FSSC22000
(食品安全システム認証)
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審査および
認証取得支援サポート
CASE.4
【食品安全】ISO22000/FSSC22000お客様事例 [魚津漁業協同組合 様]
~ 水産加工・生鮮魚介類品を対象にしたFSMS ~
安全安心+品質重視のシステムを構築し
25人全員参加で効果的な運用につなげる
取材先:
魚津漁業協同組合
組合長職務執行者代理 田切正彦 様
魚津漁業協同組合(富山県魚津市漁港定坊割 URL: http://jf-uozu.or.jp/)では、ほたるいかや甘えび昆布〆、いなだ刺身、白エビ等の水産加工・生鮮魚介類品を扱う滑川営業所の工場で、2016年4月、ISO 22000の認証を取得しました。
その後、ISO/TS22002-1(前提条件プログラム)への対応準備を整え、2019年2月にFSSC 22000の認証を取得しています。今回、その取り組みについて、同組合組合長職務執行者代理 田切正彦 様から話をうかがい、まとめました。
YouTube インタビュー動画
田切様に食品安全マネジメントシステム導入のメリットを1分でご紹介いただきます!
https://youtu.be/cx5KPHsqpg0
水産加工業における取得のねらい バラつきをおさえ常に同じ品質を実現
−2016年にISO22000、その後、2019年にFSSC22000の認証取得したねらいについて教えてください。
キチンとした製品作りを行って自信をもってお客さまにお届けしたい――こうした思いからISO22000、FSSC22000の認証取得に取り組みました。
魚津漁業協同組合では、15年ほど前から水産加工・生鮮魚介類品を扱ってきました。これらの製造工程については、例えば魚の温度管理など一部は徹底されていました。ただ、水産加工業の工程ではさまざまな前提条件があり、経験値として把握していましたが、組織としては完全には徹底はされていない状況だったのです。こうなると、製品によって味のバラつきがでるおそれがでてくるのです。
そこで、前提条件を一定させ常に同じ品質でご提供できる仕組みの必要性を強く感じ、情報を集めていろいろ調べてみました。するとISO22000やFSSC22000に対応した食品安全マネジメントシステムが効果的だと分かって、認証取得に取り組むことにしたのです。
「経営を一緒になって考える」認証機関を選定
−認証機関として日本能率協会審査登録センター(JMAQA)を選んでいただいた理由を教えてください。
認証機関を決めるにあたっていくつかの機関に話を聞きましたが、最後はJMAQAの営業担当の熱意で決定しました。水産加工業における認証の意義などを説明してもらい、魚津漁業協同組合の考えに賛意してもらったことが大きいですね。
今回の認証取得を利用して、販路を広げ、設備投資も検討しており、「経営を一緒になって考えていきます」というJMAQAの認証機関としての姿勢を評価させてもらいました。
−認証の対象を教えてください。
認証範囲は、魚津漁業協同組合 滑川営業所にある工場における水産加工・生鮮魚介類品の製造で、具体的な品目は次の通りです。日々出荷する製品数には季節性があり、1日あたりの製造品目数は2品目程度です。
- 水産加工品:ボイルほたるいか、ほたるいか醤油漬け、甘えび昆布〆等
- 生鮮魚介類:(生食用)ほたるいか刺身用、いなだ刺身用等加熱調理用)さわら切り身、富山産白エビ
これらの対象となるのは、アウトソース品を除く工場加工製品すべてで製品数は17品目、フローダイアグラムは11種類です。製品群としては、加熱製品、生食用(非加熱)製品、加熱後摂食製品の3分類です。
なお、製造工程が細かい点で異なっているためフローダイアグラムの数は一般より多くなったようですが、製品群はハザードや管理手段の面からみて3分類が適当と考えました。富山湾ならではの魅力あるめぐみにこだわり、工夫された体制と徹底した品質管理により、安全安心の製品を提供する仕組みを日々、運用しています。
「25人規模」で一体感を持って構築し効果的な運用を実現
−認証については、2016年にISO22000を取得して、その後、2019年にFSSC22000を取得しています。
最初に取り組んだISO22000については、キックオフからシステムの構築まで半年程度かかりました。その中で一番時間をとって取り組んだことは、製造工程の文書化を中心にした手順書、そしてマニュアルの作成です。
3年後にFSSC22000を取得していますが、この時の進め方でよかった点としては、組織における上下のコミュニケーションが円滑な組織体制で取り組めたことが挙げられます。例えば、組合長から私に認証取得の取り組みに関する権限が一任され、モノゴトの判断すべてができる体制で進めました。
そのためにトップと現場との間で直接、コミュニケーションを取れるので、指示を出したり、逆に疑問点を聞いたりすることが効率的にできました。私自身、現場のことはだいたい分かっていたので、素早い判断ができますし、現場に対しては細かな点まで指示を出すこともできました。
このようにコミュニケーションがスムーズにいった理由は、対象となる工場が25人規模ということもあるでしょう。そのために、構築に加え、運用についても一体感をもって取り組むことができています。
−ISO22000からFSSC22000にステップアップする際、大変だったことはありますか。
FSSC22000は、ISO22000から前提条件プログラムの方法がより厳密になっています。追加要求事項も加わるので、食品安全対策も新たに必要になってくる場面もありました。
ただFSSC22000の規格の中身を勉強して実際にやってみると5項目が増えただけで、ISO22000の仕組みから大きく変更するところはなかったので、とりわけ負担に感じる場面はありませんでした。
ビフォーアフター① 役割分担が明確化
−ISO22000やFSSC22000に対応した仕組みの導入前後で大きく変わった点(ビフォーアフター)を教えてください。
大きく変わった点の一つは、役割分担がより明確になったことです。仕組みを整えていく際、食品安全チームを中心に、現場のさまざまな仕事内容について再確認しました。
その結果、原材料である魚の受け入れ、ライン加工、冷凍、包装、そして出荷といった一連の仕事について、どこからどこまで、だれが、どんな責任を持つのか、といった役割分担が以前よりはっきりしています。
ビフォーアフター② 手順の情報共有が促進
次に、文書類の整備が進み、手順書を揃えていったことで良い影響が出てきました。具体的には手順の情報共有です。もちろん以前から手順はありましたが、手順書としてまとめられていたのは一部で、それほど共有されていない状態でした。
今回、各手順書を作る段階で、「この作業の細かな点はどうなっている?」などと曖昧な部分についてのやりとりも出てきましたが、こうしたコミュニケーションを含めて情報共有が進みました。
−手順についていろいろやりとりすることで共有されていったのですね。
例えばトイレの使い方一つとってみても、生活習慣あるいは文化が違えば、異なってくる可能性があるので、はっきり決めておくことが必要でしょう。 仕事のやり方に関しても同じはずで、そのためにはいろいろ細かな点まで確認することが必要でしたが、そのことで情報共有が図られたのです。また、共有自体が、「決めたことは皆で守ろう」という意識付けにもつながりました。
ビフォーアフター③ 視覚化で手順が徹底
−手順を守らせるには意識付けが効果的ですね。
口頭で「やりなさい」「守りなさい」などと指示を出すだけでなく、手順書として紙に示すことで徹底されるようになりました。とくに写真を使うことは効果的のようです。例えば、帽子のかぶり方について「髪の毛をいっさい出さない方法」を写真で示しています。工場では外国人の技能実習生も働いていますが、日本語が苦手な彼らにも理解されて、以後、しっかり守られているようです。
ビフォーアフター④⑤ モノを書くことで改善提案へ/時間管理でモノゴトの段取りがよくなる
大きく変わった点の話に戻りますが、手順書などで文章を書くことによる波及効果もありました。今まで工場ではモノを書く習慣はほとんどありませんでした。それが今回、書くことを通して、例えば頭の中で以前から考えていた担当の仕事の改善について具体的になって提案等につながるケースも出てきています。
さらに、時間を守ることを含め時間管理がしっかりなされるようにもなりました。そのことでムリ・ムダが省かれ、以前よりモノゴトがスムーズに進むようになったとも感じています。
−仕組み作りの活動によってコミュニケーションが活発になり、仕事の内容や流れについて情報共有が進み、魚津漁業協同組合の仕事全体の取り組みレベルが上がったのが分かりました
その成果として品質のバラつきを抑えることにつながり、現実に異物混入などクレームの件数が減少してきています。
微生物対応でFSMSは有効
−水産加工業の製造現場で重視すべきことの一つが、微生物の菌への対応のはずです。食品安全マネジメントシステムが役立つ点を教えてください。
菌の問題に対しては、まず温度管理について重視してきました。中でも原料として受け入れる魚の条件としては、4度以下の温度管理を課していますし、工場内の室温は15度以下に維持することを徹底しています。また、拭き取り検査をしっかりやることと取り決めていますが、その頻度・タイミングは一般より多いはずです。
これらの温度管理や抜き取り検査については、地味な活動ですが、決めたことを一つひとつ、確実かつ丁寧に行う仕組みを運用することで、品質の向上・維持につながるはずです。
効果的な仕組みにするには規格の徹底理解がポイント
−ISO22000、FSSC22000の取り組みを振りかえって感想を教えてください。
今回、一連の取り組みを経験してみて、効果的な仕組みになるかどうかの要は、ISO22000やFSSC22000の規格の理解だと感じています。ただいきなり従業員に規格の文書を渡してすべて理解しろと言ってもなかなか難しいでしょう。
そこで、食品安全チームのメンバーが逐次、説明を行い、魚津漁業協同組合のいろいろな仕事が規格のどの要求事項に当てはまるのかを理解してもらうようにしました。これは、規格が求めている内容と現場の仕事との突合せの意味合いもあったようです。この取り組みの結果、現場の実態とあったマニュアルになって、効果的な仕組みを作ることができました。
−食品安全マネジメントシステムや認証取得に対する現場の反応はどうでしょうか。
良かった点として、数字でいろいろ把握できるようになり仕事が進めやすくなったと言っています。仕組み作りにあたっては、仕事の目標設定や手順書においては数字を使うように心がけました。例えば、「この工程の管理温度は〇度」、あるいは「今日の目標出荷数は□パック」などと明確にしています。
数字を使うことで現場は、「今日一日△をして□を作って、×パックの出荷を確認する」「温度については、常に△度以下の維持を徹底する」などと分かりやすくなったのです。
−マネジメントの立場から認証取得の意義についてお願いします。
認証取得が、消費者やお取引先に向けての、安全安心な製品の提供を確実にできる仕組みの証になると自信を持っています。このことは、水産加工業の事業者としての品位のアップにもつながったと考えています。
認証取得で二者監査が省かれる
−認証取得自体、説得力がありますね。
対外的な信頼度の向上については具体的な話として、ISO22000認証を取得した後、お取引をいただいている大手外食チェーンから工場の第二者監査を受けなくて済むようになりました。第三者である認証機関から審査を受けて認証登録されたことで、信頼に値すると評価されたわけです。
フードチェーンにおける識別管理でFSMSを活用
−今後の取り組みテーマを教えてください。
食品安全のさらなるレベルアップに向けて、フードチェーン全体の管理体制を充実させていく予定です。ISO22000やFSSC22000は、原材料の調達から最終のエンドユーザーまで、チェーン全体の管理を念頭においた仕組みです。認証の取得は、新鮮な魚を原料として受け入れて、工場で製品化するところまでの仕組みがしっかりしているという証明です。今後は原料の受け入れのさらに上流工程、魚の生物的根拠についても重視していきます。
その一環で現在、MEL認証への対応も検討しています。これは、資源と生態系の保護に積極的に取り組んでいる水産加工業組織等を認証し、その製品にラベルをつけて流通させることができる認証制度です。認証が取得できれば、製品に対する信頼度はさらに増すはずです。
関連して、食品安全への取り組みをさらに高めるために、原材料の受け入れから出荷までのフードチェーンにおいて、製品個別をロット番号で識別管理するソフトの導入を考えています。まず釣った時点から、原料としての受け入れ、工場に入ってから加工され、製品として営業冷凍庫に入り、出荷して店頭に並ぶまでの各段階の情報が、すべて管理可能になります。エンドユーザーである消費者が、チェーンの最上流の情報まで一目で確認できるようになるのです。
−市場のニーズを先読みしたものですね。
このトレースバックのできるシステムを作り上げる際、ISO22000やFSSC22000に対応した食品安全の仕組みが大いに役立ちそうです。
水産加工事業者としての品位を重視していく
−最後に、取得した認証の活用方法を教えてください。
まず、魚津漁業協同組合の製品は地元には一切卸していません。その理由は、魚津地域で販売すれば地元の仲買人さんたちとの競争になってしまうからです。漁業協同組合としては、地域という枠にこだわるだけでなく、もっと広いところで販売・販路を作り上げていくことが必要だと考えています。
おかげさまで、数多くの生活協同組合様や量販店様、百貨店様とお取引いただいています。例年、春を告げる食材として『魚津漁協のホタルイカ』を全国の店頭で扱ってもらえていますが、このような私どもの製品に対する厚い信頼に応えるためにも、水産加工事業者としての品位が今以上に求められていると考えています。ISO22000やFSSC22000の認証取得も、そのための活動の一環なのです。
今後も、漁業協同組合としての経営理念、食品安全方針、そして品質方針に基づいた仕組みを運用することで、消費者やお取引先からの信頼をさらに高めていくことに取り組んでいきます。
【YouTube インタビュー動画】 田切様に食品安全マネジメントシステム導入のメリットを1分でご紹介いただきます!
https://youtu.be/cx5KPHsqpg0
「FSSC22000 認証取得研修プログラム資料」
食品安全マネジメントシステム構築を支援
現在GFSI認証スキームの一つである“FSSC22000”が注目されています。 顧客からの要求を受け、認証取得に向け構築に取組む企業も多いなか、基幹となるISO22000やPRP要求事項のISO/TS22002-1規格要求項目に対して具体的にどの程度のレベルまで対応すべきか、悩んでいる推進者も少なくありません。 日本能率協会では、FSSC22000 認証取得研修プラグラムをご提供しています。
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食品安全認証・規格の認証取得事例について
食品安全認証・規格に関する取得事例インタビューを掲載しております。日本能率協会では、インタビュー内にもあるように、様々なニーズやお悩みに対して幅広くご提案をすることが可能です。
新規取得、切り替えをご検討中の企業担当様は是非ごらんください。
メリーチョコレートカンパニー
Mary Chocolate FSSC22000
安心安全な製品づくりが、
社員一人ひとりの習慣になっていくことが理想
イートアンド
Eat-and ISO22000/9001
「ISOは自分たちの行動基準」が、
ISO9001で土台を築き、ISO22000で優先部分を強化
朋和産業
Howa Sangyo ISO22000
印刷業界の変化を先読みし10年前から準備 ISO22000でバックヤードを強化し顧客に安心を与え、 信頼の獲得をめざす
ナリヅカコーポレーション
Nariduka Corporation FSSC22000
個々の業務の役割が明確になり、
組織としてのリスク対応がレベルアップ
日油
Nichiyu FSSC22000
「安全・安心」のリスク管理でFSSCに取り組む
業務全般のマネジメントでの活用をはかる
石井食品
Ishii Syokuhin ISO22000/9001/14001・FSSC
新体制強化にISOを活用、強みを生かした仕組みで
新商品開発に意欲
日世
Nissei FSSC22000
顧客の要請、新工場内部統制強化のためFSSCを導入
技術の伝承とクレーム低減にデジタルメディアを活用
魚津漁業協同組合
Uotsu Gyogyo Kumiai ISO22000・FSSC
安全安心+品質重視のシステムを構築し、25人全員参加で効果的な運用につなげる
小岩井乳業
Koiwai Nyugyo JFS-C規格
JFS-C規格が食品安全への「気づき」につながり
自分達の「やりたいことができる仕組み」の実現へ
SOCSマネジメントシステムズ
SOCS Management Systems ISO22000
ISO22000事例「洗浄は生産工程の前準備」
SOCSマネジメントシステムの改革とは
日東ベスト
Nittobest ISO22000・FSSC・JFS-C規格
10工場・3規格(FSSC/ISO22000/JFS‐C)で認証取得
全社における食品安全管理体制のレベルアップにつなげる
ナラザキフーズ 釧路工場
Narazakifood JFS-C規格
事業と統合した仕組みを現場で導入し
外国籍従業員の活躍を促進 職場全体の活性化につなげる
明治チューインガム
Meijichuingam ISO22000・FSSC・JFS-C規格
食品安全システムの運用で全社で「絶対安全」意識を統一
多彩な仕掛けで現場力を向上、目指すは関係者全員の笑顔
濵田酒造
Hamadashuzou ISO22000/9001/14001・FSSC
Q・E・Fのシステムによる「年度方針表」に基づき
目標管理をトップから現場まで首尾一貫して運用
理研ビタミン 草加工場
Rikenvitamin ISO22000/9001/14001・FSSC
SDGs・DXに対する取り組みの見える化で
ISO業務の省力化・高度化を実現
ディスペンパックジャパン
Dispenpak ISO22000/9001・FSSC
世界唯一「パキッテ」製造をISOの考え方が支える
社会貢献を第一に“ものづくり”環境を実現
不二製油
Fujioil ISO22000/9001/14001・FSSC
ISOと事業活動を直結させ社会課題の解決に貢献
品質、環境、食品で認証取得しESG経営を推進