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マネジメントシステム改善のポイント

【「食品安全」対応編 公開研修「FSSC22000規格解説・システム構築シリーズ」】

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【「食品安全」対応編 公開研修「FSSC22000規格解説・システム構築シリーズ」】

「FSSC22000規格解説・システム構築シリーズ」講師に聞く
規格要求事項の本質の理解を通して

自社に合ったFSMS構築を支援

取材先:
「FSSC22000規格解説・システム構築シリーズ」担当講師 田中 辰幸

記事目次

1.研修コース概要

食品安全マネジメントシステムとして、現在GFSI認証スキームの一つである“FSSC22000”の認証件数が大きく伸びています。おかげさまで日本能率協会 審査登録センターは認証件数で国内トップの実績です。
FSSC22000の要求事項は、食品安全マネジメントシステムとして全ての食品関連企業に適用されているISO22000、前提条件プログラム(PRP)として各食品業界向けに確立された個別の技術仕様書、およびFSSC22000追加要求事項としてGFSIのベンチマーク認証として承認を受けるための付加的要求事項から構成されています。
FSSC22000認証の取得に向けシステム構築に取り組む企業様の中には、規格要求項目に対して具体的にどの程度のレベルまで対応すべきか、悩んでいるケースがあるようです。

今回ご紹介する研修コース「FSSC22000 規格解説・システム構築シリーズ」は、FSSC22000認証取得に向けて、ISO22000やISO/TS22002-1規格を理解した上で、現場の実態に合わせたシステムの構築、運用を学ぶための内容になっています。

2.研修コースプログラム

【 1日目 ISO22000編 】
1. FSSC22000の全体像
2. ISO22000規格の全体像と規格要求事項の解説
 (1)ISO22000の目的
 (2)ISO22000:2005規格の解説
 (3)従来HACCPで使われていた用語とISO22000の用語
 (4)ISO22000:2005の法令・規制に関する要求事項
3. ISO22000マネジメントシステムの構築
 (1)「 食品安全マニュアル」作成のポイントと具体
 (2)ISO22000:2005で要求されている「文書」と「記録」
 (3)「 文書」及び「記録」とその具体例
4. FSSC22000、ISO22000を効果的に運用するポイント
5. 質疑応答

【 2日目 ISO/TS22002-1編 】
1. ISO/TS22002-1規格の全体像と概要
2. ISO/TS22002-1要求事項解説とシステム構築のための具体的対応
・建物の構造と配置
・有害生物の防除(ペストコントロール)
・施設及び作業区域の配置
・要員の衛生及び従業員のための施設
・ユーティリティー ~空気、水、エネルギー
・手直し
・廃棄物処理
・製品リコール手順
・装置の適切性、清掃
・洗浄及び保守
・倉庫保管
・購入材料の管理(マネジメント)
・製品情報及び消費者の認識
・交差汚染の予防手段
・食品防御、バイオビジランス及びバイオテロリズム
・清掃・洗浄及び殺菌・消毒
※ISO/TS22002-1規格と“追加要求事項”に対して具体的にどの程度まで取り組めばよいのかを解説します。
3. FSSC22000 Part1 追加要求事項4. FSSC22000審査における注意点について5. 質疑応答


3.研修コース紹介

研修コース「FSSC22000 規格解説・システム構築シリーズ」は、「ISO22000編」と「ISO/TS22002-1編」の2日構成です。今回は初日の「ISO22000編」の模様をご紹介します。今回の講師は、ISO22000とFSSC22000の審査経験が豊富な田中辰幸が担当しました。

本コースでは「FSSC22000の全体像」を解説した後、「ISO22000規格の目的と規格要求事項の解説」と「食品安全マネジメントシステムの構築」に関して詳説していきます。開講後、まず田中講師が本コースのねらいを紹介、続いて参加者全員による自己紹介に続きます。質疑応答より解説が中心のプログラムですが、どのようなメンバーが参加しているのかが分かり、休憩時間には名刺交換する方々もいっらしゃいました。

●「ISO22000の目的」解説
講義の冒頭、「ISO22000目的」の解説がありました。個々の要求事項をしっかり理解するには、最初にISO22000規格のねらいを知っておくことが重要だからです。「食品安全マネジメントシステムでは何をマネジメントするのか? 消費者が求めている食品安全とは何か? 社会が求める食品安全とは何か? 企業に必要な食品安全とは何か?」と質問することで、あらためて食品安全の重要性を強調していきます。 


食品安全に対する質問について、田中講師は次のように解説しています。
「『企業様に必要な食品安全』とは、法令順守、危険物質の非使用、製品の安全、適切な表示、緊急時の対応(事故を事件にしない)、社員教育、広報活動など非常に多くのテーマが該当します。これらのテーマへの対応に問題があると企業の存続に影響を及ぼすおそれがあります」「ISO22000は、消費者が求める食品安全をベースにして、社会が求める食品安全に関して、製造業をはじめそれぞれの立場で行なうべき方策の実施を求めています」

●「規格の目的と規格要求事項」解説
続いて「規格の目的と規格要求事項」の解説に移ります。この時間は各箇条ごとに説明した後、具体例を交えながら解説していきます。
例えば「5 経営者の責任 5.1経営者のコミットメント」では、まず規格文について解説します。
「規格には法令・規制要求事項を満たすことの重要性を組織内に周知すると書いてあります。トップマネジメントにはこうした職場環境を作ることが求められていますが、実際に周知できたかどうかは、現場が法律を守ることが大切であることを理解しているかどうかで判断できます。ですから審査では作業者に直接確認されることがあります」 


続いて該当箇条に関する解説に続きます。
「規格にあるコミットメントとはお約束のことです。約束したという証拠を a)から e)で示すことが必要になります。例えば a)は食品安全方針あるいは経営方針などで示すことも考えられます」
 

●「質問タイム」
休憩時間に参加者から田中講師に次々と質問が寄せられました。

 「食品安全マニュアルとはどういうものでしょうか?」
研修コース再開後、質問への回答を交えて解説します。
「食品安全マニュアルという単語は規格の中にはどこにも出てきません。はっきりとは書かれていないのでどんなものか?というご質問をいただきました。品質マニュアルや環境マニュアルなどと同じように、要求事項の4章から8章までの自社の対応手順を網羅的にまとめた文書に類するものだとご理解ください」

●「食品安全マネジメントシステムの構築」の解説
規格の目的と規格要求事項の解説によってISO22000を理解した後は、「食品安全マネジメントシステムの構築」の解説に移ります。
例えば、ISO22000で要求されている「文書」と「記録」の違いについて、「手順ではないが文書化が要求されているもの」「文書化の明確な要求事項ではないが文書で規定することが望ましいもの」「記録が要求されているもの」等を箇条を挙げて説明していきます。



4.ISO22000編 参考資料 「規定」類サンプル

本研修コースのテキストでは参考資料として、「フローダイアグラム」「QC工程表」等の事例資料を紹介しています。
「規定」についてもサンプルを例示しています。これらを参考にすることで、自分たちに合った食品安全マネジメントシステムを効率的に構築することができます。
 


5 講師インタビュー

食品安全マネジメントシステムの効果的な運用は
内部コミュニケーションにかかっている


Q. 本研修コースのセールスポイントについて教えてください。

規格の理解を深めるために、実際の運用事例や模擬の審査場面を採り入れて、活用場面がイメージできるような解説を心がけています。
認証取得に向けてシステム構築に取り組む企業様の中には、「基幹となるISO22000やPRP要求事項のISO/TS22002-1規格要求に対して具体的にどの程度のレベルまで対応すべきか?」とお悩みになる場合があるようです。


ISO22000やFSSC22000に対応した食品安全マネジメントシステムの導入は企業戦略の一環であるはずです。この点を理解した上で、「食品安全に関する経営上のリスク」「製品のハザードとそのリスク(科学的なもの、顧客要求、法令など)」の2つのリスクを明確にして構築に取り組むことが必要です。

例えば、これらのリスクに関して想定する内容について、現状の仕組みで100%管理できていると考えているなら、その仕組みや手順をそのまま文書化すればいいのです。一方、足りないところが具体的にはっきりしている場合、強化していくことが必要です。あるいは仕組みとしては“なんとなく管理できている状態”の場合も同様です。

では実際にどこまでやるかですが、例えば不明確なところがあれば要求事項と照らし合わせて、「〇〇まではできている、ただし××はできていない」と具体的に見極めていくことが必要です。その上で、できていないと判断した場合、どうしてできていないのか、その原因を考えていくことで、どこまでやるべきかが見えてくはずです。

これらの一連の対応には、どこまでそのリスクを許容できるか、組織としての判断も絡んできます。この判断についてはマネジメントレビューの場が適当でしょう。マネジメントレビューのインプット項目にして経営者に判断してもらうのです。「要求事項では〇〇まで求めていて、わが社の取り組み状況は××になっています。そのために△△のリスクがまだ残っています」といった内容を報告した上で、リスクを受け入れるかどうかを経営者の判断に委ねるのです。

いずれの場合も、仕組みについて検証と評価、運用を繰り返して、確実なものにしていくことが重要です。

Q. 食品安全マネジメントシステム導入のポイントについて教えてください。

最も重要なことは経営者の導入に向けての決意です。先頭に立ってやるとの意気込みを示してもらい、事務局の後ろ盾になっていただくのです。同時に、食品安全チームも大きな役割を果たすので、チームメンバーの意識統一やメンバーに知識をしっかり持たせることも欠かせないでしょう。

また、全社的な活動になるので、導入によるメリット、あるいは導入しない場合のリスクについてそれぞれ明確にして、社内全体に示していくことも必要でしょう。例えば、顧客要求なら導入しない場合、売上高が〇×万円減少するおそれがあるといった説明などもよいでしょう。

Q. 研修コースの参加者にとくに理解して欲しい点を教えてください。

規格要求事項に対する「もやもや」を解消していただければと思います。実際の自分たちの職場の仕事とどのような関わりがあるのか、こうしたことをご理解いただけるように心がけています。
そのためには要求事項について文字面ではなく本質を知ることが必要であり、その結果として対応方法に広がりを持たせることにつながります。

「お客様から言われて〇〇をやることを求められています。困りました」という相談をよくいただきます。こうした場合、本質を理解した上で一歩下がってみてみると、「〇〇ではなくとも××のやり方もある」「□□の方がやりやすい」などと別の取り組みが見えてくることは多いようです。

Q. FSSC22000について強調しておきたいことを教えてください。

まず世界最高レベルの食品安全マネジメントシステムであることをご理解ください。ですから自分たちに合ったシステムでない場合、認証取得自体は力業でできたとしても、その後のシステム維持が大変になるでしょう。他のISOマネジメントシステムと同様、導入するからには継続的改善につながるシステムにすることが重要です。
そのためには構築時こそ、規格の意図をしっかりご理解しならが取り組んでいくことが大切です。

また、システムを効果的に回すには、食品安全チームのモチベーションの維持とメンバーの協力がポイントになってきます。食品安全チームのメンバーが各職場をとりまとめているからです。ここでは、トップの考えが食品安全チームメンバーを通して現場まで伝わっていく、まさに内部コミュニケーションがポイントになってくるでしょう。そのためにも先ほども強調しましたが、社内に向けて、認証取得の意義や目的について、説明し続けていくことが重要になってきます。

 


日本能率協会講師
田中 辰幸(たなか たつゆき)




日本酒メーカーに入社後、主に品質管理、品質保証業務を担当。ISO9001管理責任者、TPM活動の事務局も担当。2008年度日本プラントメンテナンス協会関西支部TPM研究会リーダー。2010年1月より日本能率協会で研修セミナー講師を務める。ISO9001マネジメントシステム(システム:ハード)とコーチング(コミュニケーション:ソフト)の両輪で「ものづくり日本」を支援中。
現在ISO審査員(9001品質、22000食品安全)、ISO構築コンサルタントとして活動中。


【研修コースご案内】
2日間コース 選択受講可(ISO 22000編、ISO/TS 22002-1編)
FSSC22000 規格解説・システム構築シリーズ
詳細はコチラまで。

 

 

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