HOME > マネジメントシステム改善のポイント > 【FSSC22000 Ver.5 説明会】講演録

マネジメントシステム改善のポイント

【FSSC22000 Ver.5 説明会】講演録

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【FSSC22000 Ver.5 説明会】講演録
日本能率協会審査登録センター主催
「FSSC22000 Ver.5 説明会」講演録
新バージョンのねらいは組織・制度の信頼性アップ
移行は「魅力アップ」「強み獲得」の絶好の機会



日本能率協会審査登録センター(JMAQA)では、2019年8月1日(東京)と2日(大阪)、「FSSC22000 Ver.5 説明会」を開催し、FSMS技術部長 関根吉家が、6月に発行されたVer.5について解説しています。以下に講演内容のポイントを紹介します。



1.Ver.5改訂 ―― 旧バージョンからの主要変更点は4つ

FSSC 22000 Scheme Version 5(以下Ver.5)が2019年6月3日に発行されました。スキーム(Scheme)文書の構成は以下の通りで、この中で審査を受ける組織様にとって影響が大きいのが認証登録に関する基準文書「Part2被審査組織への要求事項」です。

・Part1 スキーム概要
・Part2 被審査組織への要求事項
・Part3 認証プロセスに対する要求事項
・Part4 認証機関に対する要求事項
・Part5 認定機関に対する要求事項
・Part6 教育訓練機関に対する要求事項
・付録1 定義 / 付録2 参考文献
*その他にアネックス(附属書)として7つの文書


GFSI(Global Food Safety Initiative)承認のFSSC22000スキームの開発・運営機関であるFSSC 22000財団(FFSC:Foundation for Food Safety Certification)はVer.5の主な変更点として4つ挙げています。

・新しいISO 22000:2018規格の発行
・利害関係者(ステークホルダー)委員会の決定事項リストの組み入れ
・GFSI要求事項への準拠
・継続的改善プロセス


今回、Ver.4.1からVer.5で変更された内容で、影響が一番大きいと想定されるのが、「新しいISO 22000:2018規格の発行」です。食品安全マネジメントシステムへの要求事項であるISO22000が、2005年版から2018年版に改版されたことに伴い、2年後の2021年には2005年版が失効します。そのためにFSSC22000においても要求事項として2018年版が適用されることになります。

次に、「利害関係者(ステークホルダー)委員会の決定事項リストの組み入れ」も影響がありそうです。GFSIの要求事項への適合性を高めるために、2018年11月にFSSC22000財団 がBoS(Board of Stakeholders;利害関係者〈ステークホルダー〉委員会)における決定事項のリストを公表しました。この中には、認証機関が審査で評価するための指標などがいくつも含まれています。2019年10月頃にFSSC22000財団が公表予定の審査報告書ガイダンスで、審査での取り扱いがより具体的に示されることになっています。

3つ目の「GFSI要求事項への準拠」については、主に認証機関に対応が求められる内容になっています。たとえば審査員の力量管理では、審査員の資格としてGFSI主導の審査員試験の合格が求められるようになります。 最後の「継続的改善プロセス」については、Ver.4.1での文書構成を整理して分かりやすくするという意図で、Ver.5では要求事項が再構成が行われています。 

2.Ver.5改訂のねらい ―― 登録組織と制度の信頼性アップ

今回のVer.5改訂には、FSSC22000登録組織様の信頼性をアップするというねらいがあると考えています。FSSC22000スキーム要求事項 Part2 「2. 特徴 / 2.1 目的と特徴」に、「このスキームの目的は、国際的な食品業界の要求事項を継続的に満足し、組織が顧客に安全な食品を提供することを保証する認証をもたらすことを確実にすることである。・・・」と書かれている通り、信頼性がこのスキーム運用の根幹をなしています。登録組織様の信頼性をアップさせることは、FSSC22000スキーム全体に対する信頼性向上につながるとも言えるでしょう。

そもそもFSSC22000は、「食品事業者としての理想的な運営レベルをまとめたもの」であり、GFSI承認スキームとは、「食品安全に配慮した組織経営ができている理想的、かつ、信頼できる食品事業者」を認証する制度なのです。登録組織様が食品業界において、「お手本」であり続けることを目指しているとも言えるでしょう。そのために信頼性を向上・維持することが重要になっており、スキームとして要求事項などの改訂を重ねてきた経緯があります。

FSSC22000について、その改訂の歴史を振り返ると、Ver.3時代までは要求事項の中身は、不用意なミスによる事故防止という点がマネジメントの中で強調されていました。その後、Ver.4からは、ミスによる事故の防止に加えて、故意による犯罪・事件への予防的な緩和施策の対応が盛り込まれています。同時に、非通知審査も導入されるようになりました。このように改訂を重ねることで、信頼性の向上・維持につなげてきたのです。

ここで強調しておきたいことは、信頼性のアップは登録組織様ご自身にとってもメリットがある点です。すなわち、組織の内部的には「認証された組織としてのプライドを持つこと」になるはずです。同時に、外部的な観点からしても登録された事実は魅力的に映るはずで、「ビジネス面における強味を獲得すること」に確実につながっていくでしょう。
今回のVer.5対応において、ぜひとも効果的、効率的な運営を、過不足なく実現するような移行を実施してください。


3.Part1 スキーム概要 ―― 適用範囲について

Ver.5における適用範囲に関しては、Ver.4.1から基本的には変更点はありません。ただしVer.4.1の時はあいまいだったいくつかの点が、はっきり求められるようになっています。登録組織様への影響としては、現状の適用範囲について見直しが必ず必要になる、ということではありませんが、再確認の機会になると考えています。

その適用範囲については、ISO/TS22003:2013 に準拠することになっていますが、Ver.4.1ではPart2にあったのが、Ver.5ではPart1に移っています。そのVer.5のPart1を見ると、カテゴリー一覧を表組みで紹介した後、カテゴリーごとの注意点が補足されています。以下に(カテゴリ G)と(カテゴリ I)についてご紹介します。

なおスキーム文書Part1の表組みでは「FSSC22000追加要求事項」のみ記載されており分かりにくいので、図表1に各要求事項を盛り込んだので参照してください。

3.6 輸送と保管 (カテゴリ G)
注意点:Gで登録される場合は、業として保管・輸送サービスを行っていることが必要になります。


3.7 食品包装及び食品包材の製造 (カテゴリ I)
注意点:パーソナルケア製品とは清潔に保つ機能があるもの、たとえばシャンプー、洗面用具、化粧品などで、ここでは包装資材は含まれません。使い捨て食器云々については、日本では少ないと思われますが、フォークやスプーン、箸などが一緒に包装されたもの(例えばヨーグルト、惣菜など)のみが該当することになります。


図表1 適用範囲 / ISO22003:2013





次に、適用範囲を決めて記述するにあたって注意すべき点をご紹介します。Ver.4.1の登録の際、意図せずに以下のような内容を含んでいるケースがあるかもしれません。今回の移行審査にあたって、適正な範囲に収まるようご相談させていただく場合が出てくるかもしれない点、ご理解ください。

・製品群の名称などに宣伝文句または主張を含まない
“有機”食品、高〇〇食品、〇〇産~、アレルゲンフリーなどは適用範囲の記述には含めない。しかし、その製品群を除外しない限り、FSSC 22000の適用範囲としては審査対象であること。


・製造業(カテゴリC)における “〇〇の販売” の表現を含まない
“販売”については、『小売/卸売業』→カテゴリF1の範囲、すなわち、販売業者としてのビジネスの場合のみ記述が可能であること。


・ケータリングサービス(カテゴリE)の範囲は、消費者に食品(食べ物)を届ける活動であること
ケータリング活動のための調理(半調理)食品を製造する活動は、食品製造(カテゴリC)の範囲。


・小売/卸売業(サブカテゴリF1)には、店内調理を含めることはできる
調理済み食品に実施される店内での活動(例えば、肉の焼き、パンの焼き出し、肉や魚の切り取り)。


・輸送/保管(カテゴリG)は、製品の所有権がなく、物理的に保管/輸送するサービス提供者に適用する
他者にサービスを提供しない、自社製品のみを保管および/または輸送する製造業者は、このカテゴリの下で審査を受けることはできない。


4.Part2 被審査組織様への要求事項 ―― 追加要求事項の変更点

審査を受ける組織様に対する要求事項をまとめたのがPart2です。Ver.4.1からVer.5へ改訂されたことで、新たな対応が必要になる可能性がある点を各項番ごとに「ポイント」としてまとめました。Ver.5とVer.4.1それぞれの規格文を参考にしながらご覧ください。

なお追加要求事項以外にも、多少の記載表現の削除などの整理がみられますが、内容については本質的な変更されたところはありません。

2 要求事項  2.1 一般
ポイント:ISO22000の基準文書が2005年版から2018年版へ変更された。


2.2 ISO22000  2.3 ISO9001  2.4 前提条件プログラム
ポイント:多少の記載表現の削除などの整理はみられるが、内容に本質的な変更はない。


2.5 FSSC 22000 追加要求事項
ポイント:
・項目として同じ9項目が設定されている。ただし出し入れがある。(図表2参照)
・カテゴリー限定の要求事項は、FSSC22000の適用範囲が拡大されたことに伴って、適用カテゴリーが見直しされている。




追加要求事項の内容については、Ver.5改訂に伴って解釈の変更などの留意点はありません。ただし 「効果的」「効率的」「過不足なく」の視点で見直すことが必要なので、以下に各項番ごとにポイントをご紹介します。

2.5.1 サービスの管理
ポイント:
ISO22000の7.1.6項に統合され、検査所/試験所の管理のみが追加要求事項となった。実質的に必要かつ適切な精度管理が行われている検査所/試験所によって検査が行われている必要があることには変更なし。7.1.6項への対応として、サービス提供者の一つとして管理する枠組みが運用しやすいものと考えられるが、これに限定するものではない。


2.5.2 製品表示
ポイント:
ISO22000:2018の8.5.1.3項、最終製品の特性において、“ f)食品安全に関する表示及び/又は取扱い、調製法及び意図した用途に関する説明” を文書化した情報として保持することが要求されている。この8.5.1.3項の要求事項でも、意図した販売国の法令規制要求事項(アレルゲンを含む)に沿った最終製品の情報を文書化することは、ISO22000としての必須の要求である。
これを “確実にすること” を追加要求事項として明記したものである。したがって、特別なことではないかもしれないが、アレルゲンを含む表示内容に間違えがないようにするのは重要なことである。
ここで重要なのは、結果的にミスが起きなければ “良し” とするのではなく、ミスが起きないような “仕組み” を構築、運用することである。
この仕組みについては、具体的な方法論は要求事項とされていないが、以下のような段階が仕組みづくり(再整理)のポイントとなりうる。この機会にできれば見直しをする。
・原材料に関する正しい(最新の)情報を入手する。
・正しい情報を表示原稿に反映させる(作成する)。
・印刷原稿の正確性を含む最終的な表示内容の正確性を確認する。
・印刷された表示内容の正確性を確認する。
・充填包装する製品内容物を正しい表示ラベル・包装資材で充填包装する。など
これらを再確認して、責任、権限が決定されていない場合は、自分たちの運営の実態に合わせて、確実に実施されるように体系化することが期待される。


2.5.3 食品防御  2.5.3.1 脅威の評価  2.5.3.2 計画
2.5.4 食品偽装予防  2.5.4.1 脆弱性評価  2.5.4.2 計画
ポイント:
Ver.4.1から記載内容は修正されているが、要求されている内容に本質的に変更なく、概要としては、①文書化した評価手順を保有すること、②文書化した防御・偽装予防計画を保有すること、である。


①以下を実施するための文書化した食品防御/食品偽装予防手順を保有していること。
・潜在的な脅威/脆弱性を特定し、脅威/脆弱性の評価を実施する。
・重大な脅威/脆弱性に対する緩和策を開発し、実行する。
②組織のFSMSの適用範囲内のプロセス/製品をカバーする緩和策を文書化した食品防御・偽装予防計画として保有すること。
・食品防御/偽装予防計画は組織のFSMSによって支援されていること。
・計画は適用される法律を遵守し、また、最新の状態に保たれること。


ポイント:
食品防御と食品偽装予防は、同じ行為でも、動機の違いにより、脅威(食品防御)あるいは脆弱性(食品偽装予防)の事例にもなりえます
・傷つける、困らせる、イデオロギーなど     … 脅威  ⇒ 食品防御
・経済的損失、もったいない、間に合わないなど  … 脆弱性 ⇒ 食品偽装予防
【例】
殺菌工程(CCP)の温度モニタリングにおいて、CLを下回っているのにもかかわらず、記録を捏造して合格品として出荷すること。
 もったいない、間に合わない            ⇒ 脆弱性(食品偽装予防)
 工場長を困らせたい、無差別に食中毒を引き起こす  ⇒ 脅威(食品防御)
乳成分が入っている中間製品を、乳成分原料が配合されていない製品に再利用した。
 使用期限が迫っていてもったいないので使ってしまった           ⇒ 脆弱性(食品偽装予防)
 不特定多数の消費者に被害を与えたくて乳製品が配合されてない製品に使った ⇒ 脅威(食品防御)


これらの防御施策は、モニタリング結果の自動記録とデータインテグリティシステムの運用など、一つの施策が食品防御及び食品偽装予防の緩和策になりえる。
食品防御(評価)手順と食品偽装予防(評価)手順を、一つにまとめることは否定されない。また、評価結果を一つにすることも可能である。


なお、食品防御や食品偽装予防については、「〇〇の仕組みがあるので犯罪はできないようになっています」と対外的に明快な説明ができれば、取引先からの信頼性アップにつながります。特に輸出を想定しているビジネスなら、より大きな効果が期待できるはずです。Ver.5を機会に、現状の取り組み、仕組みを再確認して、自分たちの強みを伸ばす機会にしていただければと思います。

2.5.5 ロゴの使用
ポイント:
・多少の表現の違いはあるが内容に変更はない。
・ロゴの使用に限らず、FSSC22000の認証取得を引き合いに、製品が食品安全が保証されているかのように誤解を受ける声明、宣伝は認められていないので、注意が必要。


2.5.6 アレルゲンの管理(フードチェーンカテゴリ C, E, F1, G, I & K)
ポイント:
・適用のフードチェーンカテゴリが、E(ケータリング)、F1(小売/卸売)、G(輸送及び保管サービス)にも適用されることになった。
・Ver.4.1から表示に関する要求事項は、“2.5.2 製品表示” に移動した。運用の妥当性確認及び検証については、“2.5.7 環境モニタリング” に移動した。
・“2.5.6 アレルゲンの管理” として残された要求事項には、Ver.4.1から変更なし。
・追加要求事項として明記はされているが、本来的にはHACCPシステムにおけるハザード分析の中で評価することである。
以下をハザード分析と別に行っても良いが、構造的には同じであるので、ハザード分析の手順の中で確実にアレルゲンの交差汚染を取り扱うようにすることが実務的であると考えられる。
 ・潜在的なアレルゲンの交差汚染の原因箇所を明確にする。
 ・現状(初期)のPRP(保管方法、洗浄手順)、作業手順などからリスクを評価する。
 ・現状(初期)の方法論で不足の場合に、現状(初期)のPRP、作業手順を修正、あるいは追加する
 ・交差汚染等のないことを実証できる方法論で管理せざる得ない場合には、(“重要な食品安全ハザード” として)CCP/OPRPで確実な管理ができるように管理手段の選択分類を行う。


2.5.7 環境モニタリング(フードチェーンカテゴリ C, I & K)
ポイント:
“ISO22000に記述された検証の要求事項を満たす…” という形で、ISO22000内の要求事項にしたがって環境のモニタリングを行うという内容から、実施すべき内容の概要が追加要求事項として記載される形に変更された。また、アレルゲンの管理も環境のモニタリングの要求事項に含めることが明記された。
これまでと実行する内容は変更ないが、加工(保管)環境下における微生物学的、また、アレルゲンの(交差)汚染を管理するために、確実に実施できるように再確認する。


2.5.8 製品の処方(フードチェーンカテゴリ D)
ポイント:従来は犬猫限定の要求事項であったが、対象分野が、カテゴリD全体に広げられた。


2.5.9 輸送及び配送(フードチェーンカテゴリ F1)
ポイント:
・サブカテゴリF1に対する新しい要求事項。
・輸送配送時に(交差)汚染がないように管理することが求められている。


5 Ver.5 移行審査 ―― 受審時期と通知審査

2019年6 月3日にFSSC22000 Ver.5 が発行されました。Ver.4.1登録組織様は、2020 年1 月1 日から2020年12 月31日の期間に移行審査を受審する必要があります。その移行審査の受審時期と通知審査の関係を図表3にまとめました。



・初回審査(第1段階と第2段階)は、同じバージョンのスキーム要求事項に対して実施されること。
・組織が非通知の移行審査に対する希望を組織が望まない限り、移行審査(サーベイランス及び再認証(更新))は、通知で実施されること。(注:Ver.5からは、組織側の要望で、更新審査でも非通知審査を実施可能〈Part3より〉)
・FSSC 22000 スキーム要求事項 V4.1に対する審査は、2019年12月31日までのみ許可される。
・発行されている全てのFSSC 22000 V4.1認証書(登録証)は、2021年6月29日以降は無効となる。
・FSSC 22000 スキーム要求事項Ver.5に対する移行審査は、2020年1月1日から2020年12月31日の間に実施すること。
・図表3の③のように、2020年の第2回サーベイランス審査(SU2)で移行審査、かつ、2019年の第1回サーベイランス審査(SU1)も通知審査の場合には、2022年の第1回サーベイランス審査 (SU1)、2023年の第2回サーベイランス審査 (SU2)共に非通知審査で実施する。


6.その他関連事項① ―― BoS決定リスト

2019年1月から実施することになっていたBoS決定事項リスト(2018年11月公開)に関しては、JMAQA以外の関係機関から、「V4.1への “新しい追加要求事項” が追加された」との説明が一部であったようです。ですが、このリストは、登録組織への追加要求事項ではなく、「審査での評価を行う視点を認証機関に対して指示したもの」であり、“新しい追加要求事項” という位置づけではありませんでした。
現在、スキームの運営機関であるFSSC22000財団からは、Ver.5での取り扱いについて、「審査報告書のガイダンス(公開文書)」で示すことが公表されています。これら決定事項リストには合計13項目が示されており、そのうち9項目は審査の深さに関する指示事項なので、2019年10月末に公表予定の「審査報告書へのガイダンス」において、補足するとアナウンスされています。その他の4項目については、Ver.5の要求事項で以下のように取り扱われています。
・軽微な不適合の取り扱い期限は、Ver.5 Part3の中で軽微な不適合への修正を3か月以内に完了することが要求事項として反映されています。
・インシデント(緊急事態)対応手順の定期的なテストは、ISO22000:2018の要求事項として位置付けられています。
・ トレーサビリティについでの法令規制要求事項に整合することは、ISO22000:2018の要求事項として位置付けられています。 ・動物用飼料(食品)の動物にとって有害な成分への管理の対象が、Ver.5の追加要求事項の “2.5.8 製品の処方”の中で犬猫の限定から拡大されいます。
したがって、2018年11月に公開されたBoS決定リストに関しては、Ver.5の要求事項への大きな影響はありません。


7.その他関連事項② ―― 不適合の取り扱い

不適合の取り扱いですが、Ver. 4.1における3区分「軽微な不適合」「重大な不適合」「クリティカルな不適合」の定義については基本的には変更はなく、運用上も変わってきません。ただし軽微な不適合のルールについては、Ver. 4.1の「3ヵ月以内に是正処置の計画を提出する」が、「3ヵ月以内に是正処置の計画を提出し認証機関が承認する」になっています。

軽微な不適合
・審査の最終日から3ヶ月以内に完了。
基本的な取り扱いに変更なし。


重大な不適合
・審査最終日から28日(カレンダー)以内にフォローアップ審査(基本は現地、書類審査もあり得る)により完了を確認する。
・28日以内に対応が完了できない場合、登録証を一時停止すること。
基本的な取り扱いに変更なし。


クリティカルな不適合
・登録証は最長6ヵ月、直ちに一時停止。審査後14日以内に、原因、顕在化されたリスク、および是正処置計画を認証機関に提出する。
審査後6週間から6ヵ月の間にフォローアップ審査(現地審査:最少1人日)を実施し、是正処置が効果的に実施されていることを検証する。クリティカルな不適合が6ヵ月以内に有効に解決されない場合、登録証は取り消されなければならない。初回認証審査の場合、完全な初回認証審査を繰り返さなければならない。
14日以内に是正処置の計画を提出すること、及び、現地でのフォローアップ審査が審査後6週間から6ヵ月後までに実施され、是正処置の完了が確認されていること。


8.移行審査への準備 ―― Ver.5体系化の再見直しの機会

移行審査への準備の取り組みについては、Ver.5体系化の再見直しの機会と捉えていただければと思います。以下にFSSC22000 Ver.4.1登録組織様がVer.5に取り組む際のポイントをまとめました。

・FSSC 22000財団は、Ver.5の登録組織への要求事項に大きな変更はないようにアナウンスしています。
・Ver.5の追加要求事項自体には大きく見直しを必要とすることはありません。要求事項として大きく変わった点は、ISO22000:2018がFSMSの要求事項として位置付けられたことになります。
強いて言えば、Ver. 4.1追加要求事項にあったサービス提供者の管理が、ISO22000へ移動したことです。
・ISO22000:2018の要求事項については、2005年よりも組織経営を意識して組織の活動を体系化することが求められていますが、一部の要求事項を除いて2005年版と要求事項の意図に変更ないことから、一般的には大きな変更はないと言われています。
・「特に準備はいらないのか?」というご質問に対しては、「意図は変わりませんが、全体的に要求事項が具体化、細かくなっていることに対する一通りの見直しは必要です」という回答になります。特に、ISO22000:2018に関して見直し願います。そのISO22000:2018改訂のポイントとしては以下の6項目があげられます。特に太字の4つを重視してください。


1 リスクに基づく考え方の導入
2 プロセスアプローチとして二つのレベルのPDCAサイクル
3 管理手段の整理 / OPRPの定義変更
4 外部から提供されるプロセス、製品またはサービスの管理
5 外部で開発された食品安全マネジメントシステムの要素
6 法令・規制要求事項の整理


9.移行審査前 ―― 内部監査とMRは新バージョンで実施

Ver.5移行審査を受けるにあたっては、新バージョンの要求事項に従った一通りの活動が必要になってきます。今回、移行審査の受審日までの運用実績として、たとえば“3ヵ月”などと特定の期間は要求されていません。しかしながら、原則的には全要求事項に対する活動実績(内部監査とマネジメントレビューを含む)が必須です。その際、実施可能なことを被審査組織の都合で計画のみとする(先に延ばす)ことは不可となっています。以下に内部監査とマネジメントレビューについて必要だと思われる内容をご紹介します。

内部監査
・新バージョンの全要求事項に対する内部監査を、登録対象の全組織(部門)に対して実施してください。
→ 旧バージョンとの差分分析を基に、新バージョンについては、限定した要求事項の内部監査であっても結果に不足がなければかまいません。また、1回の監査ではなく、複数回の監査ですべての監査を完了させても結構です。結論として、新バージョンの全要求事項について、被審査組織様の責任で監査を完了し、適合性を保証できるように進めてください。
・内部監査員は、新バージョンに対して、適宜、教育され、承認されていること。
→ 外部の研修を受けることは必須ではありませんが、力量を保証するための適切な教育は必須です。
・内部監査での不適合に対する処置は、原則的に、修正は完了していることが必要です。
→ 是正処置の管理については、内容に応じて判断することになります。是正処置が完了していないことが、新バージョンの要求事項に対する不適合の事例となるのであれば、その項番での不適合として取り扱うことになります。


マネジメントレビュー(MR)
・新バージョンの内部監査を受けて、最終的には、新バージョンでの要求事項に沿ったマネジメントレビューを実施してください。
→ 1回のマネジメントレビューで、要求されるすべてのインプット情報を網羅する必要はありませんが、実績からは全インプット情報がインプットされている状態を確認できることが必要です。
なお、前回までのマネジメントレビューの結果採った処置の状況については、旧バージョンのマネジメントレビューのアウトプットのフォロー内容をインプット情報として用いる形で結構です。


最後に、繰り返しになりますが、今回のVer.5対応において、ぜひとも、効果的、効率的な運営を、過不足なく実現するような移行を実施してください。実現すれば、自分たちに関して現状以上の魅力のアップと強みの獲得につなげる、絶好の機会になるはずです。


【JMAからのご案内】
 「FSSC22000 Ver.5 移行対応プログラム」はこちら
 「FSSC22000 食品安全マネジメントシステム構築の流れと連続研修」はこちら
★注目のセミナー開催★
 本講演を行いました関根吉家FSMS技術部長による
「FSSC22000 Ver.5 改訂・移行ポイント解説セミナー」はこちら


すべての取材記事の紹介はこちらへ

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

CONTACT

各種お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ

03-3434-1446

メールでのお問い合わせ

JMAQAinfo@jma.or.jp

よくあるご質問

お問い合わせ

無料お見積もり