの強化といった成果を生んでいます。この成功要因として、柏村さんは、トップによるコミットメントやさまざまな活動が全社横断の体制で進められたことを挙げた上で、現場からの主体的な取り組みが大きいといいます。

「マネジメント体制として、担当役員を筆頭として、開発・マーケティング部門から総務などの管理部門まで組織全体を網羅しグループ全体のプロジェクト推進体制を組んでいます。同時に、プロジェクトそのものの意義について対話と議論を繰り返して、徹底的にコミュニケーションを図ってきました。

リクルートでは普段から、新たにはじめる活動について、どんな時間軸でどうやって進めるのか、そもそも『なぜやるのか』について議論を深めることを大切にしています。現場が理解・納得し意識をしっかり持ってから取り組みをはじめる、これが組織としての強さにつながっており、環境・サステナビリティ分野の活動でも、この特徴が出ています。

今回も、経営会議での議論に加え、現場を中心に多くのメンバーにコミュニケーションに参加してもらい、知識の差や認識の違いを埋めていきました。こういったプロセスを経た後、目標設定し具体的に活動内容を決めて実行に移していますが、この一連の流れはまさに事業運営とまったく同じです。

このように、トップコミットメントと現場コミットメントの両輪で進めたことも、成果につながった要因の一つだと考えています」



ISO14001の環境・サステナ活動における今後の期待
点から面に広がることで組織力アップにつながっていく

最後に、ISO14001と環境マネジメントシステムについて、今後重視していくテーマ・活用方法をうかがいました。

「まず現状については、環境・サステナビリティに関連する活動を点に例えると、その点が複数になり面として広がってきたことで組織に浸透してきていると感じます。
例えば、環境・サステナ部門ではないメンバーによる勉強会が開催されたり、社内報『すか2(リクルートを横断 すかっと通信)』や社内メルマガ『毎朝★リクルート通信』でも、環境・サステナ関連情報が発信されています(★図表5)
また、リクルートの役員が、アジア最⼤級のマーケティングカンファレンス『アドテック東京』で、『広告業界のカーボンニュートラル』というテーマで登壇しています。

このように社内外のいろいろな場で情報発信・共有や学び合いの活動が生まれ、それらが影響しあうことでリクルートとしての取り組みが盛り上がっていく。環境・サステナビリティの推進においても、まさにリクルートらしい進め方が現れています。

こうした取り組みを進める中で、基盤となったのがISO14001の環境マネジメントシステムです。この環境マネジメントシステムに基づいてPDCAサイクルをしっかりと回すことで、大切な現場での意識醸成などを含めた取り組みがしっかり根付いてきました。

環境マネジメントシステムによって、自分たちの仕事と絡めてさまざまな活動を実行できる組織体になってきており、環境・サステナビリティ分野において、今後もさらに大きな成果につながるような展開を期待しています」

 ■図表5:社内報『すか2』(左)と『リクルート通信』
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*毎月発行の社内報『すか2』はトイレにも掲示。毎朝配信する社内メルマガ『リクルート通信』では、環境・サステナビリティ関連の記事が紹介され、100件以上の“いいね”やポジティブなコメントが寄せられている。

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