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マネジメントシステム改善のポイント

【食品安全】ISO22000:2018年版対応の7ポイント ~「経営革新をともに考える」審査を通して~システムの再整備をお手伝いします [日本能率協会審査登録センターFSMS技術部長 関根吉家]

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【食品安全】ISO22000:2018年版対応の7ポイント ~「経営革新をともに考える」審査を通して~システムの再整備をお手伝いします [日本能率協会審査登録センターFSMS技術部長 関根吉家]

取材先:
日本能率協会審査登録センターFSMS技術部長 関根吉家

食品安全マネジメントシステム・ISO22000が改定されて2018年6月19日付で2018年版が発行されました。この改定は、ISO規格を作成する際のルールのひとつである「ISO/IEC専門業務用指針 補足指針」に対応して、附属書SLに沿ったものです。2018年版では、共通様式(HLS:High Level Structure)が採用されており、ISO9001やISO14001などと同じ章立て構造になっています。

【参考資料】
「ISO22000:2018要求事項のポイント」詳説を入手ご希望の方はコチラまで。
★資料をダウンロードしてご覧になった後、本解説記事をお読みいただくと、2018年版がより理解できます。

今回、章立てが大きく変わったことで、すでに2005年版で食品安全マネジメントシステム(FSMS)を運用しているお客様にはどのような対応が必要になってくるのか、当会審査登録センター・関根吉家FSMS技術部長に解説してもらいます。

 

1.附属書SLに沿った改定
 規格構造が大幅に変わる

 

ISO22000は2005年に初版が発行され、今回、初めて改定を迎えました。2005年版発行後の2009年に見直しが一度検討されましたが、発行後間もないために混乱を生むことを避けるために改定は見送られた経緯があります。その後、ISOの中でISO22000の改定を担当するTC34において、2011年に行われた定期見直しに関わる投票の結果、見直し作業が決定し、改定作業がスタート、議論を重ねた上でISO22000:2018年版として発行に至っています。
今回の改定の特徴の一つとして、附属書SLに沿うことで、規格の構造が大きく変わったことが挙げられます。

「2011年、ISOからマネジメントシステム規格の共通様式(HLS:High Level Structure)が公表されました。これ以降、すべてのISO規格は附属書SLに沿って改定されることになり、 ISO 9001やISO14001はすでに2015年版として改定されています。今回、ISO22000についても前版から規格の章立ては大きく変わっています。それに伴いマニュアルの章立てなどの見直しが必要となるお客様もいらっしゃるでしょう」(関根吉家FSMS技術部長、以下同様)

関根部長は改定の意図について次のように解説しています。

「今回の改定は、お客様が運用しているFSMSについて本質的な変更を求めるような内容ではありません。お客様が営んでいるビジネス自体は、規格改定とは関係なく変わるものではないからです。ですから改定されたといってシステムに大きな影響があるわけではないのです。

ただし改定版では、要求事項が新たに加わったり、一部の用語の定義が変わったりしています。そのために2005年版のお客様は、2018年版に認証移行するにあたって、いくつかの点で確認作業と必要に応じた移行対応が求められることになります」

 

2.改定対応のポイント
 リスクの考え方の導入/OPRPの定義変更/購買管理の採用


続いて、対応が必要になりそうなポイントを挙げてもらいます。

「すでに2005年版でFSMSを運用しているお客様に影響がありそうなポイントは7つあります。まず影響が大きいものは次の3つでしょう。

・リスクに基づく考え方の導入
・管理手段の整理/OPRPの定義変更
・外部から提供されるプロセス, 製品またはサービスの管理

3.「リスクに基づく考え方の導入」
 “あらためて”FSMSの整理へ

 
まず『リスクに基づく考え方の導入』されたことの影響ですが、経営に関連する『リスク』と『機会』を心に留めていただき、“あらためて”FSMSの整理をいただく、このようにご理解ください。

リスクについては、2005年版でも食品安全ハザードに関連する食品安全リスクについて、HACCPシステムの中で取り扱ってきました。そのうえで2018年版では、ISO9001などと同様に、会社経営に関わるような食品安全リスクについてもうまく取り組むことを求めています。

次に改定版で出てくる『リスク』と『機会』について詳しくご紹介します。2018年版では『図表』で示したように2つのリスクに関して取り扱っています。上が、6.1で取り扱う“リスク及び機会”で、下が食品安全ハザードの食品安全リスクについて示しています。

 
関根さん画像1.png

 

4.「管理手段の整理/OPRPの定義変更」
 ハザード管理の見直しで新たな定義の追加へ


2つ目のポイントである「管理手段の整理/OPRPの定義変更」されたことへの対応方法を解説してもらいます。

「ISO22000が求めている管理手段は、HACCPプランとOPRP(オペレーションPRP)の2種類の手順をまとめたものであり、2018年版でもこの点は変わりません。ただしOPRPの定義が変更されたことによる影響がいろいろありそうです。

まずは“重要な(significant) 食品安全ハザード”が出てきたことが挙げられます。2005年版では、潜在的な食品安全ハザードからCCP(重要管理点)あるいはOPRPで管理する必要のあるものとして評価された食品安全ハザードについての呼称はありませんでした。それが2018年版では、この食品安全ハザードを“重要な(significant) 食品安全ハザード”と呼称するようになっています。ここでは、使用した評価方法が記述されて、重要な食品安全ハザードとしての評価の結果について文書化した情報として残されているかどうかを再確認することが期待されています。

次に、CCPのモニタリングについても影響があります。2018年版では、CCPのモニタリングを目視で行うことは避けてください。例えば、色見本と比較するようなやり方は採らないでください。観察により“不合格”を判断する管理手段はOPRPとなります。したがって、2005年版対応で整理したCCPとOPRPを入れ替えるなどの対応が必要なケースもありえるでしょう。その際、管理手段の選択分類については、その方法論を見直しして、2018年版でのCCPとOPRPの定義と整合するように修正することが望ましいでしょう。

なお、ハザード分析の結果については、製造業者であれば安全な食品を製造できる理由、食品関連のサービス提供者であればその提供するサービスの安全を保証できる理由がまとめられている必要があります。ここではお客様組織の財産である次世代に伝えていくべきものが整理されていることが必要になります。例えば人が替わるとうまく回らなくなる原因は、必要な情報が整理されていない、あるいは足りていないからです。今回、これらの管理手段の選択分類の方法論を見直すことにより、その結果を残すハザード分析についても見直しされるはずです。

この機会に、お客様組織の財産である情報について、的確に整理さて記載されているか、見直しされるのがいいかと思います」

5.「外部提供のプロセス, 製品またはサービスの管理」
 新たなプロセスの構築が必要


3つ目のポイント「外部から提供されるプロセス, 製品またはサービスの管理」することへの対応方法を解説してもらいます

「2005年版では、ISO9001が求めているような購買管理に関する要求はありませんでしたが、2018年版で新たに求められるようになりました。具体的には、食品安全に影響を与える場合、原料や包材等の供給者から、サービスの供給者に至るまで、評価、選択、再評価することが要求されています。ここでは法令規制要求事項を含む組織が順守する必要がある要求事項を含めて、外部の提供者が知らなければならないことを確実に伝達する仕組みの構築が必要です。

また、2018年版では外部から提供されるプロセス、製品又はサービスに対する検査/分析や、その他の影響に相応しい管理を求めています。一般的には、原料や包材などでは受入検査などが該当し、サービスなどでは監視を含む日常的なパフォーマンス評価が該当します。これらの評価について、お客様ご自身で関連する『外部から提供されるプロセス, 製品またはサービス』を棚卸して、管理のプロセス/手順を体系化することが期待されます。

なお、ここでの手順については“文書化した情報”として維持することは必須の要求とはなってはいませんが、評価の結果は“文書化した情報”として保持することが必須になります。プロセスを体系づけるとともに、評価、選択、再評価、または、評価結果に付帯して必要な処置を取ったことの記録は保持してください」

実際に対応するにあたって、どこまでを管理する必要があるか? という点が難しいようです。

「例えば以下のような事例を参考に、幅広く自分たちに関連するサービスを見直しするのもよいでしょう。

  ・水、空気供給などのユーティリティーサービス及びユーティリティー設備の管理
  ・保管や輸送などの業務
  ・保全活動
  ⇒ 定期メンテナンス、予防保全工事、是正保全工事など

  ・清掃
  ・アウトソース
  ⇒ 構内外注、委託作業、場内清掃消毒など

  ・防虫防鼠
  ・作業服のレンタルや洗濯
  ・食堂運営 など

もちろん上記だけに限定されるわけではありません。また、管理しなくても製品やサービスの安全性に影響しないものは除外して構いません。そもそもこの要求事項の目的は、食品安全の視点で、自組織のパフォーマンス、製品に関連する悪影響が起こらないようにすることです。ですから実際の影響度合いに相応しい程度の管理になるように整理すればいいのです。

その際、注意したいのは、一律の基準ではなく、柔軟な基準をもって整理することです。例えば点数制を採用してすべての様式や項目について〇△点以上で合格などと一律的な仕組みにした場合、本当に保証できているかどうか、実感していただくのは難しいかと思います」 

6.2つのPDCA/外部開発のFSMS要素/法規制要求の整理
 改定版対応が必要


2018年版のポイントとしてさらに3つ挙げてもらいます。

「改定版に移行対応するにあたって、以下の3つも重要になってくるでしょう。

・プロセスアプローチとして2つのレベルのPDCAサイクル
・外部で開発されたFSMSの要素
・法令・規制要求事項の整理

まず『プロセスアプローチとして2つのレベルのPDCAサイクル』ですが、最初にご紹介したとおり、今回、『リスクに基づく考え方』が盛り込まれました。これにより、お客様は組織全体でリスクベースによるマネジメントシステムのPDCAサイクルを回すと同時に、HACCP原則による現場のPDCAサイクルも回したうえで、両者をしっかり統合することが求められています。

次の『外部で開発されたFSMSの要素』についてですが、例えばお客様ご自身でハザード分析表やフローダイアグラム、HACCPプラン等を作成することが大変な場合、外部のものを使ってもよいことになっています。ここでは同業者が作成したものがあれば使うことができます。ただし、その中身については自分達にとって使える内容なのか、しっかり確認していただくことが欠かせません。もともと2005年版でも問題はありませんでしたが、2018年版ではよいとはっきり書かれています。

3つ目の『法令・規制要求事項の整理』ですが、ISO22000をご覧になってお分かりになるはずですが、この規格は食品の安全性に重点を置いており、いたるところで法令・規制について取り上げています。法令・規制への対応については、2005年版でも当り前のこととしてやってきたはずなので、2018年版になっても、トップマネジメントによる法令・規制への適合のコミットメントを通して、引き続きしっかり取り組んでもらうことには変わりはありません」 

 

7.「“文書化された情報” に関わる変更点」
 現状のままで十分か判断が必要


ここまで紹介した6つのポイントに加えて、「“文書化された情報” に関わる変更点」にも注意が必要だそうです。

「文書化された情報として、2005年版との変更点は『比較表』の通りに違いは見られます。ここでは、各組織で原稿の手順や文書の内容、記録の内容を確認することが望まれるでしょう。

また、2005年版では、明確に記録を要求していませんでしたが、従来から記録として保持される仕組みで運用されていたものや、文書情報として運用していたものなどがあると考えられます。

実質的には影響は少ないと思われますが、既存の文書や記録を見直す際には、それらが要求されている意図、あるいは使用する意義などを理解した上で、現状のままで十分であるか? などとご判断いただくことが期待されるでしょう」

関根さん画像3.png

【参考】
「文書化された情報の要求に関する2018年版と2005年版の比較表」を入手ご希望の方はコチラまで。
(「ISO22000:2018要求事項のポイント」詳説の24~26頁に比較表を含みます)

 

8.移行期限は2021年6月迄
  JMAは2019年1月から移行審査開始


2018年版の移行について解説してもらいます。

「改定版への認証の移行期限は、2018年版発行の3年後なので、2021年6月18日です。この日までに2005年版で登録しているお客様は2018年版に認証の移行を完了していただくことになります。移行にあたっては、移行審査を受けていただくことになるでしょう。その移行審査について日本能率協会では10月から受付をはじめて、審査サービスについては2019年1月開始を予定しています。

移行審査の中身については、認定機関である日本適合性認定協会(JAB)による移行に関するガイダンス文書が出されてからはっきりします。お客様には移行審査のためにどれくらいの対応が必要になるかということも、この文書に拠るところが大きいので、JABから出され次第、お知らせする予定です。

なお、認証機関として移行に向けての対応はすでに進めています。例えばFSMS審査員には2018年版に関してタイムリーに情報提供してきており、発行されて間もない6月下旬には審査技術に関する研修を行っています。今後も認証機関としてスムーズな移行審査サービスの提供を念頭に、審査員研修の実施、関連情報のお客様への迅速なご提供などを行っていきます」


9.FSSC22000のお客様も
 移行対応が求められる見込み


今回のISO22000の改定はFSSC22000で登録しているお客様にも影響がありそうです。 

「FSSC22000の要求事項は、ISO22000に加えて、前提条件プログラム(PRP)として各食品業界向けに確立された個別の技術仕様書、および、FSSC22000追加要求事項としてGFSIのベンチマーク認証として承認を受けるための付加的要求事項から構成されています。個別の技術仕様書の中には、材料、原料、包装材、あるいはサービスの購買管理に関する要求が含まれています。

2018年版では、今回、新たに『外部から提供されるプロセス, 製品またはサービスの管理』の要求事項が加わりました。そのためFSSCでは従来からある技術仕様書の要求と重なってしまいます。そこで、おそらくですが、技術仕様書は改定されて該当要求事項は削られると予想しています。

こうしたことも含めて、ISO22000と同様、FSSC22000のお客様もFSSC規格の新版への移行審査を含め移行に関連したさまざまな対応が必要になってきそうです。詳細については、FSSC22000認証スキームを運営しているFSSC22000財団からガイダンス文書の類が公表されてから、はっきりするでしょう。こちらも公表され次第、お客様に関連情報をご提供していきます」

10.「経営革新をともに考える」審査を通して
 システムの再整備をお手伝いします


最後に、ISO22000:2018年版への移行に向けての対応についてまとめてもらいます。

「すでに2005年版でシステム運用しているお客様にとって注意が必要な7つのポイントをご紹介しました。これらはいずれもお客様のFSMSの改善につながっていく可能性があるものです。今回の改定は、High Level Structure構造に合わせるという観点で現システムの整備について『立ち止まって考えていただく絶好の機会』、このように捉えていただければと思います。改定の効果としては、このことが一番大きいと考えています。

私ども日本能率協会は『経営革新をともに考える』審査サービスのご提供を目指しています。2018年版審査でも、お客様が自分たちの業務について『リスク』と『機会』にうまく絡めてFSMSの中にどのように落とし込むのか、いろいろ考えていただく切っ掛けとなる、すなわち経営革新のヒントとなるような内容を目指していきます。
そのためにも、審査現場では、お客様のシステムに関する情報をうまく聞き出さていただき、改善への切っ掛けを『引き出させていただく』ことを心がけていきます」


【参考資料】
「ISO22000:2018要求事項のポイント」詳説を入手ご希望の方はコチラまで。
★資料をダウンロードしてご覧になった後、本解説記事をお読みいただくと、2018年版がより理解できます。

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