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ISO9001(品質マネジメントシステム:QMS)

ISO 9001は品質マネジメントシステムに関する国際規格です。
最も普及しているマネジメントシステム規格であり、全世界で170ヵ国以上、100万以上の組織が利用しています。

CASE.7

【連載:効果的な運用事例 有限会社久斗鉄工所様 [ISO9001] 】
3カ年で売上48%増加
成果をあげる秘訣はコミュニケーションの活発化
トップが内部監査に加わり、現場を「見て・聞いて・確認する」

                    取材先:有限会社久斗鉄工所
                        代表取締役 久斗 譲二 様(右)
                        品質保証部 部長 德岡 章宏 様(左)
 

兵庫県姫路市の久斗鉄工所様は、工場などに据え付けられる各種機械装置に用いられる部品の切削機械加工業を営んでいます。切削加工は金属素材に機械を使って加工を行いますが、顧客の要求・仕様に応じた寸法・形状・強度に仕上げていきます。その際には、高精度で加工する熟練した技術が求められますが、久斗鉄工所では、この加工業の運営にあたってISO9001の品質マネジメントシステムを運用しています。

認証取得は2005年。15年目を迎えたシステムに関して代表取締役・久斗譲二様は、「今やISOなしでは組織運営がやっていけないような存在になっています。従業員にはモノ作りを通して社会貢献しているという意識をもってもらい、幸福感を抱いて仕事をやってもらう、そのためには会社として存続し続けることが重要。ISOのためのISOではなく、会社を継続、さらに発展させるための仕組みとしてISOを活用しています」とおっしゃっています。同社における取り組みについて詳しい話をうかがいました。

−2005年にISO9001 を認証取得しています。

当時、たまたま知人からISO9001の話を聞いて、自分たちの組織でも役立つはずと考えて取得に動きました。はじめてのことばかりで、基本的なことからいろいろ学んで結局1年かけて適用範囲「機械装置に用いられる部品の切削機械加工」で認証取得しています。

今年(2020年)で認証を維持して15年経ちますが、振り返ってみると仕組みについてはいろいろ改善してきたと思います。最初は、「ISOのためのISO活動をやる」といったような状況でした。作業手順を文書にまとめ、データ類も記録として残すようにしたところ、社内からは「こうしたことに何の意味があるの?」「ISOでどんな効果があるの?」といった声もありました。

1.PDCAサイクルと数値化で導入効果を実感

−そうした見方が変わったきっかけなどはあったのでしょうか。

何か突然の契機で変わったというのではなく、仕組みの運用を重ねて、実際に効果のあるものだと分かってきたことでだと思います。
その具体例を挙げると、まずPDCAサイクルです。ISOの導入当初は、その役割をあまり理解しないでともかく回していました。ですが、運用していく中で、さまざまな問題に対してこのサイクルを回すことで解決につながっていくのが分かってきたのです。その回す方法も経験を積むことで段々とスムーズになっています。

次に、社内のさまざまなモノゴトを数字に置き換えて見るようになったことも大きいでしょう。たとえば目標設定では具体的な数字にしていますが、そのためにはデータの蓄積が必要です。ISOを導入した同じタイミングで全社的に生産管理システムを採り入れており、このシステムでさまざまなデータの蓄積ができるようになりました。その溜めたデータをいろいろな場面で使うことで客観的な判断につながっています。

−経営という立場からISOが役立っている点を挙げてください。

目標管理の仕組みとして役立っていることです。年一回、会社としての全社目標を立て、その下に部門目標、さらに個人の目標を設定します。従業員は一人ひとりが目標を達成するための施策を考え、これらが寄せ集まって全体として整合して、目標管理のツールとして久斗鉄工所の年度目標の実現に向かって機能しています。この目標管理の仕組みでは、先ほどの数字を使うことで、より効果的な運用につながっています。

2.クレーム減少から信頼性向上へ 売上5割アップが実現

−いろいろな効果が出ていますね。ではISO導入の成果を教えてください。

ここ数年の数字として経営関連の指標を紹介すると、2016年からの3カ年で毎年クレーム件数が減ってきています。社内不適合率が下がっており、クレームの減少につながっていると考えています。そのおかげで不良損失額も抑えられており、損益が大幅によくなっています。

同時に、この時期の売り上げも3カ年で5割近くも増えています。これは品質が改善されたことでお客様からの信頼が高まり受注が増える、という良いサイクルが生まれているとみています。

ご紹介したのは3カ年の話ですが、それ以前もしっかり取り組んできた自負がありますが、仕組みをしっかり回し続けてきたことで、より高いレベルにあがることができていると思います。

3.問題意識を持たせることで改善活動が機能

−どうしてクレームが減ったのでしょうか。

現場の皆が問題意識を持つようになり、改善活動につながるようになったことが大きいでしょう。大きなことだけでなく些細なことまで問題意識を持つようになっているのです。

たとえば従来から続けているやり方があったとします。何か気になることがあっても、見直ししてみようという行動にはなかなかつながらないと思います。それが、問題点があるかどうか、改善する余地があるかどうか、こうした見方を持つようになっています。

もちろんすべてに関してということではありませんが、改善活動につながるモノの見方が、組織全体に浸透してきている状況です。

4.改善の成功体験が「やりがい」につながる

−従業員の意識を変えることにつながっているわけですね。

劇的にガラリと変わったわけではありませんが、「常に考えることが身に付き、現状を見直しして、問題点が見つかれば改善して、その成果を体験する」、この一連の流れは仕事の「やりがい」にもつながっていくはずです。やりがいを持たせるということは、会社としては非常に大きなメリットだと思っています。

5.「情報ボックスシート」でコミュニケーションを活発化

−「情報ボックスシート」について教えてください。

「情報ボックスシート」とは、社内で気づいたことをなんでもいいので投書してもらう仕掛けです。クレームなど発生した問題から、業務改善の提案、あるいは社内で日頃から気になっていること等々、どんなことでもいいのでメモに書いて箱に入れてもらいます。

実際、さまざまな内容がありますが、集まったものは何かしら活用しており、すべて有意義な情報になっています。

−ネガティブ情報は集まりにくいと思います。

この仕掛けをはじめる際に意識したのは、ミスや失敗のような内容こそ歓迎することです。だれでも良くない/悪い報告はしにくいものですが、どんな内容であっても「情報ボックスシート」に入れること自体を評価するようにしています。こうした雰囲気づくりもあって、ネガティブなものも入ってくるようになりました。

最近は当初よりは数が減っており、いろいろな改善が進んできた証だと受け止めていますが、従業員には、日々問題意識を持ってもらい、今後も情報ボックスシートにいろいろ集まるように、会社として働きかけていくつもりです。





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6.内部監査でもトヨタ流「人を責めずに、しくみを責めろ」を実践

−「情報ボックスシート」は社内コミュニケーションをよくすることにつながっているとも思います。内部監査も役立っているそうですね。

内部監査には毎回、社長自ら参加し、トップとして現場の状況を、「見て・聞いて・確認する」絶好の機会になっています。たとえば、何か問題につながりそうなことがあったら、必要な関係者にもその場に集まってもらい相談します。1時間くらいかけてやり方などシステムの原因を探って再発防止や改善策を練る、といったケースも珍しくありません。

この内部監査で心がけているのは、情報ボックスシートと同様、ネガティブ情報を歓迎する雰囲気づくりです。「問題があるなら改善していくことが大切」、会社としてこのように考えていることを周知しておくことが欠かせないでしょう。

「人を責めずに、しくみを責めろ」というトヨタ自動車の言葉がありますが、まさに私どももお手本にさせていただいてます。

7.内部監査の取り組みを写真で共有

−内部監査のやり方も工夫しているそうですね。

たとえば、内部監査で不具合が見つかれば、その場で写真を撮って、あとで改善前/改善後を比較できるようにしています。写真を使うことで、ビジュアル的になり皆が理解しやすく、情報が正しく伝わるからです。実は従業員はベトナム出身者が半数を超えており、彼らにモノゴトを正確に伝えるためにも、写真は大いに役立っています。

また、内部監査では、毎回、重点項目を設定しています。重点項目の内容はその時期の会社の年度目標などにあったものですが、毎年変えていくことでマンネリ感を避けることにもつながっているはずです。

あと、内部監査の結果について写真を含めてしっかり記録に残すようにしています。たとえば監査現場でいろいろやりとりをしても、口頭ベースだと事後の対応などで漏れが出てきてしまうこともあるでしょう。これら内部監査の一連の記録は、会社としての問題点が詰まった貴重な情報で、改善の種だとも考えています。

8.現場を「さらけ出す」雰囲気づくり

−内部監査自体が改善されてきたことが分かります。

「内部監査の最終の目的は自らがよくなること」、このことを共通認識にしています。監査では、各自に今やっていることをしゃべってもらう、担当者が一人では抱えていて言いだしにくいことも報告してもらう、「現場をさらけ出す」といえば適当ですね。

9.お客様視点の徹底でISOを活用して信頼感の醸成につながる

−久斗鉄工所様の強みでISOが役立っている点をご紹介ください。

お取引いただいているお客様の多くは長年のお付き合いがあります。その理由はいろいろあると思いますが、「お客様視点を大切にしてきたことで、ご信頼をいただけている」、久斗鉄工所の強みのひとつはここにあると考えています。

まずはお客様の求めがあって、それに応えるために、久斗鉄工所としては何が必要なのか、この点を常日頃から意識してきました。その一つですが、このご要望に応えるためには、しっかりコミュニケーションをとることが欠かせないはずです。包み隠さず、たとえ問題が生じたときでも対応策を含めて迅速に報告し、中にはお客様のお力を借り一緒になって対処したケースもあります。

こうした日々のやりとりの積み重ねが、お客様の信頼感を増すことにつながってきたと思っています 。

−顧客のニーズをしっかり把握して、それに応える仕組みになるように改善していく、これはまさにISOシステムですね。必要なコミュニケーションをとることも、仕組みがしっかりしているのでスムーズにいっていると思います。

お客様とやりとりする担当者の評価が会社の評価になるはずで、彼らが久斗鉄工所の仕組みをよく理解しており、お客様にご満足いただける対応ができていると思います。また、お客様もISOの認証を取得していることが多く、同じツールを使っているので、話がしやすい面もあると感じています。





10.審査による「身の丈にあった指摘」に満足

−JMAQAの審査について感想を教えてください。

「身の丈に合った指摘」を出してくれて満足しています。認証取得して15年経ちますが、その時々でISOに対する理解や運用方法は異なってきました。JMAQAの審査は、私どもの状況にあった指摘を出してくれるので、対応がとりやすく、実際、指摘によっていろいろな改善につながっています。

知り合いの会社などからは、現場がよく分かっていない審査員が来て、「困った指摘」を出されて難儀しているという話を聞くことがありますが、JMAQAではそういったことはありませんね。

−今後の取り組みについてご紹介ください。

「できることをやる。無理なことはやらない」、このことを意識していきたいと思います。以前はやりすぎな面も一部ではありましたが、今は、「できること」「やるべきこと」をやる仕組みになっています。こうなったことで、形式的だけでなく実際に効果のある運用につながっているはずで、これからもこの点を意識していきます。

さらに、お客様からの信頼を一層高めていけるように、確実にPDCAサイクルを回し続けます。大きな問題が生じないようにリスク対応がなっているのか、もちろん問題はないにこしたことはありませんが、何かあった場合には迅速かつ的確な対応がとれるようになっているか、日々の業務を含めてどんな状況でも対応できる仕組みになるよう、継続的に改善していくことを意識していきます。


課題発見シート

ISOの改善のためのツール「課題発見シート」

MSの弱点・課題を克服するための処方箋「課題発見シート」をご提供しています。ご自身で課題を見つけだすセルフチェックシートで、内部監査に関連する項目も載っています。ぜひともシートを使って課題を抽出し、改善に向けて取り組んでください。

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