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マネジメントシステム改善のポイント

【食品安全】FSSC22000お客様事例 「講師派遣型研修」をご活用[日油 様]

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【食品安全】FSSC22000お客様事例 「講師派遣型研修」をご活用[日油 様]

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「FSSC22000講師派遣型研修」をご活用

「安全・安心」のリスク管理でFSSCに取り組む
業務全般のマネジメントでの活用をはかる

取材先:
日油株式会社
執行役員食品事業部長                         古川 英 様
川崎事業所 大師工場 品質保証部 部長                  秋山 真 様        
      大師工場 品質保証部 品質保証課 課長  石ヶ守 英樹 様
食品事業部 企画室長                           泉澤 強 様


日油株式会社様(本社:東京都渋谷区恵比寿四丁目20番3号 https://www.nof.co.jp/index.html)は、1937年の創立以来、化学メーカーとして幅広い製品を提供してきています。主力ビジネスのひとつとして食品事業を展開しており、この分野では常に他社に先駆けて食用油脂の精製・加工技術の革新に取り組んできたパイオニアと見なされています。そのおかげで現在では、事業領域のさらなる拡充が進み、食用加工油脂事業に加え健康関連事業も営んでいます。

その食用加工油脂事業では、マーガリン、ショートニング、製菓改良脂、離型油、フィリング・トッピング材、粉末油脂、調理・冷凍食品用素材等、油脂加工について長年培ってきた技術をベースに、「おいしさ」を追究し幅広い製品の開発を行い、食品産業で評価されています。また、健康関連事業でも、機能性脂質、乳化・可溶化製品、油脂コーティング製品、医療栄養食等、社会へ「健康」を提供するための技術研鑚を進め、次々と新製品を開発し、事業の拡大をはかってきました。

2019年1月、食品事業の信頼性をさらに高めるために、神奈川県川崎市にある川崎事業所の大師工場と食品研究所で日本能率協会審査登録センター(JMAQA)からFSSC 22000の認証を取得されました。今回、その認証取得の取り組みと、ご利用いただいた日本能率協会による「講師派遣型研修」について、お話をうかがいました。



1.「安全・安心」のリスク管理のためにFSSCに取り組む

Q.FSSC22000を取得した経緯を教えてください。

古川様  食品分野のビジネスにおいて、「安全・安心」というテーマについてのリスク管理はますます重要になってきています。何か問題を起こした際、企業としての対応を誤ると、経営面で大きなダメージを負いかねないからです。日油では食品分野の原料メーカーとして、このリスク管理については最優先事項のひとつと捉え全社を挙げて取り組んできました。



そのリスク管理の対応のひとつが規格や規則です。食品安全の取り組みのベースになるのは、しっかりした規格や規則だからです。そのために、規格や規則の整備については従来から重視して取り組んできました。

リスク管理の対応としては他にも、品質保証業務に関する組織体制を変更しています。以前は事業部単位で各課が担当していましたが、新たに全社対応をとりまとめる品質保証部を上位組織として発足させました。品質保証については現場に密着した管理体制に加え、緊急時はむろん日頃から全社横断の指揮系統が欠かせないと判断したからです。
今回、FSSC22000に取り組むことにしたのは、こうしたリスク管理の対応の一環です。


Q.ISO9001やISO22000の後にFSSC22000に取り組まれるケースが少なくありませんが、今回、いきなり取得されました。その認証取得は2019年1月ですが、予定より前倒しになったそうですね。

古川様  取り組むにあたって食品分野の認証をいろいろ調べました。そのうえで、せっかく取り組むならこの分野において最もハードルが高い認証の一つであるFSSC22000が適当だと判断しています。

認証の取得時期について当初の計画では、2017年スタートの「3カ年中期経営計画」に組み入れ、最終年度の期末までの予定でした。そのスケジュールより相当前になった理由は、認証対象である大師工場から少しでも早い方が良いという意見が出てきたからです。やはり現場でも食品安全を巡るさまざまな状況を踏まえ、しっかりした仕組みの必要性が認識されていたようです。

Q.認証範囲は「マーガリン、ショートニング等の加工油脂製品および健康食品、粉体加工品等の機能食品製品の開発と製造」ですが、お取引先からFSSC22000認証の要請があったのでしょうか。

古川様  取得を求められたわけではありません。ですが対外的な信頼性のアップという点も動機付けのひとつです。FSSC22000はフードチェーンに関係する企業を対象とした認証の中で、最も厳しいものの一つと聞いています。審査機関から認証取得することとは、「日油の大師工場は食品安全についてFSSC22000の要求事項を満たした仕組みで運営されている」とお客さまを含めて社会全般に対する証ということです。これは先ほどのリスク管理の対応の一環でもあるのです。

また、今後、FSSC22000認証が広く求められるような状況になった場合、「日油はすでに取得済です」と言えるように備えておくことも、ビジネス戦略上、必要だと判断しました。

2.予定を大幅に前倒しして認証取得

Q.認証取得までのスケジュールを教えてください。

石ヶ守様  2017年4月に「認証取得宣言」(=キックオフ)を行い、まずはFSSC22000に関して審査制度や要求事項について時間をかけて自分達でいろいろ学びました。その後、2018年1月に日本能率協会による2日間の「ギャップ診断研修」を受けています。この研修結果に基づいてFSSC22000に対応した食品マネジメントシステムの仕組みづくりを本格的にスタートさせました。

その取り組みでは、まず大師工場に関してハザード分析への準備を含めて現状分析を行いました。続いて、前提条件プログラム(PRP)構築、ハザード分析実施、CCPの決定、HACCPプランとオペレーションPRPの策定を行い、段階的に仕組みを整えてきました。

その後、できあがったシステムの試運転を経てから、8月に内部監査を行い、その内容などについて9月にマネジメントレビューを実施しています。
日本能率協会審査登録センターの審査については、第一段階は2018年9月に、第二段階は11月にそれぞれ受審しています。これらの審査で私どもの仕組みが認められて、2019年1月に認証取得しています。


3.現状のやり方と「安全・安心」のつながりを再確認する機会

Q.食品マネジメントシステムの仕組みづくりで大変だった点を教えてください。

秋山様  大師工場では以前から、「健康補助食品GMP(適正製造基準)」、プライベート認証の「HACCPシステム」に対応したそれぞれの仕組みを導入していました。今回、新たにFSSC22000に対応するにあたって、以前からあったこれらの仕組みの一部を活用していますが、その取り込みの際の整理が大変でした。
HACCPシステムについては、FSSC22000で要求されている重要管理点の特定や危害分析などがあり、比較的取り込みやすかったのですが、健康補助食品GMPについては、そのまま使える仕組みは多くはなかったからです。



また、仕組みづくりの中で時間がかかったのは、前提条件プログラムです。ここでは細部にわたるところまで要求事項があり、また従来にはない観点での対応が必要でした。
たとえば、大師工場では油脂の酸化防止のために窒素ガスを取り扱っています。今回、この窒素ガスを巡って安全性を担保している仕組みが求められました。もちろん従来から安全性については現場でしっかり対応してきたという自負がありますが、では何をもって安全だと言えるのか、客観的に証していくことが必要になったのです。

振り返ってみると、こうした発想は、以前はありませんでした。今回、あらためて自分たちのやってきたことが、どのように「安全・安心」につながっているのか、仕組みややり方の整理を含めて、具体的に確認するよい機会になったと考えています。


4.「安全・安心」のすべての活動をマニュアルに盛り込む

Q.認証取得によって変わった点を教えてください。

秋山様  食品安全マニュアルが見直しされ、大師工場における取り組みについて、このマニュアルにまとめることができました。この中には、FSSC22000とは直接は関係ない活動項目も含めて、「安全・安心」に関係することすべてが盛り込まれています。現在は、ここに載っている基準・規則などに基づいて運営されており、マニュアルを見れば食品安全に関してどういう活動を行っているのかが一目で分かります。

もちろん、マニュアルは以前からあって、現場の活動を中心に網羅はしていました。ただし、大師工場には製造部門に加え研究部門もありますし、作っている製品のラインナップもいろいろあるので、食品安全に関する取り組みも多岐にわたります。そうしたこともあって、中には抜けているケースがあったり、逆に健康補助食品GMPとHACCPシステムの品質保証体系図が別々に存在したり、あるいは似たような基準・規則が重複していたり、といった状況だったのです。こうした点が完全とまではいきませんがいくつも改善されています。

また、今回、マニュアルの見直し作業によって内部コミュニケーションが活発になり、組織の活性化につながっているようです。食品安全の取り組みについて、どんなことをやっているのか、あるいはどんなことが必要なのか、現場を中心にみんなで再確認する機会になったからです。


5.お取引からの二者監査の削減につながる

Q.外部から受ける二者監査について変化があったそうですね。 

石ヶ守様  認証取得後、お客さまからの二者監査に関して軽減されたケースがあります。日油は食品分野の原料メーカーとしてフードチェーンの上流に位置していますが、FSSC22000認証のねらいのひとつとして、監査の削減が挙げられます。おかげさまで、以前はたとえば一から十まですべて確認していただいたことが、取得後、その一部を省略してもらえるケースがでてきています。





秋山様  お客さまから二者監査を受ける機会については増加していました。2004年に大師工場が稼働した当時は、お客さまからのご要望は工場見学が中心でした。それが徐々に二者監査に置き換わっていき、新たなお客さまからの監査も加わり、受ける回数が大幅に増えていたのです。
こうした状況の中、FSSC22000認証を取得することによって、日油の取り組みレベルについて納得感を持っていただけるはず、と考えました。

二者監査を削減するにあたっては、毎年実施しているものを隔年にする、1回あたりの監査工数や監査項目を減らす、あるいは書類審査に置き換える、等々いろいろあるでしょう。もちろんお客さまがFSS22000やISO22000を取得している場合、規格では外部コミュニケーションを求めており、いきなりすべてなくすのは難しいはずですが、監査という形にこだわらないやり方もあるはずです。たとえば意見交換の形式もありえると考えていますが、実際にこのやり方をご提案いただいたお客さまもいっらしゃいます。

食品安全のリスク体制を維持しつつ二者監査を圧縮できれば、チェーン全体のトータルコスト圧縮につながります。そうなればお取引先のお客さま、その先の最終ユーザーである消費者にもメリットがあるはずです。今後はこうした動きを促進するような働きかけも検討してみたいと思います。

6.「講師派遣型連続研修」で自分たちにあった仕組みを構築



Q.今回、日本能率協会の「講師派遣型連続研修」をご活用いただきました。

石ヶ守様  この研修は日油の関係者のみを対象に講師派遣の形式で開催されるもので、さまざまなテーマで合計8回受講しました。2018年4月から毎月1、2回のペースで開催、初回から4回目までの内容は、毎回、ISO22000とISO/TS22002-1など規格について詳しい解説がありました。研修の場では、要求事項にどのようにあてはめるのか、足りないところはあるのか、手直しが必要ならどの程度やればいいのか、といった内容について確認しながら学べました。その際の講師の解説は一般事例をいろいろ挙げてくれたので、現場の導入を考える際には大変参考になりました。

研修の5回目には、現場で構築状況を最終確認しています。また、同じ時期に日本能率協会による内部監査員育成のための集合研修も実施しています。
さらに、第一段階審査、第二段階審査それぞれの受審結果のフォローアップを行う研修についても受講しています。

一連の研修の良かった点を挙げると、すべて同じ講師が担当しており、日油に関する理解も回を追うごとに深まっていき、より効果的な内容になったことです。参加者は、現場を取り仕切る部署長を中心にした食品安全チームの構成メンバー10人程度、みんなで活発に意見交換を行い、自分たちにあったシステムの導入につながったと思います。

Q.課題を含めて今後の取り組み予定をご紹介ください。

山様  今の仕組みを見ると、健康補助食品GMPとHACCPシステム、FSSC22000のそれぞれが並列で動いているところがあります。基準・基準について完全には整理しきれてなく重なっているケースがあり、この重複の解消が課題の一つだと考えています。

泉澤様  関連しますが、文書類の管理についていかに効率的にやるか、検討が必要だと考えています。たとえば、規則のために一度作った文書類は簡単には廃止できないでしょう。そのために文書体系全体では必要以上に膨らみ運用面で重たい仕組みになるおそれがあります。



今回の取り組みでは、すでにやっていることを踏まえて、現場に合う形の仕組みに落としこめたと思います。今後も文書の見直しを適宜行い、無駄なものは省いていくような仕掛けが必要だと考えています。
そのうえで、今回の認証取得はあくまでもスタートだと捉えています。次回の定期審査に向けて、導入した食品安全マネジメントシステムがしっかり有効活用できるよう、継続的改善を目指していきたいと考えています。

7.FSSCの仕組みで業務全般を管理

石ヶ守様  今回整備した仕組みについて、日油の業務全般の管理ツールとしての活用を検討していきます。そもそも、「安全・安心」への対応を考える際、品質に加えて、さまざまな側面から考えていくことが必要です。たとえば、従業員に食品安全について高い意識を持ってもらうには、働く環境の整備も重要になってくるはずです。
以前の現場パトロールでは、品質と労働安全衛生は別々に行っていましたが、一緒にやるように変えました。「これは品質の課題」「あれは労働安全衛生の課題」などと区別せずに、現場のヒト・モノに良くなる、という視点が必要だからです。

このように、食品安全のためには、広い見地から幅広い取り組みを展開することが求められており、それには仕事全般をカバーする仕組みが有効なはずです。まさにこの点でFSSC22000の食品安全マネジメントシステムが有効活用できると考えています。


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