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マネジメントシステム改善のポイント

【「食品安全」対応編 公開研修「HACCP(ハサップ)の肝(キモ)習得セミナー」】

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【「食品安全」対応編 公開研修「HACCP(ハサップ)の肝(キモ)習得セミナー」】

研修講師にHACCP対応のポイントを聞く
実例を引用してわかりやすく解説!

取材先:
「HACCP(ハサップ)の肝(キモ)習得セミナー」担当講師 古谷 暢男

改正食品衛生法が2018年6月に公布されました。
食品を扱う事業者は、この公布によって食品の安全管理手法「HACCP」を導入することが原則的に義務化されることになっています。
HACCPによる衛生管理の制度化は、公布から2年以内に施行され、さらに1年間の猶予期間が設けられていますが、事業者にはいち早い対応が求められている状況です。
これからHACCPに取り組む事業者、すでに取り組み済だが食品安全活動のさらなるレベルアップを目指している事業者、この両者を対象にした「HACCP(ハサップ)の肝(キモ) 習得セミナー」について、古谷暢男講師にご紹介いただきます。

1.具体的な事例に基づいた解説を重視

Q.本セミナーの特徴について教えてください。

まずセミナー対象としては、これからHACCPに取り組む食品事業者様、すでにHACCPに取り組み済であらためて「フローダイアグラム」や「ハザード分析」についてより深く検討してみたい食品事業者様の両方を想定しています。

次にセミナーの特徴については、具体的な事例に基づいた解説を重視しており、テキストでも事例をできるだけ多く取り上げています。
事例にこだわる理由は、食品安全担当者様がHACCPに対応する際、実際の業務についてどのようにすればいいのか、分かりにくいことが多いと聞いているからです。その原因としては、HACCPについてはあくまでもガイドラインであり、統一された国際規格などが存在しないことが関係しているようです。

そこで本セミナーではHACCPの内容を解説する際、できるだけ事例を使って、「HACCPにある○○の内容は、△△を作る食品事業者の場合、□□の工程が該当します」などと関連づけて具体的に説明しています。セミナー参加者にとっては、取り上げられた事例の内容が自社のビジネスとは異なっていても、考え方は参考になるはずです。ご自身でHACCPに対応する際、自社では何をやるべきかが見えてくるでしょう。

取り上げる事例に関しては、できるだけ実例に近いものを用意していますが、私自身が審査などで関わったケースなどをご紹介するわけにはいきません。そこで、今までの企業経験や審査を通して得た知識を基に、一般的な内容にはしつつ架空ですがより実践的なものをご紹介しています。

2.フローダイアグラムにはできるだけ具体的に記述

Q.本セミナーで詳しく取り上げる「フローダイアグラム」の作成のポイントについて教えてください。

フローダイアグラムを作る際、各工程の中身に関してはできるだけ具体的に記述することです。
例えば保管の工程があった場合、フローダイアグラムには単に「保管工程」と記すだけでなく、どういう保管なのかを書いておくのです。「冷蔵保管」や「常温保管」などと保管方法が細かく分かれるケースが多いはずです。

そもそもフローダイアグラムを作るねらいは、ハザード分析を的確に行えるようにすることです。ですからハザード分析の際に参考となるであろう情報を、できるだけ多く盛り込んでおく必要があるのです。例えば「冷蔵保管」と書いてあれば、温度管理が必要だと分かります。その上で対応としては、温度と微生物の発生が関係あるので、適切な管理が求められるはずです。

あるいは搬送の工程があった場合、その方法についても記しておく必要があります。ベルトコンベヤーを使うのか、あるいは粉モノなら空気搬送のケースもありますし、液体ならポンプを使う場合もあるでしょう。搬送する方法に関連して発生するハザードが変わってくるので、ハザード分析で役立つように、具体的に記述しておくことが欠かせないのです。

Q.どこまで細かく書けばいいのでしょうか。

実際にハザード分析をやってみると、どの程度まで情報が必要なのかが分かりますが、まずは分かる範囲でいいので、できるだけ多くの情報を盛り込むことをお勧めします。

充填包装の工程で考えてみると、最近は充填機で充填包装のすべての工程を行うケースが少なくないようです。この場合は「充填工程」と書くだけでは不十分です。

例えば充填機の中にフィルターを設置して、異物混入を防ぐ工程が含まれているケースがあります。この場合、フローダイアグラム上で「充填工程」の箇所に、「フィルター除去」と書いておくのです。この情報から、フィルターの管理を適切に行うことで、異物混入というハザードを抑えることにつながっていくのです。

あるいは充填機でシール印字を行うケースもあるでしょう。このシール印字の工程に問題があると、賞味期限の表示が適切に印字されない事態なども考えられます。そこでフローダイアグラム上には「シール印字」と書いておく必要があるのです。

このようにフローダイアグラムには細かく具体的に書いておくことが必要なので、社内の取り組みをとりまとめる食品安全チームなどを組むなら、そのメンバーには設備や工程の細部について詳しい人材を加えた方がいいでしょう。

3.ハザード分析はCCPとOPRPありきは避けるべし

Q.「ハザード分析」のポイントについて教えてください。

「ハザード分析」については、具体的に「これが正しい方法」などと紹介するのは難しいです。その理由は、事業種ごとに可能性があるハザードや管理手段が違うからです。ただし「ハザード分析」に関しては、その意図を含めてしっかり理解して基本的な流れを押さえておくことは重要ですし、ここが分かっていれば自分たちにあったハザード分析ができるはずです。

その「ハザード分析」の流れとしては、まずフローダイアグラムの工程ごとにハザードを抽出します。ここでは考えられるハザードをすべてピックアップすることがポイントです。次にピックアップしたハザードについてその管理の必要性の評価を行います。どれ位危ないハザードなのか発生の可能性を含めて評価を行うのです。続いて、危ない且残存の可能性が高いハザードについて、管理手法・手段を選択します。
例えば病原性微生物に対して、その予防、許容水準までの低減する手段が複数ある場合、管理対象として最後の砦となるところを特定し、CCP(重要管理点)とするのです。

以上がハザード分析の基本的な流れであり、この手順に沿って進めればいいでしょう。

一方、「ハザード分析」の際に避けて欲しいのは、ともかくCCPとOPRP(オペレーションPRP)ありきで、紹介したような流れを経ずに決めてしまうことです。
実際、先に決めてしまい後づけ的にハザード分析をやっているケースを見かけることがありますが、この手順でやると、重大なハザードを見落とすおそれがあるのです。あくまでもご紹介したような流れでハザード分析を進めていき、「〇〇の理由から××工程をCCPにする」としっかり説明できるようにしていただければと思います。

さらに、重要なことは、「ハザード分析」の結果から選んだ管理手法・手段(CCP)の手順をしっかり守ることです。 せっかくしっかりハザード分析を行っても、運用がいいかげんだと食品安全に関して重大な問題が生じかねないからです。

4.すべては一般的衛生管理が確実に実施されていることが前提

Q.HACCPに対応する際のポイントについて他にはどんなことがあるでしょうか。

食品の安全を押し進める上でHACCPはもちろん大事ですが、まずは一般的衛生管理について確実に実施してください。HACCPの前提であり食品安全活動の基本だからです。この取り組みがおろそかだと、HACCPにいくら一生懸命取り組んでも期待するほどの効果は得られないでしょう。さらに、食品安全活動においては、基本は5Sであることを強調しておきます。

例えば、清掃を毎日やっていても隅々までやらずに形だけなら重大な問題が生じるかもしれません。あるいは「手順をしっかり守っています」と言いながら、手が汚れた状態なら食品安全に関して何か大きな事故につながります。

Q.セミナー参加者にとくに理解して欲しい点を教えてください。

本セミナーでは用語の定義について解説する時間をしっかりとっています。食品安全関連で出てくる用語を理解することが重要だからです。
理解が曖昧だったり、参加者と講師との間で解釈が異なっていたりすると、実際に企業の現場にお戻りになって仕組みづくりを行う際、混乱を招きかねません。

例えばよく使われる用語でしっかり使い分けることが必要なものとして、「ハザード」と「危害」、「管理手段」と「モニタリング」、「許容水準」と「許容限界」などがあります。これらの用語を理解してそれぞれの違いを把握しておくことは欠かせないでしょう。

ですからセミナーにおいては、冒頭でいくつもの用語について解説する時間をとり、途中でも新しい用語が出てきた場合、適宜、説明をはさんでいます。

Q.最後に食品安全担当者へメッセージをお願いします。

食品安全に関しては、正確でより詳しい情報を得るようにしてください。
例えばノロウイルスやO-157などによる食中毒をマスコミ報道などでよく見聞きします。これらは摂取量が少なくても食中毒の症状が発症する菌ですが、腸炎ビブリオなどは比較的大量に摂取しないと発症しない菌です。
ハザード分析をする場合、摂取量なども考慮する必要があるでしょう。ですから正確でより詳しい情報が必要になってくるのです。

さらに情報については、最新の内容を入手することも重要です。例えば食中毒を引き起こす新しい菌が出てきたら、最新の関連情報を入手してタイムリーな対応につなげていくことが欠かせないはずです。

繰り返しになりますが、HACCPへの対応においては、教科書などに書かれていることを通り一遍なぞるだけだと、自分たちのハザードに応じた効果的な取り組みにはならないでしょう。むしろ、余分なことまでやりかねないともいえるでしょう。

ぜひとも本セミナーにご参加いただき、ハザード分析の意図を理解した上で実施し、自分たちの商品・サービスのハザードに応じた効果的な食品安全活動につなげていただくことを期待しています。

 


日本能率協会講師
古谷 暢男(ふるや のぶお)




1971.4~2003.2:三菱マテリアル株式会社及びグループ会社において食品容器(飲料用アルミ缶)、化学品等の研究開発・製造・品質管理・技術営業・ISO推進室・小集団活動・TPM活動推進などを経験。
2003.9~2008.3:株式会社万城食品 製造部改善活動指導、ISO事務局。
2008.3~現在:日本能率協会 ISO9001、22000、FSSC22000専任審査員、ISO主任講師。

 

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