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マネジメントシステム改善のポイント

【FSSC22000 Ver.5 移行対応解説記事】仕組みの意図を再確認するチャンス 取材先 : 徳永 税 日本能率協会ISO研修事業部 食品安全分野 主任講師

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【FSSC22000 Ver.5 移行対応解説記事】仕組みの意図を再確認するチャンス 取材先 : 徳永 税 日本能率協会ISO研修事業部 食品安全分野 主任講師
「移行対応プログラム(講師派遣型研修)」をご活用ください
「FSSC22000 Ver.5 の移行対応」は
仕組みの意図を再確認するチャンス



          取材先:徳永 税 日本能率協会 ISO研修事業部 食品安全分野 主任講師


「FSSC22000 Ver.5メルマガセミナー」2回目は実際にVer.5に移行するための取り組みをご紹介していきます。まず、Ver.4.1登録組織様がVer.5に取り組む際のポイントをまとめると以下のようになります。

◇ FSSC 22000財団は、Ver.5の登録組織への要求事項に大きな変更はないようにアナウンスしています。
◇ Ver.5の追加要求事項自体には大きく見直しを必要とすることはありません。要求事項として大きく変わった点は、ISO22000:2018がFSMSの要求事項として位置付けられたことになります。
◇強いて言えば、Ver. 4.1追加要求事項にあったサービス提供者の管理が、ISO22000へ移動したことです。
◇ ISO22000:2018の要求事項については、2005年よりも組織経営を意識して組織の活動を体系化することが求められていますが、一部の要求事項を除いて2005年版と要求事項の意図に変更ないことから、一般的には大きな変更はないと言われています。

Ver.5移行審査を受けるにあたっては、新バージョンの要求事項に従った一通りの活動が必要になってきます。今回、移行審査の受審日までの運用実績として、たとえば “3ヵ月” などと特定の期間は要求されていません。しかしながら、原則的には全要求事項に対する活動実績(内部監査とマネジメントレビューを含む)が必須です。その際、実施可能なことを被審査組織の都合で計画のみとする(先に延ばす)ことは不可となっています。
この改訂に伴ってVer. 4.1の認証取得している食品企業はどう対応していったらいいか、小会の徳永税主任講師(食品安全分野)に話を聞きました。

1.自分達の仕組みの背景と意図を整理・理解する

Q.FSSC22000が Ver. 4.1からVer.5へ改訂されました。 Ver.5に移行するにあたって、企業の立場で、どんな順番で取り組みを進めていったらいいでしょうか。

まず、最終的には現場で大きく新しくやることが生じることはない、という点を強調させていただきます。むしろ、変化に対する心構えや意識づけが大事だと考えていただければと思います。特にFSSC22000を構成しているISO22000においては、2005年版から2018年版になったことで大きく変わっています。

このISO22000:2018を参照して、自分達が構築している内容が、いったいどういう背景でそのような仕組みになっているか、どういう意図でその仕組みができあがっているか、こうした点をまず整理していただきたいです。

Q.その上で、何から手をつければいいのでしょうか。

実際にやらなければならないことは何かというと、まずISO22000:2018の規格要求事項について、その意図を含めてしっかり理解することです。今回、規格の構成からがらっと変わっているので、差分の中身をきちっと押さえておきたいです。この2018年版の理解にどれくらい時間を要するかですが、実際にコンサルティングをやらせていただいた例では、3か月程度の勉強会などが一般的だと思います。

一方追加要求事項についてはまったく変わっていないので、いままでどおりスパイラルアップを続けてください。ここでは実質的には新しい要求事項はないので、変わっていないこと自体の確認はしておきたいです。この再確認は、食品安全チームで一気に実施すると組織全体でももれなくできるのでよいでしょう。

◆参考:「ISO22000:2018年版対応の7ポイント」解説記事
「経営革新をともに考える」審査を通してシステムの再整備をお手伝いします
  https://jmaqa.jma.or.jp/case/2018/10/11/6


2.HACCPプランの見直しの可能性も

Q.手順や仕組みの修正は、必要に応じて取り組むことになるのでしょうか。

手順については、HACCPの部分で若干新しい考え方が入っています。ハザード分析や評価方法などで基本的な考え方は変わっていませんが、管理手段の分類のしかたに新しい考え方がありますので見直しが必要です。この見直しによって、CCPやOPRPの分類が変わってくる可能性があります。ですからいまの要求事項に照らして整理しておくことが必要になってくるのです。

Q.修正しなくてはならない組織は多いでしょうか。

私がコンサルティングを担当している企業様では、HACCPプランの見直しを実施していく中で、いくつかの企業様ではCCPにしておいたプロセスを、OPRPに分類せざるを得ないケースもあるようです。

HACCP以外では基準そのものの変更はありませんから、食品安全チームがいままでの仕組みにおいてFSSC22000に沿った食品安全の考え方をきちんと持っていて、それをベースに仕組みの構築、運用をしているなら、修正する箇所はあまりないと思います。


3.Ver.5の要求事項を理解した内部監査員の養成が必要

Q.仕組みの見直しが済んだら内部監査になりますね。

いままでの仕組みを見直したり、背景を確認して、HACCPプランで直すべきところを確認したら、内部監査に移ります。内部監査では、まずプランの整理のしかたが妥当なのかをチェックしていただきます。

また監査自体で、差分の部分をきちんとできているかの確認がしっかり盛り込まれているか、計画段階で確認しておく必要があります。

なお、内部監査員の養成は計画的にすることをお勧めします。監査員がVer.5の要求事項を理解することが必要なので、養成プログラムを早い段階に決めて計画的に実施するといいと思います。

Q.内部監査ではVer.5の全要求事項に対するが確認が必要になるのですか。

はい、全要求事項に対する確認を実施してください。

Q.内部監査を行うタイミングは何時がいいでしょうか。

自分たちの仕組みがVer.5に対応しているか確認した後、内部監査の前に運用期間が必要になります。だいだい3か月ほど運用しておくとよいでしょう。
HACCPプランがいままでのCCPからOPRPに変更になるケースがあるので、それができているかを内部監査で確認して、できていない場合、是正が必要になってきます。

Q.マネジメントレビューは通常通りでよいのですか。

まず、Ver.5の内部監査を受けて、最終的には、Ver.5での要求事項に沿ったマネジメントレビューを実施することが必要です。

その上で、いままで通りのスキームでやってもらえばいいのですが、Ver.5になったことでインプットに関する要求事項の部分が増えているのでチェックしていただきたいです。


4.仕組みの有効性を再確認する

Q.移行への対応に関して、他にもアドバイスをお願いします。

改訂されたVer.5の中身をよく見てみると、要求事項がうまく整理されていて、組織にとっては、より使いやすいものとなっていると思います。これを機に、組織の中で改善という点で回しきれているかどうかの確認や、様々な取組みの有効性の確認をしてみることをお勧めします。

食品安全について仕組みとしてしっかり寄与しているかどうかを見直し、レベルアップのきっかけにしてもらうと、バージョンアップ対応も前向きに捉えられるはずです。

Q.その見直しは自力でできるものでしょうか。

ISOに関するリテラシーなどをしっかり持っていて、ISO22000を長年運用していれば、たいへん理解しやすいし、今回のVer.5対応でも改善につなげていけると思います。

もちろん、外部の専門家によるアシストがあると、より効果的な仕組みに改善できる可能性があるでしょう。日本能率協会がご提供している「講師派遣型研修」では、各組織様に応じた研修プログラムを用意しており、この機会にぜひご検討いただけばと思います。

専門家の話が出ましたが、Ver.5対応においてISO22000:2018の理解は、いちばんのキモです。こちらも、私どものような外部の研修プログラムを活用することで、この規格の理解が一気に進むと思います。

◆参考:「ISO22000:2018年版対応の7ポイント」解説記事
「経営革新をともに考える」審査を通してシステムの再整備をお手伝いします
  https://jmaqa.jma.or.jp/case/2018/10/11/6

◆Ver.5 移行の企業様向け「FSSC22000 Ver.5 移行対応プログラム(講師派遣型研修)」パンフレット
  https://jmaqa.jma.or.jp/download_file.html

5 審査機関に求められた対応も知っておく

Q.Ver.5は今の仕組みを再確認する機会ということがよく分かりました。

あとひとつ、Ver.5移行対応で注意をいただきたい点があります。
ISO22000や前提条件プログラム、追加要求事項の中身ではありませんが、意識しておいていただきたいのは、GFSIベンチマークの要求事項です。これには審査機関に対する要求事項も含まれています。

今回のVer.5で審査機関に向けていわれていることの一つとして、たとえば、地震など緊急事態になったとき、いつもの原料が届かなかった場合、緊急で使うメーカーが信頼できるかの確認があります。また、腐敗しやすい動物性製品の加工を手掛ける企業様には、仕入原料の管理方法を整理する必要もあります。ついつい見逃しがちですが、審査機関に求められることなので、間接的には組織もやらなくてはなりません。Ver.5移行対応でこうした部分にもぜひとも意識を向けていただければと思います。

最後に繰り返しになりますが、今回のVer.5への移行は自分たちの仕組みの再確認の機会と捉えていただくことをお勧めします。今食品安全という課題に向けて実践的で今以上の効果の出る仕組みに向けて、改善につなげていただければと思います。


【JMAからのご案内】
◆Ver.5 移行の企業様向け「FSSC22000 Ver.5 移行対応プログラム(講師派遣型研修)」パンフレット
  https://jmaqa.jma.or.jp/download_file.html
◆新規にFSSC22000取得の企業様向け「認証取得研修プログラム(講師派遣型研修)」パンフレット
  https://jmaqa.jma.or.jp/download_file.html

◆FSSC22000新規取得研修(講師派遣型)ご活用記事(日油様)
 https://jmaqa.jma.or.jp/fssc22000/case/nof_corporation.html
◆【FSSC22000 Ver.5 説明会】講演録

 https://jmaqa.jma.or.jp/case/2019/09/12/38

◆講師派遣型研修のご案内はこちら
 https://jmaqa.jma.or.jp/lecture.html
◆講師派遣型研修のお問い合わせはこちら
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