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マネジメントシステム改善のポイント

【内部監査】内部監査の目的・役割を再認識し ~ 実施方法も見直し ~ システム及びパフォーマンス改善に活かす [日本能率協会 QMS・EMS主任登録講師 宮澤 武]

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【内部監査】内部監査の目的・役割を再認識し ~ 実施方法も見直し ~ システム及びパフォーマンス改善に活かす [日本能率協会 QMS・EMS主任登録講師  宮澤 武]

取材先:
一般社団法人日本能率協会 QMS・EMS主任登録講師  宮澤 武


「内部監査を実施しても成果が見えない」「指摘の内容が似通っている」「監査自体がマンネリに陥っている」etc. 内部監査を巡ってISO認証を取得した企業様からいろいろな悩みの話が聞こえてきます。こうした状況に対して内部監査をどのように改善すればいいのでしょうか? 

例えば形だけの内部監査、いわゆる形骸化した監査に陥っている場合、脱却するにはどうしたらいいのでしょうか? 今回は内部監査に関する改善方法をいろいろご紹介します。話を聞いたのは日本能率協会で長年ISO研修コースに携わってきた宮澤武講師です。


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1.マンネリから抜け出すには
 内部監査のやり方を見直してみる

Q.まず内部監査の役割を教えてください。

宮澤講師(以下宮澤のコメントです) ISOマネジメントシステムは経営ツールです。経営ツールとは道具ですから、例えば錆びたり、故障すると本来の機能を発揮できません。ですから定期的な手入れが必要になってきます。内部監査はこの定期的な手入れの重要な活動です。

そもそも内部監査とはどういう活動かというと、組織自身で改善の種を見つけ、改善提案を行い、ISOマネジメントシステムの有効性向上や成果の向上につなげていくために実施されるものです。しっかり機能させればISOマネジメントシステムの継続的改善につながっていきます。ただ、実際の運用において悩みを抱えている組織様は多いようです。

Q.どんな悩みがあるのでしょうか。

ISOマネジメントシステムの認証取得時から内部監査の役割を正しく認識していなかったという場合もありますが、一番多いのがマンネリでしょう。ISOの認証を取得して時間が経つにつれて、内部監査においては指摘など具体的なアウトプットが少なくなる、指摘があったとしても“記録がない”、“文書の見直しがされていない”といった表面的で、“荒探し”活動になっているケースです。こうなると内部監査自体がネガティブに捉えられかねません。

そこで、より効果的な指摘が出るようにするために、内部監査のやり方を見直し、必要なら思い切って変えてみるといいでしょう。ISO監査に関する規格であるISO19011「マネジメントシステム監査のための指針」でも、内部監査のやり方自体にもPDCAサイクルを回して見直しをかけて改善していくことが推奨されています

2.5W1Hの質問で
 情報収集を図り課題抽出へ

Q.具体的にどのように変えればいいのでしょうか。

一例としてチェックリストの改善があるでしょう。チェックリストの中身でよく見かけるのが、監査を受ける側が「はい」「いいえ」と答えるだけで済む質問を並べたものです。監査員はチェックリストに書かれた内容を順に聞いていくだけで、個々の質問から得られた内容について深堀はしません。こうしたやり取りだと、改善の種となるような指摘はなかなか出てこないでしょう。そこで心がけていただきたいのが、When(いつ) Where(どこで) Who(誰が) What(何を) Why(なぜ) How(どのように)の5W1Hの視点です。

改善の種となる指摘を出すには、現場で起きていることを分析するための情報が必要です。そこで、十分な情報をもれなく得るための質問をしっかり用意しておくのです。
「どのようなやり方をしているのか?」「そのやり方にはどのような理由があるのか?」「やり方の役割分担は明確になっているのか?」「実施時期は決まっているのか?」等々、チェックリストには5W1Hの視点で関連性を持たせて具体的に書いておくといいでしょう。

Q.誰がチェックリストを作るのが適当ですか。

個々の監査員に任せた場合、いろいろな視点が出てくるメリットがあります。ですがマンネリに陥っているような状況なら、チェックリストを大幅に変える必要があるので、事務局などがまとめて作り直すのがいいでしょう。また、チェックリストを使うと内部監査のやりとりがワンパターンになるとの意見もあるようです。そのような事態もありますが、誰が作るにしても、重要事項の聞き逃しを防ぐためにもチェックリストを使って内部監査を実施することが重要です。

Q.チェックリストの出来栄えが監査のレベルにつながりそうですね。

チェックリストの改善方法に関していろいろご紹介しましたが、強調したいのは、理想的な内部監査とは、被監査側の課題に対して監査のやりとりを重ねる中で深堀していき、どのような原因があってどんな改善ができるのか、監査員と被監査側が一緒に考えるような展開です。

チェックリストで用意しておく質問は監査でのやりとりのきっかけに過ぎません。チェックリストの出来栄えも重要ですが、まず監査員に内部監査の本来の役割を理解してもらい、さらに組織全体でもそのような認識を共有することです。

Q.続いて監査テーマについて教えてください。

内部監査では、各部門の活動が定められたルールに沿っているかどうかをまず確認することになりますが、目標達成に向けてISOマネジメントシステムのPDCAサイクルがうまく回っているのか、成果を確実に得るために現状の手順、活動、管理方法などに改善すべき点はないかなどを見ていきます。その際、各回の内部監査で特定のテーマ、つまり内部監査の目的を設定して、そこに焦点を当てて確認していけば、監査員も確認の重点ポイントが絞れて、深堀もしやすくなり、より多くの改善の種が発見できるでしょう。

その監査テーマですが、毎回、同じでも構いませんが、せっかく内部監査で採り上げるなら、自社にとってタイムリーなものを選ぶことをお勧めします。例えば品質クレームや品質不良が頻発しているなら、その対策などに焦点を絞るのです。環境法規制が改正された、あるいは法規制違反があった、といった状況ならコンプライアンスに焦点を絞ったのテーマ設定が考えられます。

なお、監査テーマはトップが決めるのが理想ですが、難しいなら管理責任者あるいは事務局がトップの意向を汲んで決めてもよいでしょう。

Q.内部監査のスキルやノウハウについては、監査員はメンバーの入れ替わりがあるので、組織として維持、管理が必要になってくるはずです。ー

ISOマネジメントシステムは運用年数とともに継続的改善を重ねていきます。それにともなって、毎年実施される内部監査の有効性についても組織全体としての技量は向上していくはずです。監査員個々の技量をあげていくには、監査員の技量レベル応じた教育体制をしっかり組むことが重要です。例えば監査員の入れ替わりがあり、新たに監査員を任命する場合は、基礎から学ぶ「内部監査員養成研修」の受講が必要です。あるいは、経験がある監査員の技量をより高める必要がある場合は、既存監査員を対象にした「内部監査員スキルアップ研修」の受講も欠かせないでしょう。

重要なのは、内部監査員のスキルやノウハウについては個人頼みではなく、組織として監査ノウハウを蓄積し伝承するような維持、管理の体制をとることです。そのためには、監査チームの編成では新人とベテランと組ませて、監査活動を通じて新人にベテランのノウハウを学ばせる、つまり監査活動でOJTを行うことや、前にも言いましたが、内部監査のやり方自体にもPDCAサイクルを回して見直しをかけて改善していくことなどが考えられます。

3.自社データベースを使い
 被監査側の情報を事前にチェック

Q.効果的な内部監査にするには他にどんな方法がありますか。

ある企業様では内部監査が終わった後、毎回、被監査側に監査や監査員に関するアンケートをとっています。オーソドックスなやり方ですが、差し障りない感想だけでなく、改善要望など建設的な意見を集めることができれば、それが監査や監査員のスキルやノウハウ向上に役立つはずです。

他にもお勧めの方法として、ISO19011「マネジメントシステム監査のための指針」でも推奨していますが、監査先の情報を事前にチェックしておくことも挙げておきます。監査時間は通常1~2時間程度が一般的ですから、限られた時間で効率的に監査を進めるためには、できる限り事前に被監査側の情報を調べ、それを監査チェックリストに反映させて、なるべく本質的なやりとりに時間をさけるように準備しておくのです。

例えば納期遅れが発生しているなら、関連する社内データを事前に確認しておきます。監査現場で「進捗状況は計画より5%遅れていますがその原因はどこにあるのですか?」などとすぐに質問ができれば、より深堀したやりとりができる余裕が出てくるでしょう。

いまや、自社のデータベースなどに、自社ビジネスに関するさまざま情報を収めている企業は多いはずです。内部監査員にアクセス権限を持たせて、事前に必要な情報をチェックさせるのも一手でしょう。

Q.内部監査の改善にはいろいろなやり方がありますね。

やり方を変えることは効果的ですが、同時に、内部監査について自社内における位置づけや捉えられ方について見直しをすることが必要でしょう。例えば「内部監査はあら探しで不適合を見つけるもの」「不適合など指摘はないほうがいい」などと誤解されているなら、監査への協力が得られないかもしれません。こうした状況なら、「内部監査は改善のための活動」という理解を広めることが、内部監査を効果的にすることに有効でしょう。

4.「課題発見シート」を通して
 自社の課題を抽出

Q.内部監査が、問題点を見つけて改善につなげていくための効果的な活動だと分かりました。内部監査も含めたISOマネジメントシステムの改善のためのツールとして「課題発見シート」があります。


日本能率協会では、皆様にマネジメントシステムの弱点・課題を克服するための処方箋「課題発見シート」をご提供しています。これは、ご自身で課題を見つけだすセルフチェックシートで、内部監査に関連する項目も載っています。ぜひともシートを使って課題を抽出し、改善に向けて取り組んでいただきたいと思います。その際に役立つ研修コースもいろいろご用意しています。

「課題発見シート」のデータはコチラまで。


5.『マネジメントによる経営革新の推進』につながる
 内部監査員の養成の研修コースをご提供

Q.日本能率協会では、ここまでご紹介したような内部監査に対応できる監査員を養成する研修コースを開催しています。

例えばISO9001の内部監査員の養成コースでは、ISO規格のイロハからから監査のやり方まで学ぶことできます。ケーススタディを使った演習では、指摘について報告書の書き方を含めて体験していただきます。一方、「QMS内部監査員スキルアップセミナー」は内部監査経験者を対象にしたものです。より実践的なスキルを身に付けるプログラムになっており、例えばケーススタディでは不適合や改善提案の記述演習、また不適合に対する是正処置の有効性評価演習が含まれています。また、「QMS内部監査員スキルアップセミナー」では効果的な監査チェックリストの作成方法について解説しています。

また、講師が企業様を訪問して行う講師派遣型研修では、カスタマイズしたプログラムをご提供します。もちろんマニュアルや規定は企業様のものを使い、ケーススタディも企業様に則した内容です。講師派遣型研修では内部監査に限らずご要望に応じたテーマでプログラムをご用意させていただきます。

これらの研修コースの特徴は、日本能率協会の教育機関としての長年の伝統に基づいた内容であることが挙げられます。日本能率協会が1942 年の創立以来一貫して掲げてきたテーマは、『マネジメントによる経営革新の推進』です。経営のためのツールであるISOマネジメントシステムは、まさに日本能率協会が取り組んできたテーマに合致するのです。ISOの研修コースでは常にこのテーマを意識し、マネジメントに関する蓄積してきた知見やノウハウを盛り込んだ、企業様の経営革新につながるプログラムをご用意しています。



内部監査で使うチェックリストのデータはコチラまで。



【参考資料】 本記事でご紹介している「課題発見シート」と「内部監査チェックリスト作成例」はコチラまで。
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