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マネジメントシステム改善のポイント

【「労働安全衛生」対応編 公開研修「パフォーマンス向上のためのはたらく環境見直しセミナー」】

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【「労働安全衛生」対応編 公開研修「パフォーマンス向上のためのはたらく環境見直しセミナー」】

「職場環境改善」は
人材の定着と仕事のパフォーマンス向上につながる

取材先:

「パフォーマンス向上のためのはたらく環境見直しセミナー」担当講師 
日本能率協会 審査登録センター 審査部OHSMS技術部長 藤原 登紀生


2019年、「働き方改革関連法案(正式名称:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」の施行を受け、企業活動において「職場環境改善」の重要度が増しています。
ここで着目しておきたいのは、「職場環境改善」対策は、企業にとってきわめて重要な人材に関する獲得や定着率の改善につながり、さらには仕事のパフォーマンス向上にも結びつくことです。

今、企業に求められているのは小手先の対応ではなく、社会的な要請にマッチした新しい働き方を考えながら、しくみを作り、職場環境を見直すための効果的なマネジメントシステムの導入です。実際にどのように導入を進めればいいのか、「パフォーマンス向上のためのはたらく環境見直しセミナー」の藤原 登紀生 講師(日本能率協会審査登録センター審査部OHSMS技術部長)に話を聞きました。


1.「働き方改革」ですべての企業が「職場環境改善」が求められる

Q.なぜ今、職場環境が注目されているのでしょうか。

職場環境に関して詳しくお話しする前に、まずは職場環境に関係が深い社会問題について触れておきます。現在、働く場を巡る社会問題としては、主に「少子高齢化」「人口減少(労働人口減少)」「生産性低下」「採用困難」、そして「過重労働(長時間労働)」などが挙げられるでしょう。これらは個別の問題として報道されることが多いようですが、それぞれ密接につながっているのです。

例えば労働人口減少という問題の原因を考えてみると、戦後からの歴史に遡ってみていくことが必要です。団塊の世代やその子供である団塊ジュニアは労働人口の増加につながりましたが、団塊ジュニアによる第三次ベビーブームは起こりませんでした。その原因の一つとして、団塊ジュニアがバブル崩壊の影響を受けたことも大きいでしょう。

彼らが社会に出た時期には、景気後退とともに、雇用の非正規化、フリーター、ニートという言葉が生まれ、生活の不安定化が進みました。その影響もあり結婚に対する価値観が変化し、未婚、晩婚が珍しくなくなったのです。出産や子育ての負担は増加し、介護の問題も深刻さを増す一方です。こうした状況を受けて出生率は低迷し次世代が増えず、労働人口が減っていく状況が今になっても続いているのです。

労働人口減少による国内経済に対する影響として大きいのは、例えば企業の生産能力の低下がみられるでしょう。それに伴い企業の収益は悪化し、既存人材への負担が増し、過重労働やメンタルヘルスなどといった、職場環境を巡るさまざまな問題が表面化してきています。このように労働人口の問題一つとってみても、さまざまな社会的な要因が背景に絡んでいると同時に、話題に挙げたいくつもの問題にもつながっているのです。

Q.職場環境を巡っていろいろな問題がクローズアップされています。

政府が2018年7月に「働き方改革関連法案」を成立させたことで、企業は「働き方改革」に真正面から取り組むことが求められています。この法律が施行されれば、働き方の幅を広げることが期待されると同時に、「過重労働(長時間労働)」対策をはじめとした職場環境の改善に向けた取り組みが必須となるのです。

例えば「過重労働(長時間労働)」について企業において採られている具体的な対策としては、「労働時間の上限設定」があるでしょう。他にも「子育て世代の女性活躍」「雇用延長による高齢者の協力」「外国人労働者の採用」などさまざまな対策が求められていくのは確実です。これらの取り組みを総称した「職場環境改善」が、企業経営における最重要テーマの一つになりつつあるのです。

2.「離職率の改善」「仕事のパフォーマンス向上」につながる

Q.「職場環境改善」対策の効果としてはどんなことが期待できますか。

まず対策内容についてはいろいろありますが、一例としてはご紹介したような既存人材の労働負担(主に時間)を軽減させることや、女性や高齢者、外国人労働者の労働環境を整えることなどがあるでしょう。これら以外にもいろいろな対策がありますが、働きやすい職場になれば、その事実を広くアピールすることで、人材の採用面で効果が期待できるでしょう。

また、採用面以上に効果が期待できるのが、従業員の離職率の抑制につながることです。今や終身雇用制度が崩れつつあり、転職が盛んになっていますが、企業の経営面からすれば、人材流失はダメージが大きいはずです。辞めた人材へのそれまでの投資コストや新たな人材の獲得コスト、採用後の教育コストなどは決して小さくないからです。「職場環境改善」対策によって、この大きな問題への直接的な効果が期待できるのです。

さらに強調したいのは、職場の環境は仕事のパフォーマンスに大きな影響があることです。すなわち「職場環境改善」によって従業員各々が気持ちよく働くことができるようになれば、仕事のパフォーマンスの向上という企業経営において非常に大きな成果が期待できるのです。

Q.対策について具体例を教えてください。

「職場環境改善」の対策としては、国の大号令や企業としての社会的な責任、世間からの要求などを受けて、各社各様に内容の検討を重ねているようです。それらを見るとハード面、ソフト面の両方でさまざまなものがあります。

具体例としては、ハード面では、施設、設備、情報システムの導入などが挙げられます。一方、ソフト面については、ノー残業デー、有給休暇取得奨励、時差出勤、プレミアムフライデー、サマータイム、出産・子育て後の復職支援制度、定年延長や人事制度改革などといった制度面での対策が目立っています。

Q.対策の導入担当者になった場合、どんな点に注意すればよいでしょうか。

導入効果について数値による評価にとらわれ過ぎないことです。例えばご紹介したようなさまざまな対策を導入し、明確な成果を上げている企業例を耳にします。その一方で、対策はとっているが、どのように効果をはかるべきか、次の対策は何をすべきかなど、頭を悩ませている企業も少なくないようです。
悩みを抱く企業・ご担当者は、例外なく既に各種課題に対する施策をとっているようです。しかし、いろいろと取り組めば取り組むほど、個々の施策としての分析・評価ばかりを重視する傾向が見受けられるのです。

繰り返しになりますが最初にご説明したように、職場環境を巡る個々の問題は密接に関係しており、それらの原因や達成すべき目的はそれほど多くないのです。シンプルに問題の原因を把握して、それに基づいた目的に焦点をあてて取り組んでいただければと思います。

Q.こういった取り組みは導入自体が目的化することも多いようです。

「職場環境改善」の最終的な目的は、従業員の意欲・意識を高め、労働環境・収益の両面で魅力的な企業にすることです。ここに着眼点を置けば、残業時間がどれくらい減少したとか、有給休暇取得日数がどれくらい増加したとかという数値的なものは、あくまでも指標の一つに過ぎないのです。

対策を導入するにあたっては、従業員は何に価値を置いて日々働いているのか、つまり「この会社ではたらく意義」や「はたらくこと自体の価値・意味」などの仕事観といったものを考慮して、個々の従業員と向き合う体制づくりを会社として進めることが必要です。この点は、実務担当者自身も同様な立場にいるわけですから、同じ目線で考えていくことができるはずです。
もちろん十人十色ですから、対策内容は一様に結論づけられるものではありません。こういった課題についてもセミナーでいっしょに考えられればと思います。

3.個人のベクトルと組織のベクトルの方向を合わせていく

Q.「職場環境改善」は仕事のやりがいなどにもつながっていくことが分かりました。

従業員が会社や仕事に期待するベクトルの方向と、会社側が従業員に期待するそれとを同じ向きに近づけていくことが重要になってきます。担当者にとっては、この2つの方向をシンクロさせるべく調整することが最も重要なポイントになるでしょう。


4.労働安全衛生マネジメントシステムが効果を発揮する

Q.「職場環境改善」を実施する際のマネジメントシステムの活用について教えてください。

マネジメントシステムとは、会社として組織の方針を立て、達成すべき目標を作り、具体的な施策を決め、実行に移す、これら一連の活動をしくみ化するものです。
定期的に効果を監視し、分析、評価する。そして次へのアクションへとつなげ、改善していく。いわゆるPDCAサイクルのしくみであり、これを会社組織として、部門として、あるいは個人として、それぞれの階層に落とし込み、事業活動の中の自然な行動パターンとして根付かせることで導入効果が得られるのです。
このマネジメントシステムのターゲットを職場環境(はたらく環境)として、その改善をはかっていくのです。

ここで活用していただきたいのが、ISO45001といった労働安全衛生に焦点を当てたマネジメントシステム規格です。これらの規格が求めているしくみには、例えばメンタルヘルスや過重労働への対策を効果的に盛り込むことができます。ですから「職場環境改善」に向けて効果的なツールとして機能することが期待できるのです。

Q.今までごお話いただいた内容は「パフォーマンス向上のためのはたらく環境見直しセミナー」で習得できますか。

本セミナーでは、企業の問題や課題を抽出して、具体的な方策を検討し、そのパフォーマンスを向上させるためのしくみづくりの支援ツールの一つとして、労働安全衛生マネジメントシステムを解説していきます。解説でご理解いただいた後は、実践的な演習を設けています。この時間では、参加者と講師がともに考え、セミナーを終えて会社に戻ってからも成果を上げられるよう、そのファーストステップという位置づけで進行させていきます。

最後に、参加するにあたりご理解して欲しいことを触れさせていただきます。
「はたらく環境」改善のための対策を考えてみると非常に幅広い内容があります。業種、業態、部門によって違ってきますし、課題の対象や重要度は企業によって異なってくるからです。本セミナーでは、しくみづくりに焦点を当てており、個々の状況に応じた対応が可能になります。

この機会に「職場環境改善」の対策を効果的に導入・運用するためにも、ぜひとも「パフォーマンス向上のためのはたらく環境見直しセミナー」にご参加ください。その上で自分達組織の「しくみ」や「体制づくり」にあらためてフォーカスし、継続的な改善が進められるような取り組みにつなげていただければと思います。


5.ご参加者から感想は寄せられました!

講師が、実体験に基づき、実例を紹介しながら法令を説明

このセミナーに参加してよかった点は、労働基準監督署の監督官であった講師が、実体験に基づき、実例を紹介しながら法令を説明するので、大変分かりやすかったことです。
労働安全衛生法規は、膨大な数があり、一つひとつ条文を読み込み、全てを把握することは難しいです。ここで完璧さを求めることは、無駄な作業とも言えるでしょう。
ですから、どういった点をポイントに法令と向き合うのか、改正が続く法令をどのようにモニタリングするかといったことにフォーカスし、プロの視点で、実務に直結しているセミナー内容は非常に役立ちました。

また、法令用語についても分かりにくいものがたくさんありましたが、講師の説明で疑問がなくなりました。労働安全マネジメントシステム規格であるISO45001の概要解説についてもポイントがまとめられており、大変理解しやすかったです。
このセミナーに参加したことで労働安全衛生法規への対応レベルが一段上がったことが何よりです。

 


日本能率協会審査登録センター(JMAQA) 審査部OHSMS技術部長
藤原 登紀生(ふじわら ときお)



1997年4月~食品製造業(コーヒー豆)、2004年6月~損害保険調査会社(事故原因調査)、2015年4月~日本能率協会(審査・検証センター)。経営管理修士、中小企業診断士。

 

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