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ISO22000導入事例|SOCSマネジメントシステムズ株式会社様 
食の安全

および

*「ISO22000」は大手食品メーカーや小売との取引条件となるケースが増えている食品安全規格です。

ISO22000は大手食品メーカーや小売との取引条件となるケースが増えている 食品安全規格です。
日本能率協会審査登録センターではISO22000の認証取得および認証取得支援サポートを行っています。

CASE.9

【連載:効果的な運用事例 SOCSマネジメントシステムズ様 [ISO22000] 】

「洗浄サービスの作業場所であるお客様先」(登録範囲)でISO22000を取得

~「洗浄は生産工程の前準備」~
―SOCSマネジメントシステムの改革とは―

取材先:SOCSマネジメントシステムズ株式会社 代表取締役 田中 晃 様

2007年に設立されたSOCSマネジメントシステム株式会社様(神奈川県・横浜市 URL: https://www.socs-mss.com )は、食品製造環境の衛生管理・環境洗浄・殺菌サービス・食品製造ラインのダウン作業・空気環境の改善・設備管理などを行う会社で、食品工場をはじめスーパーマーケットやレストラン、ホテルなどの洗浄・衛生サービスも提供しています。同社では、2021年7月、「食品工場の生産ライン洗浄サービスの提供」の登録範囲で食品安全マネジメントシステム「ISO22000」の認証を取得しました。
今回の認証は、作業場所をお客様先としている点がユニークで、審査を担当した日本能率協会審査登録センター(JMAQA)としても初めての業態です。そこで、ISO22000認証取得のねらいや苦労・工夫した点、取得による効果や今後の展開などについて、代表取締役 田中 晃 様にお話をうかがいました。

価格勝負になりがちな洗浄サービスをISO22000取得で差別化

SOCSマネジメントシステムズ株式会社
代表取締役 田中  晃 様

−今回、ISO 22000の認証を取得されたわけですが、まずはその目的を教えてください。

田中様 :2021年7月に認証取得していますが、5年ほど前から取り組んでいました。私どものサービスは、お客様先で実施する衛生作業であり、今回の認証は、お客様先でご提供するサービスが登録範囲です。しかし、社内やお客様との関わりの中で思うように進められず、一度断念していた経緯があります。一年ほどのブランクを経て、再度チャレンジし、この度、取得できました。

認証取得の目的・ねらいは、他社との差別化です。そもそも私たちの商売は、典型的な労働集約型であり、モノを作っているのではありません。ですから、営業活動では、例えば食品製造会社のように、製品のサンプルを召し上がっていただくようなことができないのです。

お客様がサービスを選ぶ際の判断要素は、見積書や提案書しかないので、サービス品質まではなかなかうまく伝わりません。たとえ私たちのサービスが松竹梅の松のレベルで、競合他社のサービスが梅のレベルであったとしても、提案の際にはどの会社も「わが社のサービスがベストです」と言います。作業品質の高さを伝える術がないので、どうしても価格競争になってしまいがちです。

5年ほど前にそうしたことが続いたので、品質の高さが誰にでも分かるような、水戸黄門の印籠のようなものを備えないと勝負にならないと考え、いろいろと調べてみました。

それでFSSC 22000を見つけ、取得しようと日本能率協会に相談に行きました。すると、FSSC 22000はサービスのカテゴリが完全には定まっていないので、サービスで認証取得できるISO 22000を勧められました。そこで取得への取り組みを始めたというのが経緯です。

−5年前から取り組んできたとのことですが、ISO22000の要求に沿った食品マネジメントシステム(FSMS)の構築において、当時の印象はいかがでしたか。

田中様 :ISO22000の規格の内容がとても難解で、苦労しました。セミナーも受けたのですが、思うように理解が進みませんでした。それでコンサルタントをお願して支援してもらい、大いに助かった経緯があります。実は、取り組みを進めていく中で最も大きなハードルだったのは、参考にできる資料の少なさでした。

もちろん、ISO 22000を取得するための資料や情報はたくさんあるのですが、私たちが該当する「カテゴリH」(サービス)で登録した事例の情報が皆無で、参考になるものがなかったのです。そのため、一から進めていくことになり、それが大きなハードルでした。

もうひとつ大きなハードルと感じたのは、管理すべき目標の設定でした。私たちの業界は、例えば洗浄を一日に何回実施する、何人で実施するといった程度の契約内容がほとんどです。きちんとした作業の基準や、作業の結果に対する評価方法などが元々ないのです。FSMSの導入にあたって、こうしたことを一から作っていくのが大変な作業で、時間もかかりました。

逆転の発想で、「良しとする状態」ではなく、「ダメな状態」を明示
独自の基準「清浄度管理」を導入し、制度化と文書化を実施

−お客様との契約項目にはなくても、社内には作業の基準のようなものがあったのでしょうか。それをベースに足りない部分を補完しながら文書化を進めたのでしょうか。

田中様 :作業のマニュアル化については、以前から取り組んでいたので土台になるものはありました。ただし、FSMSの仕組みにそのまま使える部分もありましたが、全体的な仕組みにはなっていない状況でした。これらを今回、整備していきました。その中でも私たちのサービスの肝、「洗浄作業」の定義には苦労しました。

中でも、洗浄作業において、どういう状態を良しとするのか。この内容を文書で定義することに時間がかかっています。最終的にはコンサルタントにアドバイスをもらって、写真を活用しています。その際、逆転の発想で、「良しとする状態」ではなく、「ダメな状態」を写真で示すことで、はっきりさせることができました。

実は実際の業務でも、従来は「きれいに洗います」といった程度の決め方でした。私たちもそうでしたし、業界のほとんどがそうだと思います。「何をもって『きれい』とするのか」という定義をきちんと決めた例はなかったのです。
そこで今回、私たちが「清浄度管理」という基準を自分たちで考えて設けました。この基準は、当然ながらお客様ごと、機械ごとなど、環境よって違ってきます。

−基準をどのように決めていくのですか。

田中様 :お客様によって「清浄度」の管理基準のグレードを5段階にしているケースがあれば、4段階もいらっしゃいます。私たちは、場所や機械によって必要とされる清浄度を決めて、それぞれのグレードがどういう状態を指すのか、それを満たせなかったときにはどうするのか。そういった仕組みを作っています。

例えば、同じ機械でも、商品や材料が直接触れる場所や、直接は触れないけれども汚れたら困る場所もあります。その違いを清浄度で表せるようにしたわけです。前者は最高の洗浄度が求められますが、後者は一段低くてもいい。あるいは、直接は触れないけれども、上に配管があってゴミが降ってくる可能性がある場合は清浄度を高くするといった具合です。

こういった形で清浄度をお客様ごとに4段階や5段階に分けて、清浄度の基準とその測定方法、基準を満たさなかった場合の対応を明確に文書化しました。これが私たちのオリジナルの仕組みの、一番の肝になるところだと思います。

−清浄度管理のケースを含め、取り組みの前後の変化についてお願いします。

田中様 :まず清浄度管理については、アイディア自体はISO 22000に取り組む前からありました。ただ、5段階のグレードや評価の定義があいまいでしたし、基準を満たさなかった場合の対応も明確にはなっていませんでした。
今回のFSMSの導入の取り組みによって、以前からアイディアはあったが仕組みとしては非常に不明確だったところが、きちんとしたシステムになったことは大きな成果だと思います。

それから、以前はきちんと記録に残すという習慣があまりありませんでした。それが、日報や作業結果を報告するインスペクションレポートなどに、必要な写真やデータを添えて、しっかり記録に残す習慣を全社で作ったことも大きな変化ですね。

さらにもうひとつ。お客様に提出する日報を以前は紙で出していたのですが、ISO22000への取り組みの中で電子化しました。これはサイボウズ社のパッケージソフト『キントーン』で可能となり、導入したことによって日報やレポート類をお客様と瞬時に共有できるようになりました。

このソフトのおかげで、お客様にもライセンスをご提供することで、お客様サイドでいつでも最新の状態を見ることができます。例えば、出勤したら朝までの作業の結果を確認できます。作業中に問題点を見つけたら写真とともに報告するので、お客様はすぐに判断、必要な指示ができます。逆に、洗浄作業に問題点があった場合は、お客様に書き込んでもらうことで、すぐにこちらで対応できる仕組みになっています。これも大きな変化であり、業務改善につながっています。

洗浄作業の受託会社がISO22000を取得することは自社の信頼につながる

−記録を残すことは周知徹底にもなりますし、電子化で最新の状態を確認できたり、問題点をすぐに共有できたりすることは、お客様の信頼度が増すと感じました。今回は作業場所であるお客様先を登録範囲として認証を受けていますが、お客様からはすんなり同意いただけたのでしょうか。

田中様 :お客様には、本社も含めて大変なご理解とご協力をいただけました。お客様にとっては、洗浄作業を委託している会社がISO 22000を取得することは、自分たちの会社の信頼にもつながるので、ぜひ取得しなさいと強く後押ししていただきました。

また、他のお客様の現場でも、基本的な仕組みは同じで作業をしています。そこで、新たに別のお客様にご了承をいただき、その作業現場を登録範囲に含む、ISO22000認証の範囲拡大プロジェクトをスタートさせています。今後一年以内に、もう数ヶ所、ISO22000の登録範囲に含みたいと考えています。
今回、ISO22000の認証取得は大きなセールスポイントになると期待していますので、どんどん広げていきたいですね。

−それは、既存のお客様に対してもISO22000を取得してきっちりやっていきますという、セールスポイントにもなりそうですね。

田中様 :他にも取得のメリットを挙げると、社員に対してのモチベーションの向上は大きいと感じています。社員はそれぞれの仕事に誇りを持って作業してくれていると思いますが、ISO 22000を取得したことで、「世界基準の品質の仕事をしている」「自分たちの会社は他社とは違う」という、モチベーションのさらなる向上につながっていくと考えています。

その上で、お客様だけでなく世の中とのかかわりをより強く認識することで、社員が思い描く将来についてもより明確になったはずです。ですから、社員の中途採用につても、今後はより良い人材が来てくれると期待しています。

下田一人氏

取り組みに対するアルバイトの理解度・認識度向上が今後の課題

 

−先ほど、お客様へのセールスポイントにしていくことや、採用で活用していくこともお話していただきましたが、今後の取り組みやテーマについて他にも教えてください。

田中様 :大きな課題として捉えているのは、仕事の性格上、スタッフはアルバイトが主流ということです。現場に行く際にも、社員が2~3人、アルバイトが10~15人がひとつの基本単位になっています。社員にはしっかりと教育できますが、アルバイトは時間もないし入れ替わりも多いので、教育が難しいのが実状です。

ですが、実際の作業は社員と同じに担当するわけですから、食品安全方針の認識、仕事の取り組みの目的や意義、そしてアルバイトとしての役割といったことを、しっかり理解してもらい、いかに実際の仕事で徹底してもらうか。これが今後の取り組むべきテーマだと考えています。

−日本能率協会審査登録センター(JMAQA)の審査に対する感想、良い点、悪い点を教えてください。

田中様 :改善点は特に思い当たりませんが、良い点は、審査でさまざまな内容を指摘してもらったことです。例えば、当時、記録を残すという習慣がありませんでした。それを一次審査の段階で、「記録を残していないのは、やっていないことと一緒」と強く言われました。これはとても響きましたし、その後の取り組みにも有効な考え方になりました。このような個々の学びは、いろいろな場面で非常に役立っています。

−最後に、SOCSマネジメントシステム様や業界の未来に向けて、ISO22000の活用についてお願いします。

田中様 :洗浄作業は技術的なサービス業ですから、基準を作ってきちんと管理するといった習慣になじまなかった業態だったと思います。今回、強く感じたのは、SOCSマネジメントシステムの一連の取り組み内容が当たり前のこととして、同業者、そして世の中に広がって欲しいという思いです。そうなることで業界全体が良くなっていくことにつながり、その結果、社会的地位も上がっていくはずです。
そのため、今回の取り組み内容を企業秘密として隠したりせず、参考になることは積極的に公開していこうと考えています。

社会的な存在感を示していくことは、洗浄や衛生作業をやっている業界もそうですが、私たちのお客様である食品メーカーにとっても大事なことだと考えています。もちろん、食品メーカー様も洗浄作業や衛生作業の重要さはご理解いただいていると思いますが、一方で、どうしてもおざなりになりやすい作業であるのも事実だと思います。

「洗浄作業や衛生作業は、生産工程の一番最後ではなく、生産の前準備として一番最初にやるべきこと」―これは日本能率協会の食品安全セミナーでお聞きしたものですが、まさにこの考えが広く関係者の間で共有されて、考えを具体的に示したSOCSマネジメントシステムの今回のチャレンジが、食品業界の方々の参考になれば幸いです。

「ISO22000:2018要求事項のポイント」詳説
(「文書化された情報の要求に関する2018年版と2005年版の比較表」も含みます)

食品安全マネジメントシステム・ISO22000が改定されて2018年6月19日付で2018年版が発行されました。「改定の背景」から解説し、各要求事項ごとに詳しく紹介していきます。2018年版に取り組む組織には必見資料です。

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