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  JFS-C規格(食品安全マネジメントシステム)食の安全

JFS-C規格は、フードチェーン全体での食品安全確保のための取り組みを標準化し、
自らの食品安全レベルを向上させることを目的として、一般財団法人 食品安全マネジメント協会(JFSM)
が開発した日本発の食品安全マネジメントシステムの認証スキームです。

CASE.1

【連載:効果的な運用事例 小岩井乳業 様 [JFS-C規格]】
JFS-C規格への取り組みが 食品安全への「気づき」につながり
自分達の「やりたいことができる仕組み」の実現へ

株式会社メリーチョコレートカムパニー



   取材先:小岩井乳業株式会社
       小岩井工場 品質管理部 部長   根子憲一 様 (下左写真)
             品質管理部 部長補佐 楠美敬子 様 (下左写真)
       本社    品質保証部 部長代理 井上晴行 様 (下右写真)    *所属役職等は取材当時のものです。

小岩井乳業株式会社様(本社:東京都中野区中野四丁目10番2号  https://www.koiwaimilk.com)は、明治24年(1891年)創業の「小岩井農場」を母体として、わが国の畜産業や乳製品メーカーのパイオニアとして歩んできました。1976年に、小岩井農牧株式会社と麒麟麦酒株式会社との出資により「小岩井乳業」として、新たに設立されています。
同社は、明治の創業以来、小岩井のものづくりの象徴とも言える「小岩井 純良バター」を原点として、発酵技術を活かして、生乳のみでつくった「小岩井生乳(なまにゅう)100%ヨーグルト」などのさまざまなヒット商品を次々と生み出してきました。
小岩井乳業における、これらのものづくりの主力工場である小岩井農場(岩手県岩手郡雫石町)内の小岩井工場と、埼玉県狭山市の東京工場で、2020年、日本で開発された食品安全マネジメントシステム規格であるJFS‐C規格の認証を取得されました。今回、その取り組み内容について、本社と小岩井工場にお話をうかがいます。



食品安全のレベルアップを目指してJFS‐C規格に取り組む

Q : 今回、JFS‐C規格の認証取得に取り組んだ理由について教えてください。

本社のコメント(以下同):小岩井乳業では以前、ISO9001と14001の認証を全工場で取得し、システムを運用して継続的改善を重ねてきましたが、マンネリ感がでてきた面がありました。また、厚生労働省によるHACCPを取り入れた食品の安全管理「総合衛生管理製造過程(通称:マル総HACCP)」にも対応していましたが、こちらも改善の余地がありました。

こうした状況を改善しようと、食品安全についてさらに効果的な仕組みにするにはどうすればいいか、社内で検討を重ねてきた経緯があります。この検討の中で、JFS‐C規格に注目したのです。

Q : すでにFSSC22000を認証取得していたはずですが、今回はJFS‐C規格に取り組んだ理由を教えてください。

本社:小岩井工場では2014年にFSSC22000の認証を取得していますが、これは取引先からのご要望によるものです。工場の1ラインを対象として、しっかり機能してきたと思います。ですがさらに食品安全のレベルアップさせる仕組みについて検討する中で、2018年にGFSIのベンチマーク規格として承認されたJFS‐C規格が最適だと判断しています。

その一番の理由は、規格の内容が分かりやすかったことです。日本で開発されたJFS‐C規格は、日本語で書き下ろされたこともあって、読んでみると規格の意図がしっかり伝わってきました。これは大切なことだと思います。規格に対応した仕組みを導入する際には、しっかり理解することで、より効果的な中身につながっていくからです。以上を踏まえJFS‐C規格に取り組むねらいをまとめると、次のようになります。

 (1) マル総HACCPの取り組みが形骸化している面があったので改善・発展をねらう
 (2) HACCP対応の生産システムについてさらにレベルアップを図る
 (3) 食品防御、および食品偽装防止の取り組みをより強くする
 (4) 工場が複数部門で構成されており、一体感を醸し出したい

これらを実現させるために、JFS‐C規格への取り組みをスタートさせました。

Q : JFS‐C規格に対応した仕組みの導入の流れを教えてください。

工場のコメント(以下同): 社内でJFS‐C規格に取り組むことが決まり小岩井工場では2018年に取り組みを開始しました。まずはシステム構築を手掛け、一通りできた後、試運転をしています。2020年8月に内部監査を実施、続いてマネジメントレビューを行い、同月下旬に日本能率協会審査登録センター(JMAQA)による実地審査を受け、2020年9月に認証を取得できました。

JFS‐C規格に対応した食品安全マネジメントシステムの構築については、小岩井工場ではFSSC22000の仕組みを導入しており、今回はこの経験を活かしています。FSSC22000の対象は工場の1ラインで、認証範囲は「業務用殺菌乳の製造」でした。一方、JFS‐C規格は工場の全ラインが対象となり、認証範囲は「乳(牛乳、乳飲料、クリーム)、乳製品(ヨーグルト、脱脂粉乳、練乳、バター)の製造」で、FSSC22000の仕組みを一部、水平展開するなど活用しています。

食品安全マニュアルはFSSCとJFS‐Cを対比してバージョンアップ

Q : 食品安全マニュアルはどうしましたか。

工場:FSSC22000に対応した食品安全マニュアルを使っていたので、今回、このマニュアルを全ラインにあてはめて、内容についても改訂しています。改訂方法は、まずFSSC22000とJFS‐C規格の要求事項の項番を対比し、その中身についても比較しました。その上で、JFS‐C規格に対応しているか確認し、実際に足りないところがあれば加えています。また、以前ISO9001で使っていた品質マニュアルにあった効果的な手順などを採り入れています。

Q : FSSC22000の経験と仕組みが十分に活きていることが分かりました。

工場:仕組みを作る一連の流れは経験済であり、FSSC22000の適用範囲は1ラインでしたが、設備などについては工場建屋全体で対応していたので、全くゼロの状態から取り組むよりはスムーズに導入できたと思います。

JFS‐C規格でフレキシブルな対応を行う

Q : JFS‐C規格の認証取得の前と後で、変わった点を教えてください。

工場:FSSC22000と比べJFS-C規格は、前提条件プログラムであるISO/TS22002の解釈がやや幅広くできると思います。そのために、実際の仕組みにおいて、自分たちに必要なポイントに、より的を絞れるようになりました。

関連しますが、規格の要求事項が求めていることに、どこまでやるのか、頭を悩ます場面がありました。この点で、JFS‐C規格はFSSC22000と比べた場合、要求事項がふんわりと書かれているので自由度が高く、フレキシブルな対応ができたという印象があります。

本社:JFS‐C規格を認証取得後に感じているメリットを挙げると、組織としての一体感が挙げられます。今回、取得した小岩井と東京の2工場は物理的には離れていますが、どちらもJFS-C規格に対応して動くようになったわけです。そのために、たとえば異動した際、「このやり方はわかる」といってすぐに馴染むことができるので、従業員を流動的に動かすことができるでしょう。こうしたことも含めて、組織として一体感が増したことは、今後、マネジメント面でよい影響がでてくると期待しています。

現場の理解が効果的な仕組みにつながる

Q : メリットの話が出ましたが、他にはどんなことがありますか。

工場:先ほど、JFS-C規格は理解しやすいと紹介しましたが、これもメリットにもつながっています。現場の従業員にとって、JFS‐C規格の要求事項が何を求めているのかが分かりやすいです。すると、自分達がやっていることが食品安全にはどういう意味があるのかが分かってきます。そうなると、何が足りないのかが見えてくるはずです。

本社:食品安全への手順や仕組みについては、現場には長年の経験に基づくやり方があります。これらが、新たにJFS-C規格の要求事項の視点により確認されることで、さらなる改善点が出てくることがあります。JFS‐C規格は、食品安全への取り組みを効果的に広げていくことにつながるのです。



審査を切っ掛けに取り組みのレベルアップに向かう

Q : JMAQAの審査について感想を教えてください。

工場:今回の審査は、食品安全の取り組みレベルのアップの切っ掛けになっています。どういうことかと言うと、JFS-C規格という1本のスジ(仕組み)が工場全体にしっかり通ったことを確認できたと感じています。今後の話にもなりますが、1本のスジ(仕組み)をしっかり機能させれば、たとえばトラブル防止などを含め、食品安全についてのレベルアップにつながっていきます。つまり、お客様に「信頼される」仕組み・体制が実現するということです。

Q : 「信頼される」仕組み・体制への切っ掛けということですね。

本社:審査には満足しています。とくに審査員からは、コンサルティングになることは避けつつ、外部の目線で経営改善の秘訣をしっかり伝えてもらえたのがよかったです。

「会社にとって役立つ」ことをともに考える審査

工場:審査でのやりとりを通して、小岩井工場として食品安全に関してベストな取り組みは何か、このテーマを一緒に考えてもらえました。とくに印象的だったのは、「会社にとって役立つ」という考えが一貫していたことです。
たとえば「食品安全のためには、この現場では違うやり方があるのではないですか?」などと、アドバイスにはならないようなやりとりをしながら、自分たちで考えるように進めてくれました。
また、審査員とやりとりする中で、JFS-C規格の要求事項が何を求めているのか、理解できる場面が多くありました。仕組みを作っているときには曖昧だったところがはっきりして、実際に何をすべきかが見えてきたということもあります。



Q : 先ほどの話にもありましたが、しっかり理解することで改善につながるのですね。

工場:審査によって改善した一例を挙げると、購買品の評価について事細かにやっていたことです。審査員から「果たしてこれほど細かくやることが、現実の食品安全に役立つのでしょうか?」という問題提起がありました。この話から、現実に役立つような見直しにつながっています。

このように、審査が私どもに新たな「気づき」を与えてくれました。今ある仕組みを、JFS-C規格という違う視点から「再確認」することで、改善できうることが見えてくるのです。様々な確認作業や記録について、規格認証のためだけにやっている仕事という意識からの脱却に繋げてゆきたいと思っています。

小岩井乳業の「やりたいことができる仕組み」へ

本社:審査を含めたJFS-C規格への取り組み自体が、自分達でいろいろ考えることにつながっているようです。「小岩井乳業がやりたいHACCPとは何か?」を問い直す機会にもなっています。JFS-C規格の要求事項から外れることはできませんが、「自分達がやるべきこと」をきっちり把握した上で、「やりたいことができる仕組み」を形作ることにつながっていくと思います。

先ほど、JFS-C規格は自由度が高いと紹介しました。フレキシブルに解釈して、その解釈に立った上で、「こういうことがやりたい!」と考え、その方向に向かうようになっていくと期待しています。

「気づき」から「やる気」へ、さらに「良いとこ取り」につながる

工場:先ほどの「気づき」に関連しますが、導入にあたって現場ではいろいろ苦労があった分、「やる気」につながっているようです。今回、全ラインでフローダイアグラムを書いてもらいました。このことが、自分たちの生産ラインがどういうものなのか、皆で再確認する場になっています。たとえば、一つのラインには幾人もの担当者が関わっていますが、細かな点まで情報共有がされていたわけではありません。
それが今回、集まって互いにやっていることを見てみると「なるほど、こうやっているのか!!」となり、「では、こっちでも同じようなことをやってみよう」などと水平展開されるケースも出てきました。あるいは逆に「これしかやっていないのか? 大丈夫か?」などとなり、改善につながることもあったようです。
情報を共有したことで、切磋琢磨しあう雰囲気が生まれ、「良いとこ取り」につながっているのです。

リスクマネジメントの観点から仕組みで防いでいく

Q : 今回の取り組み自体が、自分たちのやっていることを再確認する場になっていることが分かりました。最後に、今後の取り組みについて教えてください。

本社:今回、食品安全マネジメントシステムの適用範囲を広げて、小岩井工場、東京工場の全体を対象にしています。その現状をみると、まだまだ「品質」に現場の目線がいってしまう傾向があると感じています。今後は「品質」は当然としつつ、今以上に「食品安全」を重視させていくつもりで、そのためにはたとえば従業員に意識付けの社内教育なども必要だと考えています。

次は審査員への期待になりますが、今は認証取得したばかりでまだよちよち歩きの状態です。本番はこれからであり、定期審査に向けて見直しをかけていくつもりです。今後の審査では私どものお客様のためにもいろいろ言ってもらうことを期待しています。

今の状況を例えると、自由に泳げるプールに入ったばかりの段階です。これからどこに向かってどう泳いでいくのか、小岩井乳業自身が試されることになるはずです。そうした自覚の上で、食品安全マネジメントシステムの仕組みをしっかり活用していきたいと考えています。

工場:今後、重視したいテーマの一つが食品防御です。今までは性善説に立って手順や仕組みを作り、これらはしっかり機能してきたと思います。今回、せっかくJFS-C規格に対応させたので、あらゆる可能性を前提に備えておくべきことを今一度考えていきます。組織のリスクマネジメントという観点から、仕組みとして防いでいくことが重要ということです。

その際、注意が必要なのは、何をするにあたってもバランスを欠かさないことです。手順や仕組みは、やればやるほど、固めれば固めるほど、重たくなり、人手などの工数がかさむ傾向があり、結果としてコストアップにつながってしまう恐れがあります。私どもは大きな組織ではありませんので、身の丈にあった運用のしやすさを重視することで、今以上の有効な仕組みになっていくはずです。

「JFS-C規格へのステップアップポイント資料」注目の
日本発の食品安全マネジメント規格

JFS-C規格は、マネジメントシステムの要素を含み、国際取引の中でも活用されるような信頼性を持つ認証制度として設計されています。

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