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マネジメントシステム改善のポイント

【連載:効果的な運用事例 ヌースフィット様 [ISO9001] 】パート従業員を含め、品質管理に対する意識が向上

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【連載:効果的な運用事例 ヌースフィット様 [ISO9001] 】パート従業員を含め、品質管理に対する意識が向上

取材先:
株式会社ヌースフィット
代表取締役 亀ケ森 修 様
開発部 主任研究員 見坊 啓子 様 *所属役職等は取材当時のものです。

「美容師さんが自信をもって使える製品を」――そうした理念のもと、理美容室および一般向け化粧品・医薬部外品の開発、製造販売を行うヌースフィット。従業員は18人と小規模だが、創業以来、毛髪科学の基礎研究に取り組み、最新の研究設備を整え、画期的な商品を生み出している。一例をあげると、代表取締役の亀ヶ森統氏の考案によるFMCBという毛髪成形理論を元にした、髪の損傷を最小に押さえるパーマ液や、色の染まるヘアトリートメント(カラーバター)、脳科学を応用したヘッドスパのシステムなどである。

同社は2017年3月にISO9001の認証を取得。そのきっかけや初回/サーベイランス審査の感想、従業員の意識の変化などについて、亀ヶ森氏と推進リーダーの見坊啓子氏にうかがった。

株式会社ヌースフィットの概要

本社所在地 東京都豊島区巣鴨1-23-10 エルコスビル6F
設立 2000年04月07日
従業員数 18名
事業内容 理美容室及び一般向け化粧品・医薬部外品の処方設計・製造・販売、毛髪科学の講習

登録情報

ISO9001      2017年3月21日登録

認証取得のきっかけ
信用を得る指標として、そして自己満足ではない品質の仕組みづくりとして

「ISOの必要性は、じつはかなり前から考えていました」と、亀ヶ森氏はISO認証の取得について語る。本格的に考える契機となったのは、海外との取引の可能性が増えてきたことである。同社は、10年くらい前から韓国や台湾に輸出を始め、近年はほかの国からの引き合いも増えてきた。

「その際、ISO認証を取得しているかどうかを聞かれるのです。たしかに海外企業にとって、日本の小さな会社がどんな組織かを見るための指標はあまりありません。そこでISO認証を取得していれば、評価の対象になりやすいのではないかと考え、取り組むことにしました。

 もう1つの理由は、第三者認証であるという点です。品質を高めるうえで、PDCAサイクルを回すことは非常に大切だということは、わかってはいるのですが、自己満足でやっていてもいい結果は得られません。やはり第三者認証でしっかりやることが必要ではないかと考えました」(亀ヶ森氏)。


代表取締役
亀ケ森 修氏

そうして、見坊氏をリーダーに取得活動を開始。見坊氏はたまたま前職でISO認証取得活動に携わった経験があり、内部監査員の資格も取得していた。
事務局は見坊氏を含め3人。「もともと素直な人が多く、とりあえずやってみようという土壌があった」(見坊氏)ため、認証取得活動は滞りなく進んだが、亀ヶ森氏は「ISOは業務をよくする一環との認識はあったものの、どうしても文書を揃えるという点に目がいってしまい、意識改革が必要でした」と、活動当初の様子を話す。
そこで見坊氏が従業員にじっくり説明するとともに、社長も「なぜ導入するのか」を、朝礼などで繰り返し説いた。

見坊氏は「当時は従業員にとっては難しかったと思います。とくに言葉の解釈が難解で、それを社長が、『うちの場合は、こう』と、かみ砕いて説明してくれました」と振り返る。

品質マニュアルは当初は従業員に任せていたが、ひな形の表現をそっくりそのまま書いてしまっていた。
「たとえば『……を明らかにする』と、ひな形の文言をそのまま書いていました。うちの会社では何を明らかにしなくてはならないか、そこを書かねば意味がないのに、それが理解できなかったようです」と亀ヶ森氏は苦笑する。結果的に品質マニュアルは亀ヶ森氏が作成し、詳細な規定集は見坊氏がつくっていった。
そんなスタートではあったが、2016年5月から研修をはじめ、9月にキックオフ。登録したのは予定通り2017年3月と、短期間での取得を果たした。

ISO研修事業部を活用
研修講師による講義の前に“プレ授業”

見坊氏は前職でJMAQAの審査を受けていたため、今回もJMAQAによる受審を決めた。
「他の審査機関との比較もしましたが、やはりJMAQAだなと感じました。その理由はまず、説明がていねいだということ。そしてフォロー体制もしっかりしている点です」と、見坊氏はJMAQAを選んだ理由を語る。

同社は、認証取得までの研修もJMAのISO研修事業部に依頼している。見坊氏は「じつはJMAQAに審査を決めたのも、こうした研修が充実していることも決め手でした」と、JMAの“付加価値”を語る。
そうして全員が内部監査員の資格を取得できることをめざして、研修講師による月1回の“授業”が始まった。とはいえ、時間も限られており、規格の中身を頭から一つひとつ詳細に講義していくのは難しく、またそれを従業員がしっかり理解できるかどうかという不安もあった。

そこで、より内容が理解できるよう、研修講師の授業の前に、見坊氏が講師となって事前に“プレ授業”を行った。
「“プレ授業”は、就業中の1~2時間、何度かに小分けしてレクチャーしました。一方、規格の解釈や“ISOとは”という重要な部分は、研修講師に説明してもらいました」(見坊氏)

その後は、事務局および社長に対してのレクチャーが中心となった。
「第一段階審査に向けての必要な書類や内部監査のやり方など、研修講師からは懇切丁寧に教えていただいたと思います。ただ、こちらが予習して疑問点を出さないと講師も応えられません。そこの準備が不足気味でした」と反省点を語る。

初回の内部監査を実施したのは、キックオフの1カ月後だった。
「内部監査は厳しくしなくては意味がないのだと感じたようで、しっかりできたと思います」(見坊氏)。
ちなみに現在、従業員18人のうち内部監査員の資格取得者は8人となっている。

従業員の変化
小さなミスも見逃さないように

「講師による研修を受けつつ、社内では毎日朝礼などで、みなでISOについて話し合っていました。そうしたことにより、ISOの考え方が少しずつ浸透していったと思います」と亀ヶ森氏は組織の変化を語る。その背景には、見坊氏の“工夫”があった。

「ISOで使用する言葉に慣れていないので、朝礼では『昨日の逸脱報告をしましょう』というように、あえてISOで使われる言葉を使うようにしました。『この業務をこうしてしまうことが逸脱なのですよ』『こういうことが不適合なのですよ』と、日常業務のなかでその言葉がどういうときに使われるのかを、意識づけるようにしたのです」(見坊氏)

そうした働きかけにより、たとえばミスが起きたときの従業員の反応などが変わってきた。

「何かミスがあったとき、『これから注意します』と、うわべだけで言ってもあまり意味がないということがわかってきたようです。なぜそのミスが起きたのか、単に謝って反省するだけでなく、反省点を多面的に見るようになりました。


開発部 主任研究員
見坊 啓子氏

また、これまでは、メディアで取り上げられる企業のミスや不祥事などが朝礼で話題にはなっても、『自分たちには関係ない』という受け止め方でしたが、『自分たちであればどうだったか』という考え方になりつつあります。われわれの仕事は薬機法の規制の中で動いており、いい加減なことをするとお客さまや社会に迷惑がかかってしまいます。その意識がより強くなってきたと感じます」(亀ヶ森氏)

見坊氏も「安易なミスがなくなりました」と話す。

「とくに変わったのはパート従業員の意識です。たとえばシールが逆に貼ってあるというような、ちょっとしたミスでも見逃さなくなりました。よい品質の商品を届けることが一番大事だということが体に染みついてきたようです。最近驚いたのは、容器の色が少しだけ変わっていたことを、資材準備の段階でパートさんが見つけてくれたことです。これまでだったら見逃していたようなことも、ISOの認証取得活動をするようになって、製品標準書を見てしっかり準備するようになりました。そしてそれを基準に話すようにもなってきました。

何より品質管理に対して曖昧にしないようになったと感じます。『今までこうだったからこれでいいや』ではなく、『今まではこうだったかもしれないけれど、もっとよくするにはこうしよう』という考え方が出てきつつあります」(見坊氏)

亀ヶ森氏は「もしかしたら、これまでは思っていても遠慮して言えなかったのかもしれません。それが、標準がしっかりできたことで、言えるようになったとも考えられます」と話す。

こうした品質への意識の変化は、同社の製品の信頼性向上につながるのは間違いないだろう。

初回審査、サーベイランス審査の感想
「仕組み」をつくっていくことの重要性に気づかされた

初回審査について、亀ヶ森氏は「審査員のおかげか、審査は緊張しませんでした」と話す。

「審査員が豊富な事例を随所で例示してくださることで、初めてでよくわからない従業員でもISOに対してのイメージを働かせることができました。一方で、審査や内部監査だからと急に対応するような付け焼き刃的なことは役に立たず、そこに従業員も気づいたようです。『審査のときにこう言われたね』と、その後の業務にも活かされているとも感じます。これまで内部の人間が言ってもなかなか直らなかったことも、外部からの指摘によって直していくようにもなりました。審査というものはいいことだな、と感じています」(亀ヶ森氏)

見坊氏も「自分たちと同じ目線に立って審査してくれたこと、上から目線ではなかったことがありがたかった」と、審査員の「目線の低さ」を評価する。

「『ISOはそんなに構えなくていいのだ。通常の自分たちの業務の中でサイクルを回すことが大事なのだな』ということが従業員にも伝わったと思います。随所で経営に役立つヒントも与えてくれました」と、見坊氏は審査以上の価値が得られた様子を語る。

 初回審査後、第2回内部監査をはさみ、1年後にサーベイランス審査を実施した際も「自分たちに気づかせるように話しをしてくれ、みなも真剣に聞いていました」(亀ヶ森氏)とJMAQAの審査員への評価は高い。

見坊氏は、「内部監査の原因を“人”のせいにしてはいけない、ということをサーベイランス審査で審査員に言われたことが印象に残っています」と話す。

「『認識がなかった』『忘れていた』というような人にまつわる問題だと、二度と起こさないという保証はありません。人ではなく “仕組みを変える”ことをしなくてはならないと、教えられました。『ミスをしない』のではなく『ミスができないうまい方法はないか』を考える。そういう見方で内部監査をしていくことができれば、『こうしたらいいよね』と提案が出るようになるのではないかと思います。今はまだ言われたことをやる状態ですが、提案がたくさん出るようにしていきたいと思います」(見坊氏)

亀ヶ森氏も「営業もお客さまのいうことだけに対応している側面がある」といい、それが提案型営業になることを期待している。

今後について
「小さなPDCA」を回して実行していく組織に

ISOへの期待が高い一方、亀ヶ森氏は、「自分にとってもっと納得感のいくISO」を模索中でもある。

「たとえば業務フローは誰のためにあるのか。何も知らない人に説明するためでのものであれば、社内ではみな、すでに知っているので必要ないと思うのです。そうしたことを始め、自分なりにもっと納得できる回答を見つけたい。ただ、その回答を見つけていくこと自体が、PDCAを回すことなのかもしれませんが」(亀ヶ森氏)

同時に、代表者として組織へのさらなる浸透にも注力する意向だ。

「“観察事項”や“水平展開”という言葉を出して従業員を叱ると、1週間くらいはその言葉をよく使いますが、そのうち忘れて言わなくなってしまうので、常にそうした言葉が出てくるようにしたい。小さなPDCAを回して実践していかねばならないと思っています。また、板橋区ではBCP(事業継続計画)に力を入れていますが、BCPをISOに組み込んでいきたいと考えています」(亀ヶ森氏)

 現在、同社は、一般向けのスキンケア商品の製造販売を計画中である。

「毛髪も肌もアミノ酸でできています。弊社ではアミノ酸の挙動を踏まえて製品づくりをすることで、損傷の少ないパーマ液を開発することができました。毛髪で培った技術は、肌の弾力を維持することなどにも応用展開できるので、スキンケアにも新しい仕組みを開発していきたいと考えています」(亀ヶ森氏)。
商品開発への徹底した探究心や応用力があるヌースフィット。ISOという仕組みについても、徹底して活かすことができそうだ。

 

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